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再び、王都へ
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「義兄上!コニーはどこですか⁈」
コンスタンスがまた頭痛を起こしたことは、公爵家から連絡を受けたセイが騎士団に伝えに来てくれた。
だからオレリアンは、王宮から直接公爵邸に向かうことが出来た。
「母上の部屋で眠っている。静かに入れよ?」
エリアスに案内されて公爵夫人の部屋に入って行くと、コンスタンスはベッドでスヤスヤ眠っていた。
「パレードでフィリップ殿下を見た途端頭が痛いと言い出したらしい」
「やはり…、王太子殿下が…」
コンスタンスの頭痛は、何かしら王太子が関わっていることが多い。
「もしかしたら、馬車の方かもしれないけどな」
「そうですね…」
コンスタンスが記憶を失うきっかけになった事故は馬車が原因だった。
馬車を見て気分が悪くなったことも考えられるが、彼女はヒース領への往復も平気で馬車に乗っていたし、今まで馬車を怖がるようなこともなかった。
そもそも頭痛が起き始めたのは王太子と再会してからだし、何故かはわからないが、彼を見たり名前を聞くたび記憶が戻ろうとしているとしか思えない。
「コニー、何故…」
オレリアンはコンスタンスの枕元に寄り添い、そっと銀色の髪に触れた。
今のコンスタンスはオレリアンに真っ直ぐ好意を示してくれているが、本当は、潜在意識の中では、未だに王太子を慕っているのではないのだろうか。
だから彼を見たり彼の名前を聞くと、記憶が戻りたがっているのではないのか。
「オレリアン…。
あまり思いつめないことだ。
妹は間違いなく君を慕っている」
「…そうでしょうか…」
「オレリアン…」
エリアスはオレリアンの肩に手を置いた。
半年前まであれほど嫌っていた義弟だったが、今のエリアスはオレリアンを信頼している。
オレリアンが妹を見る目は優しく、触れる手は本当に愛おしげだから。
「義兄上…、私は騎士団を辞めて、コニーを連れてヒース領に戻りたいと思います」
オレリアンが思いつめたように言うのを聞き、エリアスは驚いた。
「辞めてどうする?
領地経営に専念する気か?」
「コニーを王都に置いておきたくないのです。
コニーが頭痛を起こすたび、私は胸が抉られそうになる。
記憶がどうとかより、私はコニーが苦しむのを見たくない。
王都から…、王太子殿下から離れれば、コニーは良くなるような気がしてならないんです。
だから今回は結婚直後の時のようにコニーだけを自領に行かせるのではなく、私も一緒に参りたいと思います」
「しかしオレリアン、君は優秀な騎士で、それを誇りに思っていたはずだ。
辞めるだなどと…」
「コニーの健康には変えられません。
私はコニーが元気で、私の隣で笑っていてくれればいいのです」
「だが…、妹はいつまでこの状態かわからない。
記憶が戻るかもしれないしずっと戻らないかもしれない。
この先緩やかに成長するかもしれないが、もしかしたら子供のままかもしれない。
私がこんなことを言うのはおかしいが…、君はその、それでもいいのか?
コニーはこのまま妻の務めを果たせないかもしれないし、その…、子供など、望めないかもしれない」
エリアスはバツが悪そうにオレリアンを見た。
ルーデル公爵家ではもう、オレリアンのコンスタンスに対する気持ちを疑ってはいない。
だから離縁させようなどとは思っていないが、だが、オレリアンを認めると同時に、違うことが心配にもなった。
コンスタンスは子供なのだ。
近衛の騎士であり、侯爵という地位があり、そして立派な成人男性であるオレリアンが、妻も抱けず、子作りも出来ないなど、申し訳ないとさえ思う。
だがオレリアンはそんなエリアスに向かって笑顔を見せ、きっぱりと言い切った。
「義兄上、その可能性は私も考えていました。
でも、例えそういう意味での夫婦になれなくとも、私は生涯コニーを唯一の妻と心に決めています。
彼女がこのまま少女のままであっても離縁して他の妻を迎えたり、ましてや、妾を持つなどあり得ません。
ずっとコニーだけを愛し、守っていくと誓います」
「オレリアン……、すまない。いや、ありがとう」
エリアスは今にも泣きそうな顔で笑った。
その義兄の顔を見て、オレリアンも笑う。
「感謝するのは私の方ですよ、義兄上。
私をコニーの夫と認めてくださってありがとうございます」
オレリアンはその夜、ルーデル公爵邸に泊まった。
