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第36話 師匠ごっこ
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特訓を終えた俺とミカエルは王族たちが住まう区域へと戻っていた。ここにはかなり広い自然が残っているので、俺たちは木の陰に入って話していた。。まだ訓練を終えてお昼前なので日の光が眩しく、木の陰に入らなければ暑さで熱中症になってしまうのだ。
「それで、こんなところでどんな特訓をさせるつもりなんだ?」
初めて一緒に王族が住まう区域へと一緒に帰った俺達だが、道中一度も会話をすることはなかった。木の陰で歩みを止めるとミカエルはその重い口を開いたのだった。
「まずは服を脱いで、それを地面に落とす。そしてその服を拾ってから、この木にかけるんだ」
「??」
「こうして、この枝に服をかけて、それから着る」
「それで?」
「それだけだ」
「なっ、……いや、そうかっ!! わかったぞ! そのお前の来ている重い服でそれをやるということだな」
俺の来ている服はすでに【鎧換装】を使い軽いものになっているので、そんな事はさせれない。
「いや、お前の来ている、そのジャケットでやるんだ」
「はっ!! ふざけるなっ!! それの何が特訓になるというんだ!!」
「またそうやって俺の訓練を否定するのかよ。それで一度敗れたんだろうが。一見意味のないことが実はとんでもない秘密が隠されていたりするもんなんだぞ」
「ぬぐぐぐぐっ………分かった……やろう」
痛いところを突かれたのか渋々俺に従って服を脱いでからの一連の動作を始める。その仕草には当然覇気がこもっていない。嫌々やっているのが見て取れる。俺は陰になっている岩の上に腰を下ろし何も言わずに見守る。映画で見た師匠のようで実に面白い。俺は次の展開にワクワクしながらミカエルの様子をただひすら静観していた。
どれくらいミカエルがその一連の動作を繰り返しただろうか。そろそろお昼ご飯の時間だなと考え出したころ、突然ミカエルはジャケットを勢いよく地面に投げつけた。俺のボルテージは最高潮に達した。
「くそっ!! こんなことやってられるか!! お前のことを侮っていた俺が許せないんだろう!! もうやめるぞ!! こんなことなら裸で訓練場を走った方がマシだ!!」
ミカエルは家へと帰ろうとする。
「待て」
俺は高ぶる気持ちを抑えて、岩の上からゆっくりと腰を上げてミカエルに近づいた。
「服を着るんだ!!」
俺達2人は睨み合う。
俺の迫力に押され渋々ミカエルはジャケットを着ようとする。間髪入れず俺はその服を奪う。
「!!」
「着るんだ!!」
「いや、しかし………」
言わんとすることは分かる、服を俺が持っているのに着ろとはこれ如何に。しかし、俺は構わずに続ける。
「着るんだ!!」
俺の迫力に負けて、ミカエルは何も持たずに服を着る動作を始める。俺は腕を掴んでその動作を止める。
「強く!!」
腕の形を矯正し、理想の形を体で覚えさせる。
「着るんだ!!」
俺の言葉に反応し、またも服を着る動作を開始する。その動きを再び止めて、俺は理想の形に矯正する。
「しっかりとだ!!」
ミカエルは目を見開いて、覇気のある顔になる。
「脱ぐんだ!!」
今度は服を脱ぐ動作を開始し、三度その動きを俺が止める。
「しっかりと!! 強く!!」
俺は彼の両腕を抑える。
「右足を下げる」
俺の合図と共にミカエルは右足を下げる。
「左、右、左、右、服を拾え」
俺は蹴りを繰り出す。なんとか頑張って、ミカエルが屈んだ頭上を通過させる。ぎりぎり通過させることができた、セーフ。あと少しでミカエル君の顔面にクリーンヒットさせるところだった。
「拾え!!」
今度はその手に目掛けて前蹴りを繰り出す。俺の蹴りはミカエルの手に弾かれる。
ミカエルは驚きに満ちた顔でこちらを見ている。
「服を着るんだ!!」
俺は一連の動作を再度繰り返した。その速さは初回より少し速いくらいである。
「分かったか!! 生きていく動作の中に強くなるための全てが詰まっているんだ。上着を着る動きに脱ぐ動きにも、すべてにな………」
「………これで剣術が強くなる……のか?」
あっ、剣術じゃなかった。しかし、ここは強気で押し通すしかない。
「バカヤロー!! 戦場で剣を落とすこともあるだろう!! 剣が折れたりだってするだろう!! その度に敵に待ってくださいと言うつもりかよ!! 最後に信じられるのは己の拳のみ。まずはそこから極めるんだよ。そうすれば自ずと剣術も上達するってわけだ」
「………あっ、ああ、すまない。俺が間違っていたようだな。全てのことの中に強くなるためのヒントがあるんだったな。お前のやっていた訓練の動きも意味があった。俺のレベルがまだそれを理解できていなかった、そういうことか」
