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第58話 一大プロジェクト
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この世界の許せないことの一つに漫画という文化がないことである。
俺の生活の質をあげるためにも、漫画という文化を流行らせたい。
そして、おやつを食べながら漫画を読むという優雅な生活を満喫したい。
俺が描くこともできるのだが、それでは意味がない。俺が漫画を描いたとしても、俺が読む楽しみがないので断固として却下である。多少は前世の知識を提供していくつもりではあるが、この世界の住人が描いた読んだこともない話が読みたいのである。
それにはいくつもの障壁がある。
まず第一に紙の値段が高すぎて、気軽に買えるようなものではない。平民の子供でもなんとか買える価格までは引き下げたい。
第二に、この世界にとって新しいジャンルの文化なので、人材の確保が難しい。漫画家の地位を上げなくてはいけないが、そもそも認知すらされていない世界なのだ。第一の条件を満たすならば、給与の面でも、相当数売れないといけない。
第三に、流通経路が存在しない。既存の書店で置いてもらえるかがわからないのも、問題である。価格を引き下げた場合、書店は置くのを渋るかもしれない。
それ以外にも障壁はあるだろうが、長いスパンをかけてやる価値はあるように思える。
実は以前にも漫画を流行らせる構想はあったのだが、この3つ以外に印刷技術こそが最大のネックになりえると思って諦めていたのだ。
文字だけの本とは違い。漫画のような絵が重要なものは手書きで写したら価値が損なわれると考えていたのだ。それがどうだろう。この世界の書物は、魔法によって印刷されているというじゃあないか。
そして、その魔法は軽く習得済みときている。
これは乗るしかないんじゃあないだろうか。このビッグウェーブに。
まずは第一の障壁を突破しなければならない。
紙の値段だ。この世界の紙といえば羊皮紙が主流なのだが、これが結構いい値段がする。普通の庶民には手が届かない存在である。
これを木材パルプから作り出す方法に切り替えることによって、価格を圧倒的に下げるのだ。そうすれば、書店も紙の値段が安くなるだけで儲けが少なくなるということはないだろう。むしろ、より多くの人に購入してもらえれば、転写魔法による利益が多くなるんじゃあないだろうか。
打撃を受けるとすれば羊皮紙を製造しているところになるな。そこには新しい紙の作り方を教えて、作ってもらえればいいだろう。
ここで問題なのは俺が正確に紙の作り方を知っているわけではないということである。
①木材をパルプ状に粉々にする→②高温で煮る→③薬品を混ぜて溶かし繊維状にする→④異物を取り除いて漂泊する→⑤乾燥させて紙の状態につなぎ合わせるまでが大まかな紙の製造過程でだと読んだことがある。
①と②までは機械に頼らなくても魔法の力で何とかできるだろう。①については俺の風魔法でも可能であろう。サンプルが必要なので、木材パルプを作っておこう。
そして、薬品で溶かすという部分がネックとなる。漂泊については塩素を使ってできることを知っているので、塩水を電気分解すれば手に入るだろう。
溶かす部分をどうするか………
ここはお兄様に頼るしかない。実際に紙にするのに叩解や抄紙の工程もあるが、細かいところは全てお兄様に丸投げしてしまおう。
俺は早速お兄様に手紙を書いた。画期的なことを思いついたので、協力してほしい旨を書いて、メイドのマーレに渡す。
ほどなくして、手紙が帰ってきて、お兄様が休みの日に屋敷に帰ってきてくれることになった。
せっかくなのでラズエルデ先生の授業もその日に入れておこう。サプライズで、お兄様に会わせてあげよう。この前の件で罪悪感もあるしな。
そして、お兄様が帰ってくる日がやってきた。俺はこの日の準備のために【暴風刃】を使い木を粉みじんにして木材パルプを作り出していた。
俺はその日は朝からラズエルデ先生の授業を受けていた。
