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第27話 王都散策
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今日は王都を一人で散策だ。
お兄様からたまにすごい額の小遣いをもらっているので、それで買い食いしたり、欲しいものがあれば値段を気にせず買う事ができる。なんでもチェスや将棋なんかもお兄様に販売を任せたら、王都だけでなく今支配している領地全域で売れているらしい。
俺は一軒の気になる楽器店をこの前見つけたので寄ってみることにした。
その店の壁はガラス張りの大きな窓がついており、外から中が見えるようになっている。その中にはバイオリンやチェロのような弦楽器が並べられていた。
俺は前世でバイオリンは弾けないがギターは弾くことができた。一度聞いた音楽なら耳コピできる程度にはたしなんでいたのだ。
俺は楽器店の扉を開けると、いかつい顔したおっさんが俺を出迎えた。
「いらっしゃい………どうした坊主。迷子か?」
どうやら俺を客とは認識していない様子である。外から見たところ、売ってる楽器は銀貨20枚以上から上は金貨でしか買えないものがある。この世界の貨幣価値は銀貨1枚1万円くらいで金貨1枚100万円くらいの価値である。俺みたいな子供がそんな大金を持っていないと思うのは仕方ないことだ。
「いや、ちょっと楽器が欲しくて見に来たんだ」
「坊主、ここは坊主の小遣いで買えるようなものは置いてないぞ」
「いや、本当だよ」
俺は金貨を1枚取り出した。王族だと明かせば、金貨を見せなくても接客してくれるだろうけど、そんな事をすれば俺が無断で王都を散策しているのがばれてしまう。そうならないためにも、金貨を見せて買う意思を示すのが一番手っ取り早い。案の定おっさんはすぐに接客モードに変わった。
「これは、これは貴族の坊ちゃんでしたか。失礼しました。それで、今日はどのような楽器をお探しですか?こちらでは、バイオリンやチェロにビオラ、リュートなんかも取り扱っています。なんならオーダーメードで体に合わせたサイズで作ることもできますよ」
この店が気になったのは、工房と一体になっているところだ。店の奥で何人かの職人が楽器を作っている。
「いろいろと見てもいい?」
「もちろんですとも。坊ちゃん」
俺は店内を見回った。しかし、俺が探しているギターはやはり置いてはいなかった。前にも他の楽器店を見た時にギターはなかったのだ。よく似た形のリュートという楽器はあるのだが、弦の数が10本とギターより多い。たぶんこの世界にはまだギターというものが存在していないのだろう。
リュートを極めるのも悪くはないが、昔弾けたギターがあるならそちらの方がいい。
俺がリュートを見ていると、おっさんは俺に話しかけてきた。
「リュートに興味があるんですか?」
「うーん、そうだなぁ」
「手に取って弾いてもらってもいいですよ」
「じゃあ、お願い」
「では、こちらをどうぞ」
俺はリュートを受け取って、少し弦をならす。構造はギターと似ているが、ボディの部分がかなり違う。
俺はおっさんにリュートを返す。
「お気に召しませんでしか?」
「うーん。オーダーメードで作って欲しいんだけど……」
「さようでございますか。どういった部分をカスタマイズしましょうか。サイズをもう少し小さめにして体に合わせましょうか?」
「いや、リュートを作って欲しいわけではないんだ」
「と、いいますと?」
「僕が持ってきたパーツに弦やフレットをつけて欲しいんだ」
ギターのボディーやネックとヘッドの部分はなんとか俺でも魔法で作れるが、フレットが難しい。1フレット毎に半音あがるように取りつけなければならないからだ。リュートと基本的な造りは似ているので、プロの職人に頼めばその辺は解決してくれるだろう。
「持ち込みですか……内容にもよりますね。どのようなものでしょうか?」
残念ながら今手元には持っていない。絵を書いてもいいのだが、奥の工房をちらりと見ると木材が置いてあるのが見えた。
「材料費を払うから、あそこの木材を使わせてもらってもいい?」
