3 / 3
後編
しおりを挟む「えー、僕だけ登校日あるのー?」
朝、学校の制服に着替えた空は文句を言った。
「俺らの学校はねえな」
「久しぶりの兄さんの制服姿かわいー。パンツ履いた?」
「…しまった!」
慌ててパンツを履いてくると玄関で双子が待っていてくれた。
靴を履き終わると、パンツを履いてるかわざわざベルトを外してまで確認され、全身をすんすんと匂われる。
「兄さんエロい匂いさせてるけど大丈夫?」
「さっきまでセックスしてたもんな」
「でもシャワー浴びる時間ないよ! 行ってきます!」
一度玄関を開けたけれど「忘れ物!」と再びドアを閉める。双子が「??」と首を傾ぐ間に素早く頬にキスをして笑顔で出て行った。
ーー登校日といっても一時間ほどで終わり、先ほど歩いた道を空は帰っていた。
「暑い…暑すぎる…」
登校日とは一体何をするのか未だによくわからない。できた課題の提出を求められたが、九月入ってからでいいのではと文句たらたらだ。
マンションの一室へと帰ってきた空は、そーっと玄関の鍵を開ける。
(にしし、帰る時間伝えてなかったからびっくりさせよ)
リビングへ入るとガンガンに効かせたエアコンが涼しくて嬉しい。ヤケに静かだなとキングサイズのベッドを覗き込むと、夏都と冬都がまるで鏡のように左右対称に寝ていた。
思わず空は自分の口元を押さえた。
(かわいい…っ!!)
なんやかんやあっても可愛い義弟である、寝顔なんてあどけなくて可愛すぎる。
すーすーと穏やかな寝息がこれまた素晴らしい。
(ちょ、写真、写真撮らなきゃ!)
こんなシャッターチャンス滅多にないと、空は連写で撮り続けた。
その音に気づいたようで双子は目を開けた。
「ん…? なに兄さん…盗撮ぅ?」
「あーあ、とうとう犯罪に手ぇ染めちまったかあ」
「連行連行」
ベッドに横になるふたりの真ん中へと沈められた。
「ふたりの寝顔撮ったんだよ! ほらかわいい!」
そう言ってスマホのフォルダを見せてあげると、おえー、と双子から嫌な声が上がる。
「かわいくねえし怖いぐらい同じ顔してんな…」
「真ん中に鏡置いてるみてえで怖い…」
「めちゃくちゃかわいいじゃん! 僕これ待ち受けにするー!」
設定を変えようとしたらスマホを取られポイっと投げられる。夏都と冬都にさらに抱きしめられた。
「おかえり兄さん。早かったね」
「まだそれ着てんのか? さっさと脱げ」
そう言いながらあっという間にふたりに学校の制服を脱がされる。もちろんパンツまで没収された。
「あああースベスベ…」
「もちもちい…」
「僕がいない間いい子にしてた?」
「掃除に洗濯終わらせた」
「ついでにお昼ごはんの準備も完了」
「ホントにいい子すぎるね…」
「兄さんはー?」
「浮気してませんかー?」
「するわけないじゃん。ていうか登校日って行っても行かなくてもよかったみたい。クラスの半分いなかった」
「グループトークの意味ないじゃん」
「もう退会しよ退会。さあ兄さん閉鎖的な毎日をエンジョイしましょう」
いつの間にか冬都が空のスマホを持っていたため、慌ててその手を叩き落とした。
「もうすぐお盆だけどなつくんとふゆくんはお墓参り行く? ウチは父さんが行かなくていいってさ」
「ウチも行かなくていいって母さんが言ってたな」
「こっちは結構複雑な家庭だしな。ていうか死んだとして墓参りされたいか?」
「全く」
「僕もされたくはないかなあ」
「じゃあ墓の中で三人仲良くしときましょ」
「はーい」
「へーい」
カーテンを閉め切りエアコンの効いた涼しい1R、三人は全裸でぐーぐーいびきをかきながら仲良く眠った。
「今日どっかで最高気温40度超えたってさ」
「マジか…兄さん水分摂って。とりあえず飲んで」
「そう言いながらちんちん出さないでよなつくん…」
「あ、俺のほうがいい?」
「ふゆくんもちんちん出さないで…」