「であるからして、植えて2日目に土魔法で、土を柔らかくすることによって、サツマイモの旨味成分を最大限に……」
ラズエルデ先生がサツマイモについて饒舌に語っている時に、俺の部屋の扉がノックされた。
「誰じゃ? 授業中だというのに」
「入っていいかい。ジーク」
「いいですよ。お兄様」
「ヨ、ヨハンか?」
お兄様が扉を開けて入ってくる。ラズエルデ先生はお兄様が来たことに動揺している。
「授業中だったのかい?」
「そうですけど、一区切りついたところだったので大丈夫です」
「う、うむ、まあ、そうじゃな」
「そうかい。ジークは真面目にやっているかい? ラズ」
「そうじゃな。なかなか優秀じゃな。こちらもハッとするような視点を持っておるな。ヨハンとも私とも違う視点で非常に興味深い」
「ジークのことをそこまで分かってくれるなんて、ラズにジークのことを任せて正解だったよ」
「そ、そうかのぅ」
ラズエルデ先生が露骨に照れている。
「そ、それで今日はどうしたんじゃ? 授業を見学にでも来たのか?」
「いや、ジークが画期的なものを思いついたと言っているので、休みを利用して帰ってきたんだ」
「画期的なもの?」
2人は俺の方に注目する。
「そうです。まずはこれを見てください」
「これは………木の破片かい」
「大量の木屑を集めてどうしたっていうんじゃ」
「先日、蜂の巣を見て思いついたんですけど、蜂の巣って羊皮紙の代用品になりそうだなと思いまして。それで、蜂の巣の出来方に注目をしたんですけど、木の破片等で出来ていることが分かりまして。なので、この木屑を利用して紙を安価に作れないものかと。自分の中で完成に至る工程は出来上がっているんですけど、どうやって実現すればいいか分からなくてお兄様を呼んだのです」
前世の知識で知っていた紙を木材パルプから初めて作った人の話を俺の体験話にしてすり替えて2人に話した。実際そんなことは体験してはいないのだが。
「この木を紙にするじゃと? そんなことが?」
「………今回は早くもずれが生じているな」
お兄様が小さく呟いたので、俺は聞き返した。
「ずれ?」
「いや、何でもない。それで、完成図とはどんなものなんだい?」
「この木屑を高温で煮詰めて、どろどろにしてから、異物を取り除いて綺麗にします。その後、乾かして、叩いて伸ばせば、完成に至ります。多分ですけど。でも、このどろどろにする部分がいまいちまだ具体性がないといいますか………蜂をヒントに木屑を溶かせないものかと、考えていたりするんですけど」
「何故、そんなことがわかるんじゃ。私にはさっぱり意味がわからん。本当にそれで紙が作れるというのか?」
「………なるほど。確かに、木の繊維をつなぎ合わせれば、紙の代用品になりえる……か………それに、紙をこの方法で作成できれば、今の紙にかかるコストを圧倒的に引き下げることができるね」
「そうです。紙のコストが下がれば書物の価格も引き下がりますし、勉強でメモを気軽に取ることができるようになって、国民一人一人の知識が増えることにつながります」
「たかが紙、されど紙というわけじゃな。そう考えれば、本当にその木屑で紙が作れるのであれば、画期的な発明と言えるな」
「そうだね。紙のコストが下がれば、国力の大幅な増加につながるだろうしね。それに、ドロドロにする薬品については一つ心当たりがある。学園に持ち帰って研究してみるよ」
流石お兄様です。早くもこの紙の製造過程を理解しただけでなく、薬品についても心当たりがあるなんて。やはり、全てはお兄様しか勝たん。
「あ、そう言えば、ラズエルデ先生とお兄様でこの紙の研究をされたらどうですか?」
「わ、私じゃと?」
「常々、後世に名の残る研究をしたいとおっしゃっていたじゃないですか。この研究が成功すれば歴史に名前を残せますよ」
そんなことは言ってないのだが、俺は話を合わせてもらうために、ラズエルデ先生にだけわかるようにウィンクをする。
「………王立学園で研究をするなら、助手として雇うことになるけど、どうする? ラズ」
「や、役に立つか分からんがいいのか?」
「ラズエルデ先生の知識があれば大丈夫ですよ」