樹皮が取られ円柱状にカットされた木材を指さした。
「あれはカットされたものを仕入れただけで、まだ何も手を加えていないですよ」
「仕入れ値に運搬費や人件費を上乗せしていただいていいので」
「………あれなら、銀貨2枚なら使ってもいいが」
「あ、じゃあそれでお願い」
俺はポケットから銀貨2枚をおっさんに渡す。
「おい、本当にいいのか」
「はい。それと少し工房で作業してもいい?」
「少し? 何をするつもりだ?」
「パーツを作りたいと思って」
「がははは。坊主、あの木材からパーツを作るには、そんなすぐにはできねぇよ。ほら銀貨を返してやるよ」
「いえ、大丈夫です。10分もかかりませんから」
「なんだとっ!! そこまでいうなら、いいだろう。見せてみやがれ。失敗しても、この銀貨は返さねぇからな」
「はい。それでいいよ。じゃあ、入ってもいい?」
「ああ、じゃあ、ついて来い」
ちょっとおっさんは不機嫌になっている。俺はおっさんの後に続いて工房の中に入って行く。
中には若い職人が二人に年老いた職人が一人、それに俺と同じくらいの子供が一人いた。誰かの子供だろうか。店の手伝いとして雑用を任されているのかもしれない。こんな年でも働かなければならないなんて、この世界は世知辛いなぁ。
作業をしていた三人は何事だという目で、作業を止めてこちらを見る。子供はこちらにかけて来る。
「パパ、どうしたの」
「リュオン。この坊ちゃんが今から新しい楽器を一瞬で作るっていうんで、連れてきたのよ」
「えっ!! すごい。僕も見学していい?」
「がははっ!! してもいいが、がっかりすることになるぞ。作れるわけないからな」
「えっ? 作れないの?」
「そりゃあ、そんなに簡単に楽器が作れたら俺達の商売あがったりだからな!!」
「いや、作れるって」
この世界には魔法があるんだから、一瞬で作る人もいるはずなんだ。きっと、おっさんは魔法の世界を勉強不足なんだな。
「がははっ!! 好きなようにやるといい。材料費は貰ってるんだ。ほら、この道具も貸してもいいぞ」
おっさんはのこぎりや、きり等の道具が置いてある棚を指した。
「いや、そんなものはいらないよ」
俺は10本の指先から小さな風魔法を起こす。
左手の指先から出る風魔法は右回転!
右手の指先から出る風魔法は左回転!
全く信じてなかったおっさんも作業を止めて見ていた職人達も期待の目をキラキラさせていた子供も、その指先から出る風魔法が一瞬巨大に見えるほどの回転圧力にはビビった!
そのふたつの風魔法によって生じる真空状態の圧倒的破壊空間は、まさに歯車的風魔法の小宇宙!
俺はその小宇宙に円柱状の木材の一つを無属性魔法で放り込む。
イメージするのはいつも俺が前世で使っていたギブソンの中級者用のギターである。
難しいのはボディの内部構造である。分解したものを見たことがあるが、表版の裏にはブレイジングといって補強と振動を伝えるための力木がある。この模様で音がいろいろと変わるのである。ここは何となくでひとまず作るしかない。
ここの職人さんにギターの良さを伝えて、試行錯誤していいものを作ってもらえるのが一番いいのだが。
「な、なんだ!! その魔法は!!」
「すごい!! すごい!!」
おっさんは口を開けて驚き、子供は俺の魔法を見てはしゃいでいる。作業をとめていた職人達も俺達の方に近づいてくる。
みるみるうちに木材は削れていき、一本のギターができあがった。
「これがパーツですね」
俺は出来上がったギターを手に持っておっさんに渡そうとする。
「お、お前、魔法使いだったのか………でも、そんな楽器を作る魔法なんて聞いたこともない……はっ、まさか、最近王都にできたっていう王立学園の生徒か?」
いずれ通うことにはなるが、まだ先である。
「まぁ……」
俺は素性を知られると駄目なので、曖昧に返事をしておく。
「やっぱりか。あそこはいろいろなところから優秀な子供が集まっていると聞くし、新しい魔法も開発したりしているんだろう。そうか、そんな魔法が………」
「僕も使えるようになりたい」
「馬鹿、あそこは王族や貴族しか通うことができないんだぞ」
おっさんは子供を諭した。