「じゃあ俺らの水分補給ってことで、兄さんのをいただきましょうか」
「そうしましょうか」
「へ!? ちょっ、まっ、ま…あぁっ、んん、んっ…ふあ…っ」
「兄さんのかわいー。すげーピクピクしてる」
「あれ? もう出そう? あ、出た。兄さん全身震わせてめっちゃかわいい。気持ちよかった?」
「……」
「つかこれくらいじゃ水分補給になんねえし。兄さんまだ出るでしょ?」
「俺もほとんど飲めなかった。兄さんがんばれ」
「悪魔ぁあああ」
空は体中にタオルケットをぐるぐる巻きにし籠城した。
「僕は嫌だって言ったよね?」
しかし両隣の夏都と冬都は知らん顔でスマホを見ている。
「あの体位は僕は嫌だって何回も言ったよね」
「初耳ー」
「初耳ー」
「僕は怒ってるんだよ!」
「へーへー」
「ソウデスネー」
「うぅ…なつくんもふゆくんも嫌いだぁ…」
タオルケットの中でシクシク泣きべそをかいていると、勢いよくそのタオルケットを引っ剥がされた。
一瞬で全裸が露わとなり、空の目が丸くなる。
「誰と誰が嫌いだって?」
「ねえ兄さん、俺らの聞き間違いだよなあ?」
超至近距離で双子が微笑んでいるが目は笑っていない。しかも額には青筋が浮かんでいる。
ーーしまった。地雷踏んだ。
空はすっかり忘れていた。夏都も冬都も「嫌い」というキーワードが地雷である。
双子が笑わない瞳でにっこり頬笑んだ。
「で? 兄さん」
「何か言うことあるだろ?」
「…ご、ごごごごめんなさい…」
「俺らのこと好き?」
「大好きですっ」
苦し紛れにふたりに抱きつくと「まあいいでしょう」「まあ許しましょう」となんとか許しを得られた。
「そういや兄さん来年受験だよな。大学行くの?」
冬都がそんなことを聞いてきた。ふたりの腕の中、空は首を振るう。
「んーん、就職する。したいことないし勉強苦手だし」
「ということは、社会人一年目の兄さんには高校生の恋人がふたりいるってことになるよな」
「わー犯罪臭」
「で、社会人二年目になると大学生の恋人がふたりいると」
「なんか言葉にすると結構危ないヤツだね兄さん」
「…危ないのはキミたちだけどね」
夏休みに入った途端パンツは履かせてくれないわ、昼夜問わずセックス三昧だわ…どう考えても双子の方が危ないヤツである。
「なつくんもふゆくんも大学行くんでしょ?」
「俺らエスカレーター式だから受験関係ねえ」
「頭いいもんねぇふたりとも」
「で、大学行っていいとこに就職して早めに家買う」
「家?」
「三人で入れるでけえ風呂が欲しい」
「俺は特注でベッドが欲しい。もう少し広いの欲しい」
そして双子は声を揃えて言った。
「兄さんと一緒に住むー」
まるで駄々をこねる小さな子供のような言い方に、ぷっ、と空は吹き出した。
「なに兄さん」
「なにがおかしいんだよ」
「んーん。僕もね、三人で住みたいなーって思ってたから」
「相思相愛」
「当たり前だろ」
「ずーっと三人一緒だね」
空は交互にキスをした。
「あ、幼馴染からメッセージ来た」
いつもの制服であるタンクトップ一枚でベッドの上をゴロゴロしながらスマホを見る。
上半身にくっつき脇に顔を埋める夏都が、眉間に皺を寄せて驚いた顔をする。
「兄さん…え、幼馴染いるの!?」
「マジで? マジで初耳なんだけど!?」
「?? なんでふたりともそんな驚いてるの…?」
続いて下半身にくっついて太ももに頬を挟んでいる冬都が「だって!」と叫んだ。
「幼馴染って危険じゃん! どんな漫画だって最終的には幼馴染が攫ってくんだぜ!?」
「俺の方が全部知ってますう、みたいな顔して出てくんだぜ!? っあームカつく!!」
「しかもアイツら幼馴染マウントすげえんだぜ! マウント取んなや!」
「いじめてたり無視しやがってたくせに最後には主人公の味方してるとかどういう了見だ!」
「国民的漫画のあれやこれやも全部幼馴染っ!」
