悪役令嬢の取り巻き令嬢(モブ)だけど実は影で暗躍してたなんて意外でしょ？

３話

「あ、はい。
大丈夫です。」

ヒロインがそう言ってメインヒーローの手を取る。

「私の婚約者に触らないで！」

そこに嫉妬して怒る悪役令嬢。

私はそれを見てホッとした。
良かった、修羅場シーンが始まったわ。

この後、怒る悪役令嬢をなだめるためメインヒーローはヒロインの元から一旦去る。
しかしその後すぐヒロインの元に戻ってきてこう言う。

『言い忘れてたんだけど…君 どこかで僕と出会ってない？』

そんなヒーローの言葉にヒロインは首を横に振る。

『いいえ、知りませんけど…』

困惑したようにヒーローを見るヒロイン。
まぁしょうがない。
彼女からしてみれば遠い昔の記憶。
ましてや自分のお尻の下敷きになってしまった相手だ。

私なら恥ずかしすぎて忘れるレベルの記憶よ。

しかしヒロインは律儀なものであれからメインヒーローのことを考えるようになる。

『会ったことあるかしら…』

そしてそう考えるうちにヒーローに惹かれる自分に気付く。

『ダメよ。
この気持ちは隠さなければ…』

そしてヒロインはヒーローを避けるようになる。
しかしヒーローは諦めない。

『君が覚えていなくても僕は君が好きだ。』

『私、思い出したの。
ごめんなさい、貴女を下敷きにして…』

『驚いたよ、目を開けたら君がいなくなってて。』

『私どうしたら良いか分からなくて逃げてしまったの。』

という告白イベントになる。
そして２人は悪役令嬢そっちのけで結ばれる…というのがこの物語のオチ。

長かったわ。
だけど後少しでこの物語も終わる。
幸運なことにこの物語の悪役令嬢は ヒロインに嫌がらせするだけで投獄されたり追放されたりというような悲惨なエンドは迎えない。
あー良かった。
これが終わったら私の取り巻き令嬢としての役目も無事終了。

終わったら何しようかしら。
私は次に起こる事件も知らず呑気にそんなことを考えていた。


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「貴女１人で何やってるの？アハハハ」

物語も終盤に差し掛かっていたある日の放課後。
どういうわけか私は 悪役令嬢にハブられていた。
とか言っておきながら心当たりはある。

それは昼休みのこと。

『今日から転入してきたロイだ。
よろしく頼む。』

物語の終盤にしてサブヒーローが転入してきた。
いや遅い。
物語終盤に申し訳程度に登場する当て馬。
ご都合主義世界とはそんなものだ。

しかし事件は起きた。
なぜかそのサブヒーローが私に近付いて来たのだ。

『ルル令嬢だろ？
俺はロイだ。
もし良かったら俺と付き合ってくれないか。』

はい…？！

そしてなんと私に告白したのだった。