【完結】悪役令嬢と自称ヒロインが召喚されてきたけど自称ヒロインの評判がとんでもなく悪い

堀 和三盆

文字の大きさ
41 / 64
リリーside

7 生徒会長の攻略

しおりを挟む
 生徒会長は整ったタイプのイケメンだった。目も、鼻も、口も、とにかくすべてのバランスがいい。ただ、その分特徴がなく地味に見える。1位の彼のように全体的に華があるわけでもなく、2位の彼のように大きく魅力的な目を持っているわけでもない。

 髪型を流行のモノに変えれば、オシャレな着こなしをすれば、ランキングはすぐにでも入れ替わりそうなものだが、髪型はごく平凡だし、制服もまるで入学案内のパンフレットのようにキッチリと着こなしている。それはそれで清潔感があるが、とにかく特徴がない。秀でているといえば、学年トップの成績と生徒会長という立場だろうか。

 クラスメイトにどんな人かと聞いてみても、「もろ生徒会長!」としか返ってこない。確かに、観察してみると自分に厳しく他人にも厳しく、だけどどこまでも面倒見がいい。もろに生真面目な生徒会長タイプだ。あれ……誰かに似ているな。誰だっけ?

 まあ、生徒会長といえば定番だし、攻略対象としてはふさわしいだろう――そう思っていつも通りにくっつこうとしたら。

 避けられた。

 不意を突いても自然に距離をとられる。
 え?なにこれどうなってるの??

「悪い。親しくない人にくっつかれるの苦手なんだ。あと、クラスの人からも苦情が来ているよ。君は人との距離の取り方がおかしいようだ。異世界とは生活習慣が違うのかもしれないけど、気を付けた方がいい。少し練習してみようか」

 そう言うと、椅子に座らされ、周囲を机で囲まれた。
 え?なにこれ……

「やだ、もー、生徒会長ったらぁ……」

 甘えた声で手を伸ばしたら

「ああ。君はスタイルがいい分、手も長いね。机二つくらいから練習しようか」
 ――机を二列に増やされた。

「もー、冗談ばっか……」

 立ち上がって手を伸ばしたら三列目の机を物色し始めたので冗談ではないと悟った。
 だから。

「分かった! 机二つね」(にこっ)
「分かってもらえて嬉しいよ。また、距離感が分からなくなったら声かけて」(にっこり)

 彼の攻略は中止した。


 べ……別に、私の魅力が足りなかった訳じゃないわ。趣味じゃないからやめただけよ。所詮は5位だし。

 それに、どうやら私のサポート役となっている委員長が生徒会長のことを好きらしい。
 彼女の言動から何となく察した。あの変人のどこがいいのかと聞いてみれば「生徒会長は昔から優しいから。それに、眼鏡が似合いそう」と返ってきた。
 確かに、バランスの良いシンプルな顔立ちは眼鏡をかければイケメン度が上がりそうだ。残念ながら目は良さそうだけど。私がそう言えば、

「今はそうでも30年もすればいずれかけるようになるでしょう? 別に焦ってないからいいの。それに、心の中ではいつでも着脱可能だわ」

 とか、遠くから彼を見ながら言っていた。どうやら委員長は眼鏡男子好きらしい。老眼鏡狙いか。気の長い話だ。私も遠くからその姿を想像し、彼が誰に似ているか気が付いた。

 神官長だ。生真面目で、厳しくて、融通が利かない。一回り以上は年上の神官長は老眼鏡ではないけど、眼鏡をかけている。顔自体は違うけれど、まとう雰囲気がそもそも似てるのだ。生徒会長が歳を取って、眼鏡をかけさせれば更に似るだろう。考えてみれば性格もそっくり。

 私、あの人苦手だったんだよね……。

 何にしても、友人の思い人に手を出すようなマネはしない。え?第一王子?悪役令嬢は友達ではないからいいのよ。

 その悪役令嬢はずっと生徒会長と行動を共にしている。委員長に聞いたところ、どうやら生徒会長が悪役令嬢の世話係としてついたらしい。

 クラスメイトの思い人に手を出すとか最低だわっ。
 やっぱり嫌いよ。あの、悪役令嬢。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

冤罪で処刑されたら死に戻り、前世の記憶が戻った悪役令嬢は、元の世界に帰る方法を探す為に婚約破棄と追放を受け入れたら、伯爵子息様に拾われました

ゆうき
恋愛
ワガママ三昧な生活を送っていた悪役令嬢のミシェルは、自分の婚約者と、長年に渡っていじめていた聖女によって冤罪をでっちあげられ、処刑されてしまう。 その後、ミシェルは不思議な夢を見た。不思議な既視感を感じる夢の中で、とある女性の死を見せられたミシェルは、目を覚ますと自分が処刑される半年前の時間に戻っていた。 それと同時に、先程見た夢が自分の前世の記憶で、自分が異世界に転生したことを知る。 記憶が戻ったことで、前世のような優しい性格を取り戻したミシェルは、前世の世界に残してきてしまった、幼い家族の元に帰る術を探すため、ミシェルは婚約者からの婚約破棄と、父から宣告された追放も素直に受け入れ、貴族という肩書きを隠し、一人外の世界に飛び出した。 初めての外の世界で、仕事と住む場所を見つけて懸命に生きるミシェルはある日、仕事先の常連の美しい男性――とある伯爵家の令息であるアランに屋敷に招待され、自分の正体を見破られてしまったミシェルは、思わぬ提案を受ける。 それは、魔法の研究をしている自分の専属の使用人兼、研究の助手をしてほしいというものだった。 だが、その提案の真の目的は、社交界でも有名だった悪役令嬢の性格が豹変し、一人で外の世界で生きていることを不審に思い、自分の監視下におくためだった。 変に断って怪しまれ、未来で起こる処刑に繋がらないようにするために、そして優しいアランなら信用できると思ったミシェルは、その提案を受け入れた。 最初はミシェルのことを疑っていたアランだったが、徐々にミシェルの優しさや純粋さに惹かれていく。同時に、ミシェルもアランの魅力に惹かれていくことに……。 これは死に戻った元悪役令嬢が、元の世界に帰るために、伯爵子息と共に奮闘し、互いに惹かれて幸せになる物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿しています。全話予約投稿済です⭐︎

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。 メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。 なんかこの王太子おかしい。 婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。

婚約破棄された男爵令嬢は隠れ聖女だった。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...