【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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24 微かな違和感

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 それからというもの、ロイエはこれまで以上に仕事に打ち込んだ。

 愛するヴィクトリアとの間に待望の子供が出来たのだ。我が子が産まれるまでの間に、自らが傾けてしまったこの国を少しでも安定させておきたかった。

 正気を取り戻したロイエの元には以前の側近達が戻ってきている。そのお陰で日々の業務に支障はない。

 これまでの経緯から色々と思うところはあるだろうが、彼らも妻と子の為に必死に頑張るロイエを見守ってくれている。


「皇帝陛下。ここのところ、随分と精力的にお仕事をされておられますね」

「もちろんだ。何と言っても、私とヴィクトリアにとって初めての子供となるからな。父親として、産まれてくる子供には少しでも良い環境を与えてやりたい」

「…あ……。そ……、そう、ですね」


 必要な書類を受け取り、そそくさと去って行く側近。その後ろ姿を見送って、ロイエは小さく息をはく。


(……まただ)


 意欲的に働くロイエの姿勢は概ね肯定的に受け入れられているものの、先ほどのように、ふとした時に困惑したような表情を向けられることがある。

 相手が他国の王族のこともあれば、城で働くメイドや自国の商会長だったりもする。子の話をすると最初のうちは和やかに話が進むものの、途中で空気が変わるのだ。


(……まあ、でもそれも当然のことかもしれないな)


 これまでとってきた己の最低な行動を振り返りロイエはそう自嘲する。

 相手に騙されてのこととはいえ、一度は妻を裏切ったのだ。

 ロイエは自分が罪を犯したことはしっかりと認識している。当初は記憶が不鮮明なこともあり罪の意識も薄かったのだが、あの悪夢の連鎖で充分に思い知らされた。

 あの悪夢を現実のものとして体験し、たった一人で乗り越えたヴィクトリアのことを思えば、この程度のことで傷ついてなどいられない。




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