「どんなに距離詰めても幼馴染には勝てねえんだよっ!」
そして双子は声を揃えて叫んだ。
「俺らだって兄さんと幼馴染したかったーっ!!」
空はぽかんと口を開ける。
キミたち…そんな大声出せたんだね。というか義理の弟と幼馴染って、それはただの義兄弟だよ。
驚く間にも通知音は鳴り続ける。ジトリと、双子から嫌な目線が届いた。
「すげー鳴ってんじゃん」
「兄さん返信してあげなよ」
ずりずりとふたりが這い上がり、右に夏都左に冬都という配置で頭をガッチリ抑えられる。
「えー、なになに? お盆だからそっちに遊びに行くよ、と」
「久しぶりに会おうよ、と。へえー、兄さん遊ぼうってさー」
「へえー、どういう間柄なんでしょうねー」
「え、ええっと、幼稚園と小学校が同じで、卒業と同時にその子が引っ越して、それからずっとメッセージでやり取りしてて、たまにお盆に帰ってきて…えっと、えっと、二年ぶりぐらいかなぁ、今回会えたら…」
「ふーん」
「ふーん」
頭の上での同じ声同じトーンでの「ふーん」が怖い。
「で? 兄さんは俺らかわいい弟置いて遊びに行くの?」
「そんなわけねえよなあ。兄さんは俺らと遊んでくれるんだよなあ」
「……断りの返事しときます」
当然、と双子が頷いた。
さてどうやって返信を打とうか考えるより先に、その幼馴染から電話がかかってきてしまった。
あ、と思うより早く冬都にスマホをタップされ、久しぶりに聞く幼馴染の声が耳に届いた。
「あ、ひ、久しぶりっ」
鼻と鼻と鼻がくっつきそうなほどの超至近距離で夏都と冬都に見つめられる。怖いよキミたち。
「うんっ、元気っ、そっちは変わりない? う、うんっ、そっか、うんっ」
すると夏都と冬都がお互いにこそこそ小さな声で喋り始め、大きく頷くとなぜか足元に座った。
「あー、えっと、前に話したと思うけど父さん再婚して、うん…そう、ちょっと今、……っ!?」
両足に何か異変を感じた空が足元を見ると、夏都に右足、冬都に左足を取られていた。
双子が、にまあ、と笑うと同時に足の親指を舐め始めた。
ねっとりと舌が絡みつく。咄嗟に足を引っ込めようとするも空の力では叶わず離してはくれなかった。
「ふっ…、あ、ううんっ、なんでもな……んんっ」
足の小指と薬指の間を、双子の指が行き来する。指の股が擦れる感覚に、ぴくぴくと空の体が反応し始めた。
それまでふたりとも同じ動きをしていたのに、夏都が小さな小指の爪をカリカリと引っかき、冬都が足の裏全体をべろりと舐めた。
「ううっ、だいじょ、ぶ、どっかいたいとかじゃ、ない、から…っ、う、うんっ…」
再びふたりが親指を舐める。まとわりつく様に絡ませ、足の裏を引っ掻かきながら足の股を何度も何度もふたりの指が往復する。空の下半身に熱が溜まってゆく。
ちらりと双子が空を見上げる。空が涙目で睨みつけると途端ににんまり笑い、音を立ててさらに足の全指をしゃぶり始めた。
「ぁ、あ、な、んでもない、から…ぁっ」
タンクトップの裾が不自然に盛り上がり、布地にじんわりと染みが浮き始めたのを見た空は最後の力を振り絞って、
「夏休みは全部弟の相手しなくちゃだからごめんねじゃあねまた今度っ!」
と叫んでふたりにスマホを差し出した。
画面が消えたのを確認した双子は顔を上げ、にこ、と笑った。
「へー、俺らの相手してくれるんだあ」
「へー、夏休み全部相手してくれるんだあ」
文句のひとつでも言ってやろうと思うのに、ゼーハーと荒い呼吸のせいで言えない。代わりに睨みつけてやる。
「つかイかなかったかー」
「もう少しじゃね? 惜しい」
ぺろりとタンクトップを捲られ空自身が飛び出す。ぷるっと出てきたそれは全体が濡れそぼっていた。
「そっかそっか、兄さん足も弱いかあ」
「乳首も弱いし、次どこ攻める?」
「俺、脇がいい。兄さん結構そこ敏感」
「じゃあ俺は耳だな。耳もあと少しなんだよなあ」
あと少しって何が!?
