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21 想いを声にして
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制服のスカートをぎゅっと握りしめ、暴れまわる精神を統一しようと何度か息を大きく吐いたり吸ったりを繰り返しましたわ。
淑女としては当然失格の行動ですけれども、そのようなことを気にすることができるほど、余裕はございませんでした。
「アリア!」
何かを見咎めたらしきラファエル王太子殿下が、慌てたように大きな声を出して立ち上がり、早足で寄ってこられたのですわ。
……わたくし、なにかしてしまったんですの?
不安のあまりにスカートの裾に向けていた目を上げた時――視界がひどく歪んでいることに、気が付きましたの。
「……どうして、泣いているんだい……?」
ひどく揺れた声音でそうおっしゃったラファエル王太子殿下は、「失礼する」とわたくしの横に腰掛けられましたわ。
ソファのスプリングから、ギシリという音を聞こえましたわ。
「……もしかして私は、アリアのことを傷つけてしまったのか……?」
何も、言えませんでしたわ。
けれどもその沈黙こそがわたくしの答えであり、ラファエル王太子殿下もそう受け取られたようですわ。
ラファエル王太子殿下は衣擦れの音を立て、わたくしの体に腕を回されたんですの。
包み込むぬくもりと香りに、思わず身を強張らせてしまいましたわ。
「私が何をしてしまったのか、教えてくれないだろうか? それを知らなければ、謝ることもできないんだ……」
何もわかっていらっしゃらないのですわね……。
わたくしが必死で囲い込んでいた気持ちが、どっと堰を切って溢れ出してまいりました。
しわの付いたスカートから手を離してラファエル王太子殿下の胸にすがりつき、一言一言、苦さを噛み締めながら吐き出しましたの。
「……わたくしが十二になった日の……誓いのお言葉を、覚えていらっしゃいますこと? 一生大切にする……って」
「あぁ」
涙の合間合間に、必死に言葉を紡ぎましたわ。
「ずっと……信じていたのですわ……異性としてではなくても……せめて、パートナーとしては……認めてくださって、いる……と」
「待ってくれ、何か誤解があ」
「黙って、聞いて、くださいまし……」
ラファエル王太子殿下のお召し物の胸部は、もう既にぐっしょりと濡れてしまっております。
乾いている部分を求めて、顔を動かしましたの。
「ラフィ殿下、と呼ぶ許可をいただけた時……実は少し、期待をいたしましたの……けれど……」
あ・れ・を見てしまったから。
「……シャロウン男爵令嬢に、ラファエル王太子殿下のお心があると……それを、存じてしまいましたから……」
ラファエル王太子殿下は、動揺したかのように、身じろぎなさいました。
「これ以上惨めになりたくは、ございませんでしたし……ラファエル王太子殿下に、しあわせでいてくださってほしかったのですわ……お二人が結びつけるよう、何でもする所存でしたし……わたくしの行動で台無しにしてしまわないよう、離れるようにいたしましたの……」
それなのに。
こみ上げる思いを、言葉へと懸命に変換し続けましたわ。
「まさか、ラファエル王太子殿下が、婚約解消に同意しないなど……思いも、しなかったのですわ……これ以上、おそばにいたら……わたくしはもう、胸が苦しくて死んでしまいそうだと、いいますのに……」
わたくしの話は終わったと思われたのか、ラファエル王太子殿下が声を出そうとしているのを察しましたわ。
ですので、それを先に制しましたの。
「安心して、くださいまし……わたくしは、お二人を……祝福、いたしますので……」
「話はわかった」
ラファエル王太子殿下は、意識して抑えた声で、そうおっしゃいましたわ。
そのお言葉が、どれだけ強く、そして、冷たく聞こえたか――きっと、ご存じないのでしょう……。
淑女としては当然失格の行動ですけれども、そのようなことを気にすることができるほど、余裕はございませんでした。
「アリア!」
何かを見咎めたらしきラファエル王太子殿下が、慌てたように大きな声を出して立ち上がり、早足で寄ってこられたのですわ。
……わたくし、なにかしてしまったんですの?
不安のあまりにスカートの裾に向けていた目を上げた時――視界がひどく歪んでいることに、気が付きましたの。
「……どうして、泣いているんだい……?」
ひどく揺れた声音でそうおっしゃったラファエル王太子殿下は、「失礼する」とわたくしの横に腰掛けられましたわ。
ソファのスプリングから、ギシリという音を聞こえましたわ。
「……もしかして私は、アリアのことを傷つけてしまったのか……?」
何も、言えませんでしたわ。
けれどもその沈黙こそがわたくしの答えであり、ラファエル王太子殿下もそう受け取られたようですわ。
ラファエル王太子殿下は衣擦れの音を立て、わたくしの体に腕を回されたんですの。
包み込むぬくもりと香りに、思わず身を強張らせてしまいましたわ。
「私が何をしてしまったのか、教えてくれないだろうか? それを知らなければ、謝ることもできないんだ……」
何もわかっていらっしゃらないのですわね……。
わたくしが必死で囲い込んでいた気持ちが、どっと堰を切って溢れ出してまいりました。
しわの付いたスカートから手を離してラファエル王太子殿下の胸にすがりつき、一言一言、苦さを噛み締めながら吐き出しましたの。
「……わたくしが十二になった日の……誓いのお言葉を、覚えていらっしゃいますこと? 一生大切にする……って」
「あぁ」
涙の合間合間に、必死に言葉を紡ぎましたわ。
「ずっと……信じていたのですわ……異性としてではなくても……せめて、パートナーとしては……認めてくださって、いる……と」
「待ってくれ、何か誤解があ」
「黙って、聞いて、くださいまし……」
ラファエル王太子殿下のお召し物の胸部は、もう既にぐっしょりと濡れてしまっております。
乾いている部分を求めて、顔を動かしましたの。
「ラフィ殿下、と呼ぶ許可をいただけた時……実は少し、期待をいたしましたの……けれど……」
あ・れ・を見てしまったから。
「……シャロウン男爵令嬢に、ラファエル王太子殿下のお心があると……それを、存じてしまいましたから……」
ラファエル王太子殿下は、動揺したかのように、身じろぎなさいました。
「これ以上惨めになりたくは、ございませんでしたし……ラファエル王太子殿下に、しあわせでいてくださってほしかったのですわ……お二人が結びつけるよう、何でもする所存でしたし……わたくしの行動で台無しにしてしまわないよう、離れるようにいたしましたの……」
それなのに。
こみ上げる思いを、言葉へと懸命に変換し続けましたわ。
「まさか、ラファエル王太子殿下が、婚約解消に同意しないなど……思いも、しなかったのですわ……これ以上、おそばにいたら……わたくしはもう、胸が苦しくて死んでしまいそうだと、いいますのに……」
わたくしの話は終わったと思われたのか、ラファエル王太子殿下が声を出そうとしているのを察しましたわ。
ですので、それを先に制しましたの。
「安心して、くださいまし……わたくしは、お二人を……祝福、いたしますので……」
「話はわかった」
ラファエル王太子殿下は、意識して抑えた声で、そうおっしゃいましたわ。
そのお言葉が、どれだけ強く、そして、冷たく聞こえたか――きっと、ご存じないのでしょう……。
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