妻のいない自宅に帰るのは嫌だったし、コンスタンスが目覚めた時、一番最初に会うのはいつだって自分でありたいと思ったからだ。
コンスタンスがまた頭痛を起こしたことは、公爵家から連絡を受けたセイが騎士団に伝えに来てくれた。
だからオレリアンは、王宮から直接公爵邸に向かうことが出来た。
「母上の部屋で眠っている。静かに入れよ?」
エリアスに案内されて公爵夫人の部屋に入って行くと、コンスタンスはベッドでスヤスヤ眠っていた。
「パレードでフィリップ殿下を見た途端頭が痛いと言い出したらしい」
「やはり…、王太子殿下が…」
コンスタンスの頭痛は、何かしら王太子が関わっていることが多い。
「もしかしたら、馬車の方かもしれないけどな」
「そうですね…」
コンスタンスが記憶を失うきっかけになった事故は馬車が原因だった。
馬車を見て気分が悪くなったことも考えられるが、彼女はヒース領への往復も平気で馬車に乗っていたし、今まで馬車を怖がるようなこともなかった。
そもそも頭痛が起き始めたのは王太子と再会してからだし、何故かはわからないが、彼を見たり名前を聞くたび記憶が戻ろうとしているとしか思えない。
「コニー、何故…」
オレリアンはコンスタンスの枕元に寄り添い、そっと銀色の髪に触れた。
今のコンスタンスはオレリアンに真っ直ぐ好意を示してくれているが、本当は、潜在意識の中では、未だに王太子を慕っているのではないのだろうか。
だから彼を見たり彼の名前を聞くと、記憶が戻りたがっているのではないのか。
「オレリアン…。
あまり思いつめないことだ。
妹は間違いなく君を慕っている」
「…そうでしょうか…」
「オレリアン…」
エリアスはオレリアンの肩に手を置いた。
半年前まであれほど嫌っていた義弟だったが、今のエリアスはオレリアンを信頼している。
オレリアンが妹を見る目は優しく、触れる手は本当に愛おしげだから。
「義兄上…、私は騎士団を辞めて、コニーを連れてヒース領に戻りたいと思います」
オレリアンが思いつめたように言うのを聞き、エリアスは驚いた。
「辞めてどうする?
領地経営に専念する気か?」
「コニーを王都に置いておきたくないのです。
コニーが頭痛を起こすたび、私は胸が抉られそうになる。
記憶がどうとかより、私はコニーが苦しむのを見たくない。
王都から…、王太子殿下から離れれば、コニーは良くなるような気がしてならないんです。
だから今回は結婚直後の時のようにコニーだけを自領に行かせるのではなく、私も一緒に参りたいと思います」
「しかしオレリアン、君は優秀な騎士で、それを誇りに思っていたはずだ。
辞めるだなどと…」
「コニーの健康には変えられません。
私はコニーが元気で、私の隣で笑っていてくれればいいのです」
「だが…、妹はいつまでこの状態かわからない。
記憶が戻るかもしれないしずっと戻らないかもしれない。
この先緩やかに成長するかもしれないが、もしかしたら子供のままかもしれない。
私がこんなことを言うのはおかしいが…、君はその、それでもいいのか?
コニーはこのまま妻の務めを果たせないかもしれないし、その…、子供など、望めないかもしれない」
エリアスはバツが悪そうにオレリアンを見た。
ルーデル公爵家ではもう、オレリアンのコンスタンスに対する気持ちを疑ってはいない。
だから離縁させようなどとは思っていないが、だが、オレリアンを認めると同時に、違うことが心配にもなった。
コンスタンスは子供なのだ。
近衛の騎士であり、侯爵という地位があり、そして立派な成人男性であるオレリアンが、妻も抱けず、子作りも出来ないなど、申し訳ないとさえ思う。
だがオレリアンはそんなエリアスに向かって笑顔を見せ、きっぱりと言い切った。
「義兄上、その可能性は私も考えていました。
でも、例えそういう意味での夫婦になれなくとも、私は生涯コニーを唯一の妻と心に決めています。
彼女がこのまま少女のままであっても離縁して他の妻を迎えたり、ましてや、妾を持つなどあり得ません。
ずっとコニーだけを愛し、守っていくと誓います」
「オレリアン……、すまない。いや、ありがとう」
エリアスは今にも泣きそうな顔で笑った。
その義兄の顔を見て、オレリアンも笑う。
「感謝するのは私の方ですよ、義兄上。
私をコニーの夫と認めてくださってありがとうございます」
オレリアンはその夜、ルーデル公爵邸に泊まった。
妻のいない自宅に帰るのは嫌だったし、コンスタンスが目覚めた時、一番最初に会うのはいつだって自分でありたいと思ったからだ。
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