「いや、平民の方も試験に合格すれば通うことができるよ」
入学金とか授業料が必要だけれども。めちゃくちゃ優秀なら免除になる制度もあるらしいが、それは本当に一握りの生徒である。普通はそんなことはありえないだろう。
「本当に?! じゃあ僕も通いたい!!」
「試験に受かるように頑張らなきゃいかんのだぞ!!」
「僕、頑張る!!」
「………そうか、それじゃあ、まあ頑張るんだぞ…それで、そのパーツをどうしたいんです?」
子供はやる気に満ちているが、おっさんの表情はどことなく暗い。頑張るのはいいことだが、金銭面等を気にしているのかもしれない。話題を俺の楽器についてに戻した。
「ここの部分にリュートのように弦をつけて欲しいんです。リュートとは違って6本の弦でお願いします。こちらからE、A、D、G、B、Eの音色になるように弦を張って、1つのフレットで半音下がるようにここに金属を取りつけて欲しいんです」
集まってきていた職人達に詳しく説明する。
「なるほどリュートに似ているな。これなら製作可能だ」
中年の職人のOKが出たぞ。
「じゃあ、お願いします。いくらぐらになりますか?」
「このボディを使うのであれば銀貨30枚で請け負おう」
年老いた職人が値段を決めた。
「まぁ、妥当な所か。新しい楽器だがパーツがほぼできている状態だからな。どうする坊主?」
「それで、お願いします」
俺は銀貨を30枚ほど払う。
職人たちはギターをいろいろな角度から見ている。年老いた職人は俺に尋ねた。
「この内部はどうなっているんだ?」
「本来は、ここの部分で分解できるんですが、魔法でつくりましたからね。これは分解できません。中には補強と振動を伝える敷居のようなものが張り巡らされています。その構造によって音色が変わりますね」
「ほお。じゃあこれは魔法に頼らずとも作る事ができるということか?」
年老いた職人は興味を持ったようである。
「そうですね」
「そうか………ひとまず5日以降後にまた来てくれ。その時には依頼通り作っておこう」
「ありがとうございます」
俺はジークという名前で依頼をして、楽器店を後にしたのだった。出来上がりが楽しみである。
お兄様からたまにすごい額の小遣いをもらっているので、それで買い食いしたり、欲しいものがあれば値段を気にせず買う事ができる。なんでもチェスや将棋なんかもお兄様に販売を任せたら、王都だけでなく今支配している領地全域で売れているらしい。
俺は一軒の気になる楽器店をこの前見つけたので寄ってみることにした。
その店の壁はガラス張りの大きな窓がついており、外から中が見えるようになっている。その中にはバイオリンやチェロのような弦楽器が並べられていた。
俺は前世でバイオリンは弾けないがギターは弾くことができた。一度聞いた音楽なら耳コピできる程度にはたしなんでいたのだ。
俺は楽器店の扉を開けると、いかつい顔したおっさんが俺を出迎えた。
「いらっしゃい………どうした坊主。迷子か?」
どうやら俺を客とは認識していない様子である。外から見たところ、売ってる楽器は銀貨20枚以上から上は金貨でしか買えないものがある。この世界の貨幣価値は銀貨1枚1万円くらいで金貨1枚100万円くらいの価値である。俺みたいな子供がそんな大金を持っていないと思うのは仕方ないことだ。
「いや、ちょっと楽器が欲しくて見に来たんだ」
「坊主、ここは坊主の小遣いで買えるようなものは置いてないぞ」
「いや、本当だよ」
俺は金貨を1枚取り出した。王族だと明かせば、金貨を見せなくても接客してくれるだろうけど、そんな事をすれば俺が無断で王都を散策しているのがばれてしまう。そうならないためにも、金貨を見せて買う意思を示すのが一番手っ取り早い。案の定おっさんはすぐに接客モードに変わった。
「これは、これは貴族の坊ちゃんでしたか。失礼しました。それで、今日はどのような楽器をお探しですか?こちらでは、バイオリンやチェロにビオラ、リュートなんかも取り扱っています。なんならオーダーメードで体に合わせたサイズで作ることもできますよ」
この店が気になったのは、工房と一体になっているところだ。店の奥で何人かの職人が楽器を作っている。