彼の目は一切の濁りのない、輝いた目をしている。
「まぁ………そういうことだ」
なんとか丸く収まりそうで一見落着である。ミカエル君が何か悟りを開いてしまったが、気にしないでおくことにした………
「それで、こんなところでどんな特訓をさせるつもりなんだ?」
初めて一緒に王族が住まう区域へと一緒に帰った俺達だが、道中一度も会話をすることはなかった。木の陰で歩みを止めるとミカエルはその重い口を開いたのだった。
「まずは服を脱いで、それを地面に落とす。そしてその服を拾ってから、この木にかけるんだ」
「??」
「こうして、この枝に服をかけて、それから着る」
「それで?」
「それだけだ」
「なっ、……いや、そうかっ!! わかったぞ! そのお前の来ている重い服でそれをやるということだな」
俺の来ている服はすでに【鎧換装】を使い軽いものになっているので、そんな事はさせれない。
「いや、お前の来ている、そのジャケットでやるんだ」
「はっ!! ふざけるなっ!! それの何が特訓になるというんだ!!」
「またそうやって俺の訓練を否定するのかよ。それで一度敗れたんだろうが。一見意味のないことが実はとんでもない秘密が隠されていたりするもんなんだぞ」
「ぬぐぐぐぐっ………分かった……やろう」
痛いところを突かれたのか渋々俺に従って服を脱いでからの一連の動作を始める。その仕草には当然覇気がこもっていない。嫌々やっているのが見て取れる。俺は陰になっている岩の上に腰を下ろし何も言わずに見守る。映画で見た師匠のようで実に面白い。俺は次の展開にワクワクしながらミカエルの様子をただひすら静観していた。
どれくらいミカエルがその一連の動作を繰り返しただろうか。そろそろお昼ご飯の時間だなと考え出したころ、突然ミカエルはジャケットを勢いよく地面に投げつけた。俺のボルテージは最高潮に達した。
「くそっ!! こんなことやってられるか!! お前のことを侮っていた俺が許せないんだろう!! もうやめるぞ!! こんなことなら裸で訓練場を走った方がマシだ!!」
ミカエルは家へと帰ろうとする。
「待て」
俺は高ぶる気持ちを抑えて、岩の上からゆっくりと腰を上げてミカエルに近づいた。
「服を着るんだ!!」
俺達2人は睨み合う。
俺の迫力に押され渋々ミカエルはジャケットを着ようとする。間髪入れず俺はその服を奪う。
「!!」
「着るんだ!!」
「いや、しかし………」
言わんとすることは分かる、服を俺が持っているのに着ろとはこれ如何に。しかし、俺は構わずに続ける。
「着るんだ!!」
俺の迫力に負けて、ミカエルは何も持たずに服を着る動作を始める。俺は腕を掴んでその動作を止める。
「強く!!」
腕の形を矯正し、理想の形を体で覚えさせる。
「着るんだ!!」
俺の言葉に反応し、またも服を着る動作を開始する。その動きを再び止めて、俺は理想の形に矯正する。
「しっかりとだ!!」
ミカエルは目を見開いて、覇気のある顔になる。
「脱ぐんだ!!」
今度は服を脱ぐ動作を開始し、三度その動きを俺が止める。
「しっかりと!! 強く!!」
俺は彼の両腕を抑える。
「右足を下げる」
俺の合図と共にミカエルは右足を下げる。
「左、右、左、右、服を拾え」
俺は蹴りを繰り出す。なんとか頑張って、ミカエルが屈んだ頭上を通過させる。ぎりぎり通過させることができた、セーフ。あと少しでミカエル君の顔面にクリーンヒットさせるところだった。
「拾え!!」
今度はその手に目掛けて前蹴りを繰り出す。俺の蹴りはミカエルの手に弾かれる。
ミカエルは驚きに満ちた顔でこちらを見ている。
「服を着るんだ!!」
俺は一連の動作を再度繰り返した。その速さは初回より少し速いくらいである。
「分かったか!! 生きていく動作の中に強くなるための全てが詰まっているんだ。上着を着る動きに脱ぐ動きにも、すべてにな………」
「………これで剣術が強くなる……のか?」
あっ、剣術じゃなかった。しかし、ここは強気で押し通すしかない。
「バカヤロー!! 戦場で剣を落とすこともあるだろう!! 剣が折れたりだってするだろう!! その度に敵に待ってくださいと言うつもりかよ!! 最後に信じられるのは己の拳のみ。まずはそこから極めるんだよ。そうすれば自ずと剣術も上達するってわけだ」
「………あっ、ああ、すまない。俺が間違っていたようだな。全てのことの中に強くなるためのヒントがあるんだったな。お前のやっていた訓練の動きも意味があった。俺のレベルがまだそれを理解できていなかった、そういうことか」
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