『義妹に婚約者を譲ったら、貧乏鉄面皮伯爵に溺愛されました』

夢窓(ゆめまど)

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唐揚げジャンキーの結婚は?

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(殿下、乱入)

新婚生活三日目。
やっと「ただいまの口づけ」も成功し、ふたりきりの甘い時間を味わえる──はずだった。

しかし四日目の夕暮れ。
台所に突然、金髪の男が現れた。

「メイベル! 唐揚げが食べたい!」

「へっ……? へ、殿下!? な、なんでここに!?」
思わず手にしていた包丁を取り落としそうになるメイベル。

「なんでって、唐揚げが食べたいからに決まってるだろう!」



「し、新婚じゃないですか!? 姫は!? 花嫁は!?
 放っておいて大丈夫なんですか!?」

「問題ない! することはちゃんとしてきた!」
「な、なにを堂々と言ってるんですかあああ!」



後ろでアドレが冷ややかに腕を組む。
「……殿下、最低です」

「うるさい! 黙って食わせろ!」

「ひいいいいいい!」
メイベルは泣きそうな顔で鶏肉を持ち上げた。



そして数分後。
揚げたての唐揚げを頬張る殿下は、幸せそうに目を閉じていた。

「……やっぱりこれだな。妻より唐揚げだ」

「殿下あああああああ!!!」
メイベルの叫びが、台所にこだました。



(ララベル視点)

新婚初夜からまだ数日。
ララベルは夫が隣にいる幸せを噛みしめようとしていた。

──けれど、夜。
気づけばアルバート殿下は、こっそり姿を消している。

扉の音を確かめるたび、胸がざわついた。

「殿下には……好きな方がおられるのでしょうか?」

ララベルの胸に、疑念が芽生えてしまう。
彼が黙って夜を抜け出すのは、会いたい誰かがいるからではないのか。

もしそうなら、最初から“白い結婚”でよかったのに──してしまった!

「……殿下には、他にも、愛することができる人が……別にいるのね……?」

ララベルは涙を浮かべ、祈るように両手を胸に当てた。



一方その頃(殿下)

「……唐揚げ最高!」
居酒屋の厨房で、揚げたての鶏肉とビールを頬張る殿下。

「メイベルの唐揚げは罪深い……。これがある限り、俺は生きていける!」

油の匂いをまとい、幸せそうに両頬を膨らませていた。



ララベルのお茶会(メイベルとアドレ客)

「……殿下が、週に三回ほど……夜に出かけられるのです」
ララベル姫は、不安そうにハンカチを握りしめた。

「行き先を教えてくださらなくて……。わたくし……心配で」

目の前で話を聞いていたメイベルは、固まった。
隣のアドレは、なぜかお茶を吹き出しそうになりながら、無表情を保っている。

「……アドレさまは、毎晩きちんとお屋敷にお帰りになっているのでしょう?」

「え、ええ……。うちは、もちろん、毎日、帰ってきてますよぉ!」

(……だって、殿下も一緒に帰ってきて晩ご飯食べてるから……!)

ララベルは羨ましそうに微笑んだ。
「まあ……素敵ですわ。奥さまがいらっしゃる家が、一番落ち着かれるのでしょうね」

(……言えないよなぁ……! まさか毎回“唐揚げ定食”目当てで、殿下をうちに連れて帰ってるなんて……!)

メイベルは心の中で頭を抱え、隣のアドレは「鉄面皮」を貫きながらも、膝の下で拳を握りしめていた。


殿下の開き直り

夜、アドレとメイベルの屋敷にて。
唐揚げをほおばりながら、殿下が宣言する。

「男が夜遊びして何が悪い! 女遊びでもないんだぞ!
唐揚げ食って帰るだけだし!」

アドレ「……殿下。我が家は遊び場ではありません」




ララベルの疑念

夜ごといなくなる殿下を見て、ララベルは心を痛める。
「……殿下には、愛する方がいらっしゃるのかしら……」

侍女「殿下は、毎晩どちらかへ……」
ララベル「まさか……“唐揚げ……令嬢”……?」

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