「いろいろと見てもいい?」
「もちろんですとも。坊ちゃん」
俺は店内を見回った。しかし、俺が探しているギターはやはり置いてはいなかった。前にも他の楽器店を見た時にギターはなかったのだ。よく似た形のリュートという楽器はあるのだが、弦の数が10本とギターより多い。たぶんこの世界にはまだギターというものが存在していないのだろう。
リュートを極めるのも悪くはないが、昔弾けたギターがあるならそちらの方がいい。
俺がリュートを見ていると、おっさんは俺に話しかけてきた。
「リュートに興味があるんですか?」
「うーん、そうだなぁ」
「手に取って弾いてもらってもいいですよ」
「じゃあ、お願い」
「では、こちらをどうぞ」
俺はリュートを受け取って、少し弦をならす。構造はギターと似ているが、ボディの部分がかなり違う。
俺はおっさんにリュートを返す。
「お気に召しませんでしか?」
「うーん。オーダーメードで作って欲しいんだけど……」
「さようでございますか。どういった部分をカスタマイズしましょうか。サイズをもう少し小さめにして体に合わせましょうか?」
「いや、リュートを作って欲しいわけではないんだ」
「と、いいますと?」
「僕が持ってきたパーツに弦やフレットをつけて欲しいんだ」
ギターのボディーやネックとヘッドの部分はなんとか俺でも魔法で作れるが、フレットが難しい。1フレット毎に半音あがるように取りつけなければならないからだ。リュートと基本的な造りは似ているので、プロの職人に頼めばその辺は解決してくれるだろう。
「持ち込みですか……内容にもよりますね。どのようなものでしょうか?」
残念ながら今手元には持っていない。絵を書いてもいいのだが、奥の工房をちらりと見ると木材が置いてあるのが見えた。
「材料費を払うから、あそこの木材を使わせてもらってもいい?」
樹皮が取られ円柱状にカットされた木材を指さした。
「あれはカットされたものを仕入れただけで、まだ何も手を加えていないですよ」
「仕入れ値に運搬費や人件費を上乗せしていただいていいので」
「………あれなら、銀貨2枚なら使ってもいいが」
「あ、じゃあそれでお願い」
俺はポケットから銀貨2枚をおっさんに渡す。
「おい、本当にいいのか」
「はい。それと少し工房で作業してもいい?」
「少し? 何をするつもりだ?」
「パーツを作りたいと思って」
「がははは。坊主、あの木材からパーツを作るには、そんなすぐにはできねぇよ。ほら銀貨を返してやるよ」
「いえ、大丈夫です。10分もかかりませんから」
「なんだとっ!! そこまでいうなら、いいだろう。見せてみやがれ。失敗しても、この銀貨は返さねぇからな」
「はい。それでいいよ。じゃあ、入ってもいい?」
「ああ、じゃあ、ついて来い」
ちょっとおっさんは不機嫌になっている。俺はおっさんの後に続いて工房の中に入って行く。
中には若い職人が二人に年老いた職人が一人、それに俺と同じくらいの子供が一人いた。誰かの子供だろうか。店の手伝いとして雑用を任されているのかもしれない。こんな年でも働かなければならないなんて、この世界は世知辛いなぁ。
作業をしていた三人は何事だという目で、作業を止めてこちらを見る。子供はこちらにかけて来る。
「パパ、どうしたの」
「リュオン。この坊ちゃんが今から新しい楽器を一瞬で作るっていうんで、連れてきたのよ」
「えっ!! すごい。僕も見学していい?」
「がははっ!! してもいいが、がっかりすることになるぞ。作れるわけないからな」
「えっ? 作れないの?」
「そりゃあ、そんなに簡単に楽器が作れたら俺達の商売あがったりだからな!!」
「いや、作れるって」
この世界には魔法があるんだから、一瞬で作る人もいるはずなんだ。きっと、おっさんは魔法の世界を勉強不足なんだな。
「がははっ!! 好きなようにやるといい。材料費は貰ってるんだ。ほら、この道具も貸してもいいぞ」
おっさんはのこぎりや、きり等の道具が置いてある棚を指した。
「いや、そんなものはいらないよ」
俺は10本の指先から小さな風魔法を起こす。
左手の指先から出る風魔法は右回転!