漂白などは俺が陰からアシストすれば大丈夫だろう。ラズエルデ先生もお兄様と共同作業ができれば、仲を取り持つという俺と先生の約束を少し果たしたと思ってくれるだろう。これは、先に続く漫画への布石となる第一歩であり、ラズエルデ先生との約束を果たすこともできる一石二鳥の研究なのである。
紙の発見者として名を刻めば、キングオブイモの名もひょっとすると消せる可能性もあるという、あわよくば一石三鳥すらも狙っていたりもするのであった………
俺の生活の質をあげるためにも、漫画という文化を流行らせたい。
そして、おやつを食べながら漫画を読むという優雅な生活を満喫したい。
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それにはいくつもの障壁がある。
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第三に、流通経路が存在しない。既存の書店で置いてもらえるかがわからないのも、問題である。価格を引き下げた場合、書店は置くのを渋るかもしれない。
それ以外にも障壁はあるだろうが、長いスパンをかけてやる価値はあるように思える。
実は以前にも漫画を流行らせる構想はあったのだが、この3つ以外に印刷技術こそが最大のネックになりえると思って諦めていたのだ。
文字だけの本とは違い。漫画のような絵が重要なものは手書きで写したら価値が損なわれると考えていたのだ。それがどうだろう。この世界の書物は、魔法によって印刷されているというじゃあないか。
そして、その魔法は軽く習得済みときている。
これは乗るしかないんじゃあないだろうか。このビッグウェーブに。
まずは第一の障壁を突破しなければならない。
紙の値段だ。この世界の紙といえば羊皮紙が主流なのだが、これが結構いい値段がする。普通の庶民には手が届かない存在である。
これを木材パルプから作り出す方法に切り替えることによって、価格を圧倒的に下げるのだ。そうすれば、書店も紙の値段が安くなるだけで儲けが少なくなるということはないだろう。むしろ、より多くの人に購入してもらえれば、転写魔法による利益が多くなるんじゃあないだろうか。
打撃を受けるとすれば羊皮紙を製造しているところになるな。そこには新しい紙の作り方を教えて、作ってもらえればいいだろう。
ここで問題なのは俺が正確に紙の作り方を知っているわけではないということである。
①木材をパルプ状に粉々にする→②高温で煮る→③薬品を混ぜて溶かし繊維状にする→④異物を取り除いて漂泊する→⑤乾燥させて紙の状態につなぎ合わせるまでが大まかな紙の製造過程でだと読んだことがある。
①と②までは機械に頼らなくても魔法の力で何とかできるだろう。①については俺の風魔法でも可能であろう。サンプルが必要なので、木材パルプを作っておこう。
そして、薬品で溶かすという部分がネックとなる。漂泊については塩素を使ってできることを知っているので、塩水を電気分解すれば手に入るだろう。
溶かす部分をどうするか………
ここはお兄様に頼るしかない。実際に紙にするのに叩解や抄紙の工程もあるが、細かいところは全てお兄様に丸投げしてしまおう。
俺は早速お兄様に手紙を書いた。画期的なことを思いついたので、協力してほしい旨を書いて、メイドのマーレに渡す。
ほどなくして、手紙が帰ってきて、お兄様が休みの日に屋敷に帰ってきてくれることになった。
せっかくなのでラズエルデ先生の授業もその日に入れておこう。サプライズで、お兄様に会わせてあげよう。この前の件で罪悪感もあるしな。
そして、お兄様が帰ってくる日がやってきた。俺はこの日の準備のために【暴風刃】を使い木を粉みじんにして木材パルプを作り出していた。
俺はその日は朝からラズエルデ先生の授業を受けていた。
「であるからして、植えて2日目に土魔法で、土を柔らかくすることによって、サツマイモの旨味成分を最大限に……」
ラズエルデ先生がサツマイモについて饒舌に語っている時に、俺の部屋の扉がノックされた。
「誰じゃ? 授業中だというのに」
「入っていいかい。ジーク」
「いいですよ。お兄様」
「ヨ、ヨハンか?」
お兄様が扉を開けて入ってくる。ラズエルデ先生はお兄様が来たことに動揺している。
