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契約破棄と真珠色の龍
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虹蛇王国の玉座の間に、先王の病死に伴い即位した先王の甥、新王蛇祐の、まだ若く張りのある声が響いた。
「それでは、龍宮白月の殺人について、詮議を開始する──」
できるだけ重々しく響かせようと不自然に低めたその声音は、いっそ滑稽だと、白月は思う。
白月は玉座の間、王座の正面、両の壁際に貴族たちが並ぶ中に跪かされていた。長い黒髪に、真珠色の肌と、翠玉の瞳。たった十五歳の華奢な少女は、たしかに美しかった。だが、今は武人達に囲まれ、剣を向けられている。余人が見れば、さぞかし哀れな光景だろうが、ここには少女を憐れむ者はいなかった。
「おまえの殺人には、数々の証人がいる。大臣よ、証人たちを呼べ」
「はっ」
王宮の使用人の男が、王家御用達の商人が、貴族の奥方が、次々と証言する。
曰く、舞踏会の最中、白月が被害者──騎士団長、鷹尾流星とともに別室に消え、その後、鷹尾流星は悲鳴を残して消えたのだと。
馬鹿馬鹿しい。白月は、鷹尾流星とは顔を合わせたこともなく、特別な感情など抱きようがなかった。彼らが真面目くさって語るように、流星に恋い焦がれ、彼の妻に嫉妬の炎を燃やしたことなど一度もない。流星も白月と同じく、新王の選定と即位を祝う舞踏会に出るだろうことは知っていたが──結局、一度も顔を合わせぬまま、流星は行方不明となってしまったのだった。
そして、流星の殺害容疑が、白月にかけられたというわけだ。
「龍宮家のお嬢様は、鷹尾様の胸に縋り、別室に行こうと囁いておられました」
それが使用人の言。むろん嘘だ。あの夜、白月は流星と顔も合わせていない。
「お二人が別室に消えられたのを、私は確かに見ました」
御用達商人の言。これもむろん嘘だ。
「私、うっかり別室に迷い込み──見てしまいましたの。寝台の上──ああ、こんなことを言うのは大変はしたないのですけれど──お二人は裸で絡み合い、白月様の御手には刃物が──! ああ、なんと恐ろしい」
「──……」
呆れて口も利けないとはこのことだ。この女、空見不知火は、幼い白月を残し、家族が皆流行病で死んでしまって以来、白月の後見人となって引き取った空見家の奥方だが──昔から白月を露骨に邪魔者扱いし、数限りない嫌がらせをしてきた。が、ここまで憎まれているとはついぞ思わなかった。
だが、新王は不知火に優しく語りかける。
「空見の奥方。言いにくいことを話してくれ、誠にありがたい。──これで分かっただろう。龍宮白月は、騎士団長鷹尾流星を誘惑し、彼が閨で無防備になったところを殺害し、遺体をどこかに捨てたのだ」
どこかとはどこだ。そして、白月の細腕で、どうやって遺体を一人で運んだというのだ。
言いたいことは山のようにあったが、白月は黙っていた。
この王、蛇祐は、元々王位継承権は決して高くなかったが、他の継承者候補を汚い手で追い落としたともっぱらの噂だ。そして、どうやら噂は本当らしいと、白月は考える。
やがて王が立ち上がり、宣告を下す。
「龍宮家は、建国の時代から、我が国の重臣であった。が、かような重罪を犯したからには、もはや特別扱いはできぬ。──私は王として宣言する。建国の際、王家が龍宮家と交わした契約を、今や破棄する。龍宮家に与えられた特権、領地、財産、そのすべてを没収する──!」
その宣言に、貴族たちが、割れんばかりの拍手をする。
そう、これがこの新王の狙いだ。本当に白月が流星を殺したなどと思っている人間が、この中に何人いるのか。目的は唯一つ。建国の功労者として、王家に並ぶ特権を与えられた龍宮家から、その特権と財産を奪うことなのだ。
