『愛に狂う香り、愛を選ぶ香り ――離婚から始まる私の香り』

夢窓(ゆめまど)

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クリスティン、“核香”を静かに起動

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――香りは、縛るためじゃなく、自由になるためにある

ジェラルディンが背を向けて作業に夢中になった隙。
クリスティンは深く息を吸い、
自分の体内の中心にある“核香”を探った。

祖母から受け継いだ、香りの力の核心。
まだ完全に使ったことはない。

(枷は、香りでできている……
なら、香りで壊せる)

無意識に手首の枷へ意識を集中させると、
淡い光が微かにゆらぎ始める。

『自由』
それがクリスティンの核香の本質。

香りに支配されず、
香りに命を奪われず、
香りに閉じ込められず――
自分の意志で、道を選ぶための香り。

クリスティンは静かに囁いた。

「……私は、囚われの花じゃない。
私は、自分の香りで未来を選ぶの」

枷の表面がわずかに軋み、
白い煙のような光が滲む。

まだ完全ではない。
下手に力を使えば、ジェラルディンに気づかれる。

だから、クリスティンは
“香りを消す香り” を微量ずつ放った。

ジェラルディンの背中を見つめながら。

(あなたがどれだけ狂っていても……
私は、私の足で外へ出る。
あなたに選ばれるんじゃない。
“私が自由を選ぶのよ”)

枷が微かにひび割れ、
低く“ピシ”と音を立てた。

クリスティンの瞳に光が宿る。

(あと少し……あと少しで外せる)

ジェラルディンの狂気が最高潮に達する前に、
彼を止めるためにも――
自分が自由であるためにも。

クリスティンは静かに、核香を動かし続けた。


クリスティン vs 枷 ――解放の瞬間で場面転換

儀式は終わり、眠りの中で“支配”されようとするクリスティン

――そして彼女は、最後の瞬間に枷を砕く



石造りの台の上。
淡い光に包まれながら、クリスティンは深い眠りに沈んでいた。

ジェラルディンは、儀式の器具を片付けながら
満足げに微笑む。

「……済んだよ。
これでもう、君は僕のものだ」

その声は、祈りのように優しく、
呪いのように冷たい。

クリスティンは眠っている。
ただ――まぶたが震える。

(……いや……いや……)

夢の中で、何かと必死に戦っているようだった。

ジェラルディンはその様子に微笑み、
頬にキスを落とす。

「ゆっくり眠って、クリスティン。
君はもう逃げられない。
僕と一緒に……ここで永遠に暮らすんだ」

腕にはめられた“香りの枷”は、
儀式によって強化され、
淡い青い光を放っていた。

本来なら、この状態から目覚めることは不可能。

香りで眠らされ、
香りで意識を奪われ、
香りの結界で動けない――
香りの牢獄。

だが、クリスティンの“核香”は別だった。



✦ 眠りの深層――クリスティンの心の声

(……ここは……どこ?
暗い……重い……身体が動かない……
息さえしづらい……)

身体が沈む。
香りの膜に閉じこめられている。

(……こんなの……嫌……)

(自由に……息がしたい……
帰りたい……
ルシオンに会いたい……
私の人生を……私が選ぶの……)

その言葉が、心で叫ばれた瞬間。

ぱあっ、と胸の奥が光った。

クリスティンの核香――“自由の香り”。

(……私は……閉じ込められない……
香りごときに、私が支配されるなんて……
絶対に……嫌!)

心臓が強く脈打った。

ドクン――香りの枷が震えた。



✦ 現実――枷がひび割れ始める

ジェラルディンが背を向けていたとき、
クリスティンの腕の枷に、
細いひびが一本走る。

*ピシ……ッ*

ジェラルディンは気づかない。

眠っているはずのクリスティンの瞳が――
薄く、ほんの一瞬だけ開いた。

そして、意志を宿した光が揺らめく。

(……私は……誰のものにも……ならない……)

香りの枷が、音もなく光る。

*パキ……ッ*

(――解けて)

その一言が核香を爆発させた。



✦ 解放の瞬間(呼吸するような静寂)

光が腕を包み、

**轟音も悲鳴もなく**
ただ、静かに。

香りの枷は “消えた”。

まるで最初から存在していなかったみたいに。

クリスティンの指が動く。
胸が大きく息を吸う。

そして――目が開いた。

深い、自由の光を宿して。

(……私は戻る。
誰かの所有物じゃない。
私の人生は――私の匂いで切り拓く)

クリスティンは、静かに起き上がる。



✦ そして場面は突然、暗転する

――暗闇。

重い扉の音。

誰かの足音。

呼吸の乱れ。

次に目覚めた場所は……

クリスティンがいた石室とは、
まったく違う“黒い広間”。

ジェラルディンの儀式が終わった部屋ではない。

香りが違う――もっと危険で、もっと深い。

(――ここは……どこ?
誰が、私を……)

視界が戻る直前で、場面は切れる。


枷の消失に気づき、ジェラルディンが発狂する

+ 王の兵士とルシオンが突入(捕獲戦開始)



儀式を終え、ジェラルディンは
幸せそうに微笑みながら振り返った。

「クリスティン……そろそろ目を――」

その瞬間。

彼の視界に異常が映る。

枷がない。

腕にあったはずの“香りの枷”が
跡形もなく消えていた。

ジェラルディンの指先から
瓶が落ちた。

カラン……と澄んだ音が響く。

震える声でつぶやく。

「……あれ?
……ない……?」

空気が凍った。

◆ 狂気の臨界突破

ジェラルディンの瞳が揺れ、
笑い、震え、そして割れるように変化する。

「……ない。
ない……ない、ない、ない……
ないんだよ……どうして……?」

笑っている。

泣いている。

怒っている。

全部同時。

狂気が一気に溢れた。

「僕が作った枷だよ!?
僕が!
君だけのために!!
どうして外せるの?
どうして逃げられるの……?」

叫びながら床を乱暴に叩き、
香りをまき散らす。

空気に黒い煙のような“香気”が渦を巻き、
部屋の温度まで下がるようだった。

「僕の“永遠の花園”から、
どうして消えるの、クリスティン……?」

狂気の香りが、壁にヒビを入れるほど強烈に広がった。

◆ そのとき――重い鉄扉が破られる!

「ジェラルディン、そこまでだ!!」

轟音とともに、
王家の兵士たちが突入した。

続いて――

◆ ルシオン登場:完全に“怒りの顔”

白い煙を割って
ルシオンが現れた。

普段の冷静さはどこにもなく、
殺気を秘めた目でジェラルディンを射抜く。

「クリスティンはどこだ。
答えろ」

ジェラルディンは歪んだまま笑う。

「君も?
君も彼女を奪いに来たの?
……ああ、どうして皆して、僕のクリスティンを欲しがるの……!」

ルシオンは一歩も引かない。

「奪う?
違う。
彼女が“お前から逃げた”んだ。
その意味を理解しろ」

その言葉が、ジェラルディンの精神を爆ぜさせた。

「うるさいッ!!
黙れ……黙れェ!!
“僕の”クリスティンだ――
君なんか知らない!
誰にも渡さない!!」

黒い香気が爆発するように広がる。

◆ 兵士たちが耐えきれず倒れていく

「うっ……!?
空気が……おかしい……!」

「鼻を覆えッ! 吸うな!!」

兵士たちが一斉に倒れ、苦しみ始める。

ルシオンは一瞬だけ後ろを振り返り、
怒りと焦燥を押し殺した声で叫ぶ。

「くそ……早く避難させろ!
ここは俺がやる!!」

◆ ジェラルディン、完全発狂

「クリスティン……クリスティン……
どこに行ったの……?
君は僕の花園の中にいないといけないのに……
なのに……なのに……!」

顔を覆い、膝から崩れ落ち、
次に立ち上がった時には――

瞳が完全に“真っ黒”になっていた。

「君を探す。
世界を壊してでも。
もう止まらないよ、ルシオン」

ルシオンが剣を構える。

「だったら――まずは俺を倒していけ」

香りと殺気がぶつかる瞬間、
視界が白く弾けて――

場面は次回へ。
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