右手の指先から出る風魔法は左回転!
全く信じてなかったおっさんも作業を止めて見ていた職人達も期待の目をキラキラさせていた子供も、その指先から出る風魔法が一瞬巨大に見えるほどの回転圧力にはビビった!
そのふたつの風魔法によって生じる真空状態の圧倒的破壊空間は、まさに歯車的風魔法の小宇宙!
俺はその小宇宙に円柱状の木材の一つを無属性魔法で放り込む。
イメージするのはいつも俺が前世で使っていたギブソンの中級者用のギターである。
難しいのはボディの内部構造である。分解したものを見たことがあるが、表版の裏にはブレイジングといって補強と振動を伝えるための力木がある。この模様で音がいろいろと変わるのである。ここは何となくでひとまず作るしかない。
ここの職人さんにギターの良さを伝えて、試行錯誤していいものを作ってもらえるのが一番いいのだが。
「な、なんだ!! その魔法は!!」
「すごい!! すごい!!」
おっさんは口を開けて驚き、子供は俺の魔法を見てはしゃいでいる。作業をとめていた職人達も俺達の方に近づいてくる。
みるみるうちに木材は削れていき、一本のギターができあがった。
「これがパーツですね」
俺は出来上がったギターを手に持っておっさんに渡そうとする。
「お、お前、魔法使いだったのか………でも、そんな楽器を作る魔法なんて聞いたこともない……はっ、まさか、最近王都にできたっていう王立学園の生徒か?」
いずれ通うことにはなるが、まだ先である。
「まぁ……」
俺は素性を知られると駄目なので、曖昧に返事をしておく。
「やっぱりか。あそこはいろいろなところから優秀な子供が集まっていると聞くし、新しい魔法も開発したりしているんだろう。そうか、そんな魔法が………」
「僕も使えるようになりたい」
「馬鹿、あそこは王族や貴族しか通うことができないんだぞ」
おっさんは子供を諭した。
「いや、平民の方も試験に合格すれば通うことができるよ」
入学金とか授業料が必要だけれども。めちゃくちゃ優秀なら免除になる制度もあるらしいが、それは本当に一握りの生徒である。普通はそんなことはありえないだろう。
「本当に?! じゃあ僕も通いたい!!」
「試験に受かるように頑張らなきゃいかんのだぞ!!」
「僕、頑張る!!」
「………そうか、それじゃあ、まあ頑張るんだぞ…それで、そのパーツをどうしたいんです?」
子供はやる気に満ちているが、おっさんの表情はどことなく暗い。頑張るのはいいことだが、金銭面等を気にしているのかもしれない。話題を俺の楽器についてに戻した。
「ここの部分にリュートのように弦をつけて欲しいんです。リュートとは違って6本の弦でお願いします。こちらからE、A、D、G、B、Eの音色になるように弦を張って、1つのフレットで半音下がるようにここに金属を取りつけて欲しいんです」
集まってきていた職人達に詳しく説明する。
「なるほどリュートに似ているな。これなら製作可能だ」
中年の職人のOKが出たぞ。
「じゃあ、お願いします。いくらぐらになりますか?」
「このボディを使うのであれば銀貨30枚で請け負おう」
年老いた職人が値段を決めた。
「まぁ、妥当な所か。新しい楽器だがパーツがほぼできている状態だからな。どうする坊主?」
「それで、お願いします」
俺は銀貨を30枚ほど払う。
職人たちはギターをいろいろな角度から見ている。年老いた職人は俺に尋ねた。
「この内部はどうなっているんだ?」
「本来は、ここの部分で分解できるんですが、魔法でつくりましたからね。これは分解できません。中には補強と振動を伝える敷居のようなものが張り巡らされています。その構造によって音色が変わりますね」
「ほお。じゃあこれは魔法に頼らずとも作る事ができるということか?」
年老いた職人は興味を持ったようである。
「そうですね」
「そうか………ひとまず5日以降後にまた来てくれ。その時には依頼通り作っておこう」
「ありがとうございます」
俺はジークという名前で依頼をして、楽器店を後にしたのだった。出来上がりが楽しみである。
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