──そしてそれが、白月が待ち望んでいた言葉だった。
嗚呼、身体の内側で、何かが壊れた音がする。それは、長年白月を縛っていた軛が粉砕され、白月を解放する、その音だった。
白月は罪人の身でありながら、王の許可も得ず立ち上がる。その唇には、もはや押さえられない笑みが浮かんでいた。
白月は王に向かって優雅に一礼し、その目をまっすぐに見た。白月の瞳──龍宮家の特徴である美しい翠色の瞳に見つめられて、王はややたじろいだ。
「お礼を申し上げます、王よ」
鈴が鳴るような声で、白月は言った。
「あなたは私を解放してくださった。建国の際、祖先が王家と交わした契約はこれで破棄され──私は、自由となりました!」
白月の身体が膨れ上がる。その肌に白い鱗が浮かび、目はぎょろりと、鼻は突き出し、胴体は長く蛇のように、手足には鋭い鉤爪が伸びた。そして、何よりも、玉座の間を埋め尽くして、なお膨れ上がろうとする、その巨体。その体躯に押されて、壁に押しつぶされた貴族たちが悲鳴を上げる。とうとう、その体積に耐えられず、玉座の間の天井が壊れ、白月は──真珠のごとき鱗を持つ、美しい一匹の龍は、空へと飛び立った。
月の美しい夜だった。月光に照らされた白龍は、幻想的なまでに美しく、そして恐ろしかった。空から自分たちを見下ろすその龍に、貴族たちは悲鳴を上げ、王は呆然と口を空けてそれを見上げた。
龍は少女の姿の時と同じ、鈴が鳴るような声で告げた。
「建国の際、我が祖先はあなた方王家と契約を交わしました。この先、我が一族は王家とともにある。民を怖がらせぬよう、定められた大事の時を除いて龍の力を封印し、人の姿で傍にいようと。──ですが、それも今日で終わり。契約は破棄されました。龍宮白月は、これからは、一匹の龍として自由に生きてまいります」
そして龍は、飛び去る前に一声咆哮した。
「偽証に罰を、呪われてあれ──!」
「ぐえっ」
「ぐうううっ」
「きゃああああっ!」
龍の声とともに、先程の詮議において証言した証人たちが、次々と苦しみもがいて、顔を押さえる。彼らの頬にはくっきりと、『偽』の文字が蚯蚓腫れのように浮かんでいた。
それを見届けて、龍は今度こそ夜空を駆け、飛び去った。
まるで水中を泳ぐように、優雅に夜空を駆けた龍は、白い砂漠にたどり着いた。白砂の砂漠。生命を育まぬ死の砂漠と呼ばれ、忌まれており、どの国の領土にもなっていない。だが、月光に照らされた白い砂漠は、白月の目には美しく見えた。
丁度いい。ここを棲家にしよう、と決める。
適当な場所に降り立つと、目を凝らす。白い砂の下に流れる水流が、龍の目には見えた。一声咆哮を上げれば、地面は抉れ、水が吹き出す。瞬く間に、大きな池ができた。
そこで龍は呼び声を上げた。
「我が一族の城よ、ここに現れたまえ!」
その声に応え、地面からせり上がるように、翠玉の屋根と真珠色の壁を持つ、威風堂々たる城が現れた。それは、虹蛇王国の辺境にあったはずの龍宮一族の城だ。それが、今や没収された領地から消え去り、その屋敷の中に貯められた財宝の数々とともに、この地に現れたのだった。
城の尖塔には開け放たれた大きな窓があり、龍はその中に飛び込んでいく。それと同時に、翠色の瞳と真珠色の肌を持つ、美しい娘──元の白月の姿に変わった。
元着ていた服は龍に变化した際破れてしまったので、少女は裸だったが、構うことはない。月以外の誰も見ていないのだ。
少女は開け放たれた窓から、どこまでも続く白い砂漠を見渡す。冷たい夜風が素肌を撫で、それがとてもすがすがしい。
少女は大きく息を吸い、そして怒鳴った。
「──私は、自由だ!」