のし、と体の大きな双子にのし掛かられ、空は逃げられない。
にっこり楽しそうに笑う夏都と冬都にただただ「お手柔らかに…」としか言えなかった。
「大丈夫コレ? 入る? まあ挿れるけど」
「あぁああっ! あっ、あっ、ああああ…っ」
「やっぱ二本はキツいか。兄さん大丈夫?」
「兄さんが苦しいならやめるよ?」
「だいじょ、…んっ、ぶ、はぁああっ、あっ、んん……」
「やっぱゴムしたほうがよかったんじゃね?」
「ゴムいらないって言ったの兄さんだし。俺すげー気持ちい」
「俺もヤバいくらい気持ちーわ」
「兄さんは? ちゃんと気持ちいい?」
「す、っごく、はあ、あ……んんんっ、きもち、ぁ、いい…っ」
「俺らの一気に挿れるとか兄さんエッロ」
「エロくてかわいすぎ」
「だって、んっ…ふたりとも、だいすきだもん……」
「俺も兄さん大好き」
「兄さん愛してる」
「用意できたかー?」
夏都にそう声をかけられ、にしし、と空は笑う。
「今日はちゃんとパンツ履きました。えらいでしょ」
「ノーパンで学校行くわけにもいかねえだろ」
今日から新学期がスタートである。それぞれの制服に身を包んだ双子と空がお互いをチェックする。
「僕は登校日以来だなぁ。ちょ、そんなに匂い嗅がないでよ」
「なんかもう鼻がバカになってる」
「俺も。兄さんからエロい匂いしか感じられない」
「今日の朝はセーブしたのにねぇ…」
「しょうがねえよ。マジでセックス三昧の夏休みだった」
「あーあ、次は冬休みかぁ。まあでも三連休もちょくちょくあるし」
「土日でヤりまくればいいし」
「今日は俺ら昼まで」
「兄さんとこの学校は?」
「僕もお昼まで」
夏都と冬都ににんまり笑われてこう聞かれた。
「全員昼までだな。で、兄さん? 帰ったら三人で何して遊ぶ?」
空は真っ赤な顔で答えた。
「三人でえっちなことして遊びたい…」
「あーもー兄さんかわいい!」
「俺らの兄さんかわいすぎ!」
双子に抱きしめられて空は笑った。
「それでは諸君。たまには勉学に励みましょう」
「はーい」
「へーい」
そして玄関ドアを開けて三人で「いってきます!」。
58
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
学園の卒業パーティーで卒業生全員の筆下ろしを終わらせるまで帰れない保険医
ミクリ21
BL
学園の卒業パーティーで、卒業生達の筆下ろしをすることになった保険医の話。
筆下ろしが終わるまで、保険医は帰れません。
冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。
丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。
イケメン青年×オッサン。
リクエストをくださった棗様に捧げます!
【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。
楽しいリクエストをありがとうございました!
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
義兄は双子の義弟に三つの隠し事
ユーリ
BL
「兄さんは絶対あげねえからな」「兄さんは俺らのだからな」
魔法省専属モデルを務める双子を義弟に持つ伊央は、この双子の義弟に三つの隠し事をしていた。なんとかして双子はそれらを暴こうとするけれど、伊央と謎の関係性を持つカメラマンの邪魔が入ったりでなかなか上手くいかなくて…??
「兄さん大好き!」「大好き兄さん!」モデルの双子の義弟×十二歳年上の義兄「二人いっぺんは無理です」ーー今日も三人は仲良しです。
そのモブは、私の愛しい唯一無二
ミクリ21
BL
アズエル・ミスティアはある日、前世の記憶を思い出した。
所謂、BLゲームのモブに転生していたのだ。
しかし、アズエルにはおかしなことに思い出した記憶が一つだけではなかった。
最初はモブだと信じきっていたのに、副会長セス・フェリクスに迫られ続けるアズエルの話。
異世界から戻ってきた俺の身体が可笑しい
海林檎
BL
異世界転生で何故か勇者でも剣士でもましてや賢者でもなく【鞘】と、言う職業につかされたんだが
まぁ、色々と省略する。
察してくれた読者なら俺の職業の事は分かってくれるはずだ。
まぁ、そんなこんなで世界が平和になったから異世界から現代に戻ってきたはずなのにだ
俺の身体が変なままなのはどぼじで??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる