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第一部
第85話 手ぶら
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「今日も穏やかないいお天気ですねぇ」
「はい。平和ですねぇ」
うららかな陽射し注ぐ甲板の上。
アナベルと一緒に、洗濯物を取り込んでいる。今日もまた、海は凪ぎ、気持ちの良いお天気であった。
「令嬢!」
取り込んだばかりの真っ白いシーツから、香ばしいお日様の匂いを吸い込んでいると、息せき切った様子のレオンから大声で呼ばれ、振り向いた。
「はい。レオン、おかえりさなさ――」
「このまま、俺達と一緒に行きませんか?」
いきなり、両肩を掴まれたかと思うと、目の前に真剣な顔が迫った。
「……はい?」
唇が切れて、血が滲んでいる。
よっぽど急いで帰ってきたのか、いつも飄々としているレオンの額には、汗が滲み、光っていた。
「……ええっと……」
今、言われたことを、反芻し、考えてみる。
一緒に行けば、きっと楽しいだろう。あの屋敷にいる間、ずっとずっと苦しかった。寂しくて、逃げ出したくて、叫び出したくて堪らなかったのに、意気地のない自分。
誰にも気付かれぬまま、屋根裏で朽ちてゆく未来を何度も想像した。
自由になれるなら、他には何もいらないと思っていた。
この船の上は、まるで物語の中のよう。
煌めく陽光の下で大勢で一緒に笑いながら摂る食事。わたしの作ったものを、美味しいと喜んでくれる。生まれてはじめて、人の役に立てている気がした。何より、ずっとずっと焦がれ続けた自由が、ここにはある。
(だけど……)
「ありがとう……そう言ってくださって、すごく有難くて、嬉しいです。でも、……帰ります」
レオンはそうっと息を吐き、いつも通り、柔らかい笑みを浮かべた。その灰色の瞳は、あの林の夕暮の色に似て、全てを優しく包み込む。
「……そうですか。では、お送りできず申し訳ありませんが、ここで降ろします。入り江の下で待っていてください。すぐに迎えが来ます」
その言葉を聞き、周りが慌ただしく出航の準備にとりかかり始めた。
「令嬢、また、いつかお会いしましょう」
アナベルが、そっと近づいてきて別れの言葉をかけてくれる。その海色の瞳が寂しそうに見えるのは、自惚れがすぎるだろうか?
「アナベル、わたしが不安にならないように、いつも側にいてくださって、ありがとうございました」
海色の瞳は、優しく細められる。
「初めは、誘拐なんて何考えてんだと思いましたが、令嬢がこの船に来てくださって、楽しかった。久しぶりに、心から笑った。こちらこそ、ありがとうございました」
「はい、わたしも、ここに居る間、心から、楽しかったです」
アナベルはわたしの手を優しく握った。
それから……と横からレオンが悪戯を思い付いた子供のような目をして、口を開く。
「それから、令嬢は、もっと我が儘を言ってみたらどうです? きっと、おもしろい世界が待ってると思いますよ。欲しい欲しいと、駄々をこねてみたら、わりとあっさり、何もかも手に入るかもしれません」
この前の話のことを言っているのだろう。わたしは、ふふっと笑う。
「でも、それは、絶対に手に入らないって最初からわかっているんです。だから、欲しがるのはやめておきます」
「令嬢が駄々をこねたら、空に浮かぶ月でも、燕の子安貝でも、何とかして手に入れて来ようとする奴がいっぱいいると思いますけどねぇ」
冗談だと分かって、わたしは笑った。
レオンは眩し気に目を細め、囁くように続けた。
「……本当は、俺が、我が儘をきいて差し上げたかったですが、それは叶いそうにありませんから。代わりに、令嬢の周りにいる騎士を思いっきり困らせてやってください」
「それはいい。ぜひお願いします」
横にいるアナベルも、悪戯っぽく笑う。
レオンが、そっと外套をかけてくれる。
「令嬢、お元気で」
「はい、本当に、お世話になりました。ここでの経験は、一生忘れない宝物です。皆さんも、どうぞ、お元気で」
甲板に立つ心優しき海賊たちに向け、心からの感謝を込めて、『淑女の礼』をする。
顏を上げると、レオンもアナベルもプファウも、海賊たちは揃って跪き、見たことのない礼をしていた。
その時、薄々そうではないか、と思っていたことが、パズルがぴったりはまるように、分かった気がした。
§
入り江の崖下に立ち、全速で遠ざかる船に手を振る。
甲板に立って、皆が手を振ってくれる。
「……ありがとう」
きっともう聞こえないけれど、優しい執事と海賊たちに向けて、もう一度、呟いた。
船が遠ざかり、小さくなるのを見送ってから、辺りを見回す。
足元の綺麗な白い砂浜には、貝がらが桃色や水色の彩りを添えていた。目の前は美しい水平線。海と空の混じり合う色は、ブランシュの優しい瞳を思わせ、早く顔が見たくなる。
いわゆる、入り江と呼ばれるここは、後方は切り立った崖である。
さて……、
『すぐに迎えが来ます』
先程、レオンに言われたが、迎えってどういうことだろう?
ここで待っていた方が良いのだろうか?
それとも、何とかして崖を登り、町まで歩くべきだろうか?
考えながら、崖の高さを確かめるべく、上を向き、目を疑う。
(……え?)
崖の上には、信じられない人影があった。
ウェイン卿……? に似ている。とても似ている。そのものに見える。……でも、騎士の制服を着ていない。
目を凝らす。首を傾け、角度も変えて見てみる。
(……やっぱり、ウェイン卿だ……)
じっと沖の方を見つめていて、崖下の岩陰になったこちらには気付いていない。
(……珍しい)
いつだって、遠く離れた屋根裏の窓越しからだって、そっと見つめるとすぐに気付かれてしまうので、遠くから眺め見ることすら、難しかった。
(何か、気になるものでもあるんだろうか……?)
視線を辿ってみるが、視界に映るのは、青い空と青い海。波はただ、穏やかに打ち寄せる。
(……何、見てるんだろう……?)
しかし、物憂げに遠くを見つめ、海風に吹かれる姿もまた、この上なく素敵であった。
アナベルの白銀の髪を見るだけでときめいた胸は、ずきゅんと鳴った。消し止めたはずの火種が、パチパチと爆ぜる。
やはり、実物は格が違う。
(……尊い……目に焼き付けとこう……!)
そこで、ハッとした。
そういえば、ブランシュの宝石のうち、お母様の形見かノワゼット公爵の贈り物だけでも返してもらおう、と思っていたのに、お願いするのをすっかり忘れていた。
ウェイン卿は、こんなところまでロウブリッターを追って来たのだろうか? なのに、こっちはまさかの手ぶら……?
これまで、数々の純くささを披露してきたが、これはいよいよ、使えない奴の烙印を押されてしまうのでは?
(せっかく『友人』認定までしてもらえたのに……不甲斐ないったらない!)
……まずは、崖の上に登ってから、よくよく頭を下げて謝ろう。
きょろときょろと見回して、登れそうな場所を探す。
白い岩肌の崖は切り立ち、ところどころ、岩が顔を覗かせる。見上げるそれは、高い。二階建ての屋根の高さくらいある。
……自力では、到底、無理そうであった。
砂浜沿いに遠くまで歩けば、崖が緩やかになって何とかなる場所もありそうな気はする。
しかし、そうしている間にウェイン卿が海を眺めることに飽き、帰ってしまう可能性がある。
思い切って、見上げて声を出した。
「あのー……ウェイン卿?」
「はい。平和ですねぇ」
うららかな陽射し注ぐ甲板の上。
アナベルと一緒に、洗濯物を取り込んでいる。今日もまた、海は凪ぎ、気持ちの良いお天気であった。
「令嬢!」
取り込んだばかりの真っ白いシーツから、香ばしいお日様の匂いを吸い込んでいると、息せき切った様子のレオンから大声で呼ばれ、振り向いた。
「はい。レオン、おかえりさなさ――」
「このまま、俺達と一緒に行きませんか?」
いきなり、両肩を掴まれたかと思うと、目の前に真剣な顔が迫った。
「……はい?」
唇が切れて、血が滲んでいる。
よっぽど急いで帰ってきたのか、いつも飄々としているレオンの額には、汗が滲み、光っていた。
「……ええっと……」
今、言われたことを、反芻し、考えてみる。
一緒に行けば、きっと楽しいだろう。あの屋敷にいる間、ずっとずっと苦しかった。寂しくて、逃げ出したくて、叫び出したくて堪らなかったのに、意気地のない自分。
誰にも気付かれぬまま、屋根裏で朽ちてゆく未来を何度も想像した。
自由になれるなら、他には何もいらないと思っていた。
この船の上は、まるで物語の中のよう。
煌めく陽光の下で大勢で一緒に笑いながら摂る食事。わたしの作ったものを、美味しいと喜んでくれる。生まれてはじめて、人の役に立てている気がした。何より、ずっとずっと焦がれ続けた自由が、ここにはある。
(だけど……)
「ありがとう……そう言ってくださって、すごく有難くて、嬉しいです。でも、……帰ります」
レオンはそうっと息を吐き、いつも通り、柔らかい笑みを浮かべた。その灰色の瞳は、あの林の夕暮の色に似て、全てを優しく包み込む。
「……そうですか。では、お送りできず申し訳ありませんが、ここで降ろします。入り江の下で待っていてください。すぐに迎えが来ます」
その言葉を聞き、周りが慌ただしく出航の準備にとりかかり始めた。
「令嬢、また、いつかお会いしましょう」
アナベルが、そっと近づいてきて別れの言葉をかけてくれる。その海色の瞳が寂しそうに見えるのは、自惚れがすぎるだろうか?
「アナベル、わたしが不安にならないように、いつも側にいてくださって、ありがとうございました」
海色の瞳は、優しく細められる。
「初めは、誘拐なんて何考えてんだと思いましたが、令嬢がこの船に来てくださって、楽しかった。久しぶりに、心から笑った。こちらこそ、ありがとうございました」
「はい、わたしも、ここに居る間、心から、楽しかったです」
アナベルはわたしの手を優しく握った。
それから……と横からレオンが悪戯を思い付いた子供のような目をして、口を開く。
「それから、令嬢は、もっと我が儘を言ってみたらどうです? きっと、おもしろい世界が待ってると思いますよ。欲しい欲しいと、駄々をこねてみたら、わりとあっさり、何もかも手に入るかもしれません」
この前の話のことを言っているのだろう。わたしは、ふふっと笑う。
「でも、それは、絶対に手に入らないって最初からわかっているんです。だから、欲しがるのはやめておきます」
「令嬢が駄々をこねたら、空に浮かぶ月でも、燕の子安貝でも、何とかして手に入れて来ようとする奴がいっぱいいると思いますけどねぇ」
冗談だと分かって、わたしは笑った。
レオンは眩し気に目を細め、囁くように続けた。
「……本当は、俺が、我が儘をきいて差し上げたかったですが、それは叶いそうにありませんから。代わりに、令嬢の周りにいる騎士を思いっきり困らせてやってください」
「それはいい。ぜひお願いします」
横にいるアナベルも、悪戯っぽく笑う。
レオンが、そっと外套をかけてくれる。
「令嬢、お元気で」
「はい、本当に、お世話になりました。ここでの経験は、一生忘れない宝物です。皆さんも、どうぞ、お元気で」
甲板に立つ心優しき海賊たちに向け、心からの感謝を込めて、『淑女の礼』をする。
顏を上げると、レオンもアナベルもプファウも、海賊たちは揃って跪き、見たことのない礼をしていた。
その時、薄々そうではないか、と思っていたことが、パズルがぴったりはまるように、分かった気がした。
§
入り江の崖下に立ち、全速で遠ざかる船に手を振る。
甲板に立って、皆が手を振ってくれる。
「……ありがとう」
きっともう聞こえないけれど、優しい執事と海賊たちに向けて、もう一度、呟いた。
船が遠ざかり、小さくなるのを見送ってから、辺りを見回す。
足元の綺麗な白い砂浜には、貝がらが桃色や水色の彩りを添えていた。目の前は美しい水平線。海と空の混じり合う色は、ブランシュの優しい瞳を思わせ、早く顔が見たくなる。
いわゆる、入り江と呼ばれるここは、後方は切り立った崖である。
さて……、
『すぐに迎えが来ます』
先程、レオンに言われたが、迎えってどういうことだろう?
ここで待っていた方が良いのだろうか?
それとも、何とかして崖を登り、町まで歩くべきだろうか?
考えながら、崖の高さを確かめるべく、上を向き、目を疑う。
(……え?)
崖の上には、信じられない人影があった。
ウェイン卿……? に似ている。とても似ている。そのものに見える。……でも、騎士の制服を着ていない。
目を凝らす。首を傾け、角度も変えて見てみる。
(……やっぱり、ウェイン卿だ……)
じっと沖の方を見つめていて、崖下の岩陰になったこちらには気付いていない。
(……珍しい)
いつだって、遠く離れた屋根裏の窓越しからだって、そっと見つめるとすぐに気付かれてしまうので、遠くから眺め見ることすら、難しかった。
(何か、気になるものでもあるんだろうか……?)
視線を辿ってみるが、視界に映るのは、青い空と青い海。波はただ、穏やかに打ち寄せる。
(……何、見てるんだろう……?)
しかし、物憂げに遠くを見つめ、海風に吹かれる姿もまた、この上なく素敵であった。
アナベルの白銀の髪を見るだけでときめいた胸は、ずきゅんと鳴った。消し止めたはずの火種が、パチパチと爆ぜる。
やはり、実物は格が違う。
(……尊い……目に焼き付けとこう……!)
そこで、ハッとした。
そういえば、ブランシュの宝石のうち、お母様の形見かノワゼット公爵の贈り物だけでも返してもらおう、と思っていたのに、お願いするのをすっかり忘れていた。
ウェイン卿は、こんなところまでロウブリッターを追って来たのだろうか? なのに、こっちはまさかの手ぶら……?
これまで、数々の純くささを披露してきたが、これはいよいよ、使えない奴の烙印を押されてしまうのでは?
(せっかく『友人』認定までしてもらえたのに……不甲斐ないったらない!)
……まずは、崖の上に登ってから、よくよく頭を下げて謝ろう。
きょろときょろと見回して、登れそうな場所を探す。
白い岩肌の崖は切り立ち、ところどころ、岩が顔を覗かせる。見上げるそれは、高い。二階建ての屋根の高さくらいある。
……自力では、到底、無理そうであった。
砂浜沿いに遠くまで歩けば、崖が緩やかになって何とかなる場所もありそうな気はする。
しかし、そうしている間にウェイン卿が海を眺めることに飽き、帰ってしまう可能性がある。
思い切って、見上げて声を出した。
「あのー……ウェイン卿?」
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