【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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25 贖罪

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 ――皇帝の番を自称する女の怪しげな術に囚われて。

 正気を失ったロイエ自身の手で優秀な側近達は全てどこかに追いやられ、次々と出される愚策のせいで帝国は振り回されて、常に殺伐とした空気が漂っている城内――。


 その状態で帝国が瓦解せずに済んだのは、ひとえに皇后であるヴィクトリアが国を見捨てず敵だらけとなった城に踏みとどまって、国の運営についてギリギリの采配を振ってくれていたからだ。

 偽の番に良いように操られてやりたい放題にやっていたロイエの尻ぬぐいはさぞかし大変だっただろう。

 ロイエが正気を取り戻し、初めて目にしたヴィクトリアの憔悴ぶりは凄まじいものだった。芯の強いヴィクトリアをあそこまで追い詰めた己の所業に恐怖すら覚える。

 当事者であるロイエですらそうなのだから、ソレを冷