「授業中だったのかい?」
「そうですけど、一区切りついたところだったので大丈夫です」
「う、うむ、まあ、そうじゃな」
「そうかい。ジークは真面目にやっているかい? ラズ」
「そうじゃな。なかなか優秀じゃな。こちらもハッとするような視点を持っておるな。ヨハンとも私とも違う視点で非常に興味深い」
「ジークのことをそこまで分かってくれるなんて、ラズにジークのことを任せて正解だったよ」
「そ、そうかのぅ」
ラズエルデ先生が露骨に照れている。
「そ、それで今日はどうしたんじゃ? 授業を見学にでも来たのか?」
「いや、ジークが画期的なものを思いついたと言っているので、休みを利用して帰ってきたんだ」
「画期的なもの?」
2人は俺の方に注目する。
「そうです。まずはこれを見てください」
「これは………木の破片かい」
「大量の木屑を集めてどうしたっていうんじゃ」
「先日、蜂の巣を見て思いついたんですけど、蜂の巣って羊皮紙の代用品になりそうだなと思いまして。それで、蜂の巣の出来方に注目をしたんですけど、木の破片等で出来ていることが分かりまして。なので、この木屑を利用して紙を安価に作れないものかと。自分の中で完成に至る工程は出来上がっているんですけど、どうやって実現すればいいか分からなくてお兄様を呼んだのです」
前世の知識で知っていた紙を木材パルプから初めて作った人の話を俺の体験話にしてすり替えて2人に話した。実際そんなことは体験してはいないのだが。
「この木を紙にするじゃと? そんなことが?」
「………今回は早くもずれが生じているな」
お兄様が小さく呟いたので、俺は聞き返した。
「ずれ?」
「いや、何でもない。それで、完成図とはどんなものなんだい?」
「この木屑を高温で煮詰めて、どろどろにしてから、異物を取り除いて綺麗にします。その後、乾かして、叩いて伸ばせば、完成に至ります。多分ですけど。でも、このどろどろにする部分がいまいちまだ具体性がないといいますか………蜂をヒントに木屑を溶かせないものかと、考えていたりするんですけど」
「何故、そんなことがわかるんじゃ。私にはさっぱり意味がわからん。本当にそれで紙が作れるというのか?」
「………なるほど。確かに、木の繊維をつなぎ合わせれば、紙の代用品になりえる……か………それに、紙をこの方法で作成できれば、今の紙にかかるコストを圧倒的に引き下げることができるね」
「そうです。紙のコストが下がれば書物の価格も引き下がりますし、勉強でメモを気軽に取ることができるようになって、国民一人一人の知識が増えることにつながります」
「たかが紙、されど紙というわけじゃな。そう考えれば、本当にその木屑で紙が作れるのであれば、画期的な発明と言えるな」
「そうだね。紙のコストが下がれば、国力の大幅な増加につながるだろうしね。それに、ドロドロにする薬品については一つ心当たりがある。学園に持ち帰って研究してみるよ」
流石お兄様です。早くもこの紙の製造過程を理解しただけでなく、薬品についても心当たりがあるなんて。やはり、全てはお兄様しか勝たん。
「あ、そう言えば、ラズエルデ先生とお兄様でこの紙の研究をされたらどうですか?」
「わ、私じゃと?」
「常々、後世に名の残る研究をしたいとおっしゃっていたじゃないですか。この研究が成功すれば歴史に名前を残せますよ」
そんなことは言ってないのだが、俺は話を合わせてもらうために、ラズエルデ先生にだけわかるようにウィンクをする。
「………王立学園で研究をするなら、助手として雇うことになるけど、どうする? ラズ」
「や、役に立つか分からんがいいのか?」
「ラズエルデ先生の知識があれば大丈夫ですよ」
漂白などは俺が陰からアシストすれば大丈夫だろう。ラズエルデ先生もお兄様と共同作業ができれば、仲を取り持つという俺と先生の約束を少し果たしたと思ってくれるだろう。これは、先に続く漫画への布石となる第一歩であり、ラズエルデ先生との約束を果たすこともできる一石二鳥の研究なのである。
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