その声は、砂漠に吸い込まれていき、そして少女は背を向けて、城の奥深くに入っていった。今宵眠るのにちょうどいい部屋が、どこかにあるだろう。
──そして三ヶ月。
「それでは、龍宮白月の殺人について、詮議を開始する──」
できるだけ重々しく響かせようと不自然に低めたその声音は、いっそ滑稽だと、白月は思う。
白月は玉座の間、王座の正面、両の壁際に貴族たちが並ぶ中に跪かされていた。長い黒髪に、真珠色の肌と、翠玉の瞳。たった十五歳の華奢な少女は、たしかに美しかった。だが、今は武人達に囲まれ、剣を向けられている。余人が見れば、さぞかし哀れな光景だろうが、ここには少女を憐れむ者はいなかった。
「おまえの殺人には、数々の証人がいる。大臣よ、証人たちを呼べ」
「はっ」
王宮の使用人の男が、王家御用達の商人が、貴族の奥方が、次々と証言する。
曰く、舞踏会の最中、白月が被害者──騎士団長、鷹尾流星とともに別室に消え、その後、鷹尾流星は悲鳴を残して消えたのだと。
馬鹿馬鹿しい。白月は、鷹尾流星とは顔を合わせたこともなく、特別な感情など抱きようがなかった。彼らが真面目くさって語るように、流星に恋い焦がれ、彼の妻に嫉妬の炎を燃やしたことなど一度もない。流星も白月と同じく、新王の選定と即位を祝う舞踏会に出るだろうことは知っていたが──結局、一度も顔を合わせぬまま、流星は行方不明となってしまったのだった。
そして、流星の殺害容疑が、白月にかけられたというわけだ。
「龍宮家のお嬢様は、鷹尾様の胸に縋り、別室に行こうと囁いておられました」
それが使用人の言。むろん嘘だ。あの夜、白月は流星と顔も合わせていない。
「お二人が別室に消えられたのを、私は確かに見ました」
御用達商人の言。これもむろん嘘だ。
「私、うっかり別室に迷い込み──見てしまいましたの。寝台の上──ああ、こんなことを言うのは大変はしたないのですけれど──お二人は裸で絡み合い、白月様の御手には刃物が──! ああ、なんと恐ろしい」
「──……」
呆れて口も利けないとはこのことだ。この女、空見不知火は、幼い白月を残し、家族が皆流行病で死んでしまって以来、白月の後見人となって引き取った空見家の奥方だが──昔から白月を露骨に邪魔者扱いし、数限りない嫌がらせをしてきた。が、ここまで憎まれているとはついぞ思わなかった。
だが、新王は不知火に優しく語りかける。
「空見の奥方。言いにくいことを話してくれ、誠にありがたい。──これで分かっただろう。龍宮白月は、騎士団長鷹尾流星を誘惑し、彼が閨で無防備になったところを殺害し、遺体をどこかに捨てたのだ」
どこかとはどこだ。そして、白月の細腕で、どうやって遺体を一人で運んだというのだ。
言いたいことは山のようにあったが、白月は黙っていた。
この王、蛇祐は、元々王位継承権は決して高くなかったが、他の継承者候補を汚い手で追い落としたともっぱらの噂だ。そして、どうやら噂は本当らしいと、白月は考える。
やがて王が立ち上がり、宣告を下す。
「龍宮家は、建国の時代から、我が国の重臣であった。が、かような重罪を犯したからには、もはや特別扱いはできぬ。──私は王として宣言する。建国の際、王家が龍宮家と交わした契約を、今や破棄する。龍宮家に与えられた特権、領地、財産、そのすべてを没収する──!」
その宣言に、貴族たちが、割れんばかりの拍手をする。
そう、これがこの新王の狙いだ。本当に白月が流星を殺したなどと思っている人間が、この中に何人いるのか。目的は唯一つ。建国の功労者として、王家に並ぶ特権を与えられた龍宮家から、その特権と財産を奪うことなのだ。
──そしてそれが、白月が待ち望んでいた言葉だった。
嗚呼、身体の内側で、何かが壊れた音がする。それは、長年白月を縛っていた軛が粉砕され、白月を解放する、その音だった。
