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回想、コンスタンス
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そうして私は侯爵領の邸宅で暮らすことになり、王都で暮らすオレリアン様とは別居生活になりました。
最初の頃こそオレリアン様から王都の様子を知らせるお手紙が届きましたが、それも、すぐに途絶えました。
でも、長閑な田園風景が広がる侯爵領の景色は、たしかに私の心を癒してくれました。
侯爵邸の使用人たちは皆オレリアン様の伯父さまに仕えていた人たちでしたが、皆親切で優しく、何もわからない私にあたたかく接してくれました。
だから、彼からお手紙が届かなくとも、私はこちらの様子を書き送り続けることにしました。
読んでくださるかはわかりませんが、私がそうしたいと思ったのです。
それから、積極的に使用人や領民たちに関わり、領政に参加し、慰問なども行おうと思いました。
それは、私のようなキズモノを押し付けられたオレリアン様に、せめて少しでも恩返しがしたいと思ったこともあります。
それからもしかしたら、少しでも侯爵夫人として認めて欲しいという気持ちもあったのかもしれません。
使用人や領民たちと関わるうちに知ったのは、やはりオレリアン様が優しい方だということでした。
近衛騎士のお仕事が忙しいオレリアン様は滅多に領地に出向きませんが、それでも領民たちは彼を慕っているようでした。
それは、代理を通じてでも、彼が善政を敷いているからに他なりません。
オレリアン様は、元は継ぐ家もなく、功績を挙げて騎士爵を得た方だとも伺っております。
きっと私の旦那様は、努力家で、思いやりのある、素晴らしい方なのでしょう。
オレリアン様にお会いしないまま、私はヒース領で19歳の誕生日を迎えました。
実家のルーデル公爵家からはカードとプレゼントが山のように届きました。
きっと、私が寂しくないようにとの気遣いだったのでしょう。
昨年までの誕生日は、フィリップ殿下が盛大にお祝いしてくれましたから。
てっきり忘れられていると思っていたのですが、オレリアン様からも誕生日プレゼントが届きました。
カードと、エメラルドがはめられた美しいネックレスでした。
私の翠色の目はエメラルドに例えられることもあり、オレリアン様がそれを意図したかどうかはわかりませんが、それでも私はとても嬉しく思いました。
とても豪華なそれは、夜会などで着る豪華な衣装に似合うでしょう。
普段使うにはもったいない素敵なネックレスを、私は大事にしまっておくことにしました。
いつかオレリアン様と心を通わせることが出来るようになったら…、そうしたら、彼の前でつける日もあるでしょうか。
私がヒース領で暮らすようになって1年近く経った頃、突然オレリアン様が私を迎えにいらっしゃいました。
一緒に王都のお邸に帰ろうとおっしゃるのです。
ああ、なんて皮肉なことでしょう。
その言葉を、多分私は待っておりました。
少し前までの私なら、嬉々としてその言葉に頷いたことでしょう。
でも、私は知ってしまったのです。
先日、オレリアン様のお義母様からお手紙が届きました。
そこには、彼のかつての恋人からのお手紙が同封されていたのです。
ええ、あの、馬車が脱輪しているところをオレリアン様に助けていただいていたセリーヌ様です。
彼女からオレリアン様に宛てたお手紙は、引き裂かれた恋人たちの哀しみが切々と書かれておりました。
そうですよね。
オレリアン様と私の心が通い合う日など、永遠に訪れません。
私は二人を引き裂いた邪魔者でしかないのですから。
だから…、私に出来ることは、セリーヌ様にオレリアン様を返して差し上げることなのです。
それなのにオレリアン様は、離縁を申し出た私の言葉を頑なに拒みました。
何故でしょうか。
私さえいなければ、愛するセリーヌ様を助けてあげられると言うのに。
結局私たちは結論を出さないまま、馬車に乗って王都へ戻りました。
そこで、あの事故が起きたのです。
セリーヌ様が馬車の前に飛び出した時、私は自然に体が動いておりました。
咄嗟に、オレリアン様の想い人である彼女を助けなくてはいけないと思ったのです。
あの直前、オレリアン様は興奮して迫ってくるセリーヌ様から私を庇ってくださいました。
あれでもう、十分です。
例えそれが、建前であっても。
かすれ行く意識の中で、オレリアン様が悲痛な顔で私の名を呼ぶところが見えました。
オレリアン様、私は大丈夫です。
だからどうか、貴方はセリーヌ様とお幸せに。
最初の頃こそオレリアン様から王都の様子を知らせるお手紙が届きましたが、それも、すぐに途絶えました。
でも、長閑な田園風景が広がる侯爵領の景色は、たしかに私の心を癒してくれました。
侯爵邸の使用人たちは皆オレリアン様の伯父さまに仕えていた人たちでしたが、皆親切で優しく、何もわからない私にあたたかく接してくれました。
だから、彼からお手紙が届かなくとも、私はこちらの様子を書き送り続けることにしました。
読んでくださるかはわかりませんが、私がそうしたいと思ったのです。
それから、積極的に使用人や領民たちに関わり、領政に参加し、慰問なども行おうと思いました。
それは、私のようなキズモノを押し付けられたオレリアン様に、せめて少しでも恩返しがしたいと思ったこともあります。
それからもしかしたら、少しでも侯爵夫人として認めて欲しいという気持ちもあったのかもしれません。
使用人や領民たちと関わるうちに知ったのは、やはりオレリアン様が優しい方だということでした。
近衛騎士のお仕事が忙しいオレリアン様は滅多に領地に出向きませんが、それでも領民たちは彼を慕っているようでした。
それは、代理を通じてでも、彼が善政を敷いているからに他なりません。
オレリアン様は、元は継ぐ家もなく、功績を挙げて騎士爵を得た方だとも伺っております。
きっと私の旦那様は、努力家で、思いやりのある、素晴らしい方なのでしょう。
オレリアン様にお会いしないまま、私はヒース領で19歳の誕生日を迎えました。
実家のルーデル公爵家からはカードとプレゼントが山のように届きました。
きっと、私が寂しくないようにとの気遣いだったのでしょう。
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てっきり忘れられていると思っていたのですが、オレリアン様からも誕生日プレゼントが届きました。
カードと、エメラルドがはめられた美しいネックレスでした。
私の翠色の目はエメラルドに例えられることもあり、オレリアン様がそれを意図したかどうかはわかりませんが、それでも私はとても嬉しく思いました。
とても豪華なそれは、夜会などで着る豪華な衣装に似合うでしょう。
普段使うにはもったいない素敵なネックレスを、私は大事にしまっておくことにしました。
いつかオレリアン様と心を通わせることが出来るようになったら…、そうしたら、彼の前でつける日もあるでしょうか。
私がヒース領で暮らすようになって1年近く経った頃、突然オレリアン様が私を迎えにいらっしゃいました。
一緒に王都のお邸に帰ろうとおっしゃるのです。
ああ、なんて皮肉なことでしょう。
その言葉を、多分私は待っておりました。
少し前までの私なら、嬉々としてその言葉に頷いたことでしょう。
でも、私は知ってしまったのです。
先日、オレリアン様のお義母様からお手紙が届きました。
そこには、彼のかつての恋人からのお手紙が同封されていたのです。
ええ、あの、馬車が脱輪しているところをオレリアン様に助けていただいていたセリーヌ様です。
彼女からオレリアン様に宛てたお手紙は、引き裂かれた恋人たちの哀しみが切々と書かれておりました。
そうですよね。
オレリアン様と私の心が通い合う日など、永遠に訪れません。
私は二人を引き裂いた邪魔者でしかないのですから。
だから…、私に出来ることは、セリーヌ様にオレリアン様を返して差し上げることなのです。
それなのにオレリアン様は、離縁を申し出た私の言葉を頑なに拒みました。
何故でしょうか。
私さえいなければ、愛するセリーヌ様を助けてあげられると言うのに。
結局私たちは結論を出さないまま、馬車に乗って王都へ戻りました。
そこで、あの事故が起きたのです。
セリーヌ様が馬車の前に飛び出した時、私は自然に体が動いておりました。
咄嗟に、オレリアン様の想い人である彼女を助けなくてはいけないと思ったのです。
あの直前、オレリアン様は興奮して迫ってくるセリーヌ様から私を庇ってくださいました。
あれでもう、十分です。
例えそれが、建前であっても。
かすれ行く意識の中で、オレリアン様が悲痛な顔で私の名を呼ぶところが見えました。
オレリアン様、私は大丈夫です。
だからどうか、貴方はセリーヌ様とお幸せに。
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