白月は罪人の身でありながら、王の許可も得ず立ち上がる。その唇には、もはや押さえられない笑みが浮かんでいた。
白月は王に向かって優雅に一礼し、その目をまっすぐに見た。白月の瞳──龍宮家の特徴である美しい翠色の瞳に見つめられて、王はややたじろいだ。
「お礼を申し上げます、王よ」
鈴が鳴るような声で、白月は言った。
「あなたは私を解放してくださった。建国の際、祖先が王家と交わした契約はこれで破棄され──私は、自由となりました!」
白月の身体が膨れ上がる。その肌に白い鱗が浮かび、目はぎょろりと、鼻は突き出し、胴体は長く蛇のように、手足には鋭い鉤爪が伸びた。そして、何よりも、玉座の間を埋め尽くして、なお膨れ上がろうとする、その巨体。その体躯に押されて、壁に押しつぶされた貴族たちが悲鳴を上げる。とうとう、その体積に耐えられず、玉座の間の天井が壊れ、白月は──真珠のごとき鱗を持つ、美しい一匹の龍は、空へと飛び立った。
月の美しい夜だった。月光に照らされた白龍は、幻想的なまでに美しく、そして恐ろしかった。空から自分たちを見下ろすその龍に、貴族たちは悲鳴を上げ、王は呆然と口を空けてそれを見上げた。
龍は少女の姿の時と同じ、鈴が鳴るような声で告げた。
「建国の際、我が祖先はあなた方王家と契約を交わしました。この先、我が一族は王家とともにある。民を怖がらせぬよう、定められた大事の時を除いて龍の力を封印し、人の姿で傍にいようと。──ですが、それも今日で終わり。契約は破棄されました。龍宮白月は、これからは、一匹の龍として自由に生きてまいります」
そして龍は、飛び去る前に一声咆哮した。
「偽証に罰を、呪われてあれ──!」
「ぐえっ」
「ぐうううっ」
「きゃああああっ!」
龍の声とともに、先程の詮議において証言した証人たちが、次々と苦しみもがいて、顔を押さえる。彼らの頬にはくっきりと、『偽』の文字が蚯蚓腫れのように浮かんでいた。
それを見届けて、龍は今度こそ夜空を駆け、飛び去った。
まるで水中を泳ぐように、優雅に夜空を駆けた龍は、白い砂漠にたどり着いた。白砂の砂漠。生命を育まぬ死の砂漠と呼ばれ、忌まれており、どの国の領土にもなっていない。だが、月光に照らされた白い砂漠は、白月の目には美しく見えた。
丁度いい。ここを棲家にしよう、と決める。
適当な場所に降り立つと、目を凝らす。白い砂の下に流れる水流が、龍の目には見えた。一声咆哮を上げれば、地面は抉れ、水が吹き出す。瞬く間に、大きな池ができた。
そこで龍は呼び声を上げた。
「我が一族の城よ、ここに現れたまえ!」
その声に応え、地面からせり上がるように、翠玉の屋根と真珠色の壁を持つ、威風堂々たる城が現れた。それは、虹蛇王国の辺境にあったはずの龍宮一族の城だ。それが、今や没収された領地から消え去り、その屋敷の中に貯められた財宝の数々とともに、この地に現れたのだった。
城の尖塔には開け放たれた大きな窓があり、龍はその中に飛び込んでいく。それと同時に、翠色の瞳と真珠色の肌を持つ、美しい娘──元の白月の姿に変わった。
元着ていた服は龍に变化した際破れてしまったので、少女は裸だったが、構うことはない。月以外の誰も見ていないのだ。
少女は開け放たれた窓から、どこまでも続く白い砂漠を見渡す。冷たい夜風が素肌を撫で、それがとてもすがすがしい。
少女は大きく息を吸い、そして怒鳴った。
「──私は、自由だ!」
その声は、砂漠に吸い込まれていき、そして少女は背を向けて、城の奥深くに入っていった。今宵眠るのにちょうどいい部屋が、どこかにあるだろう。
──そして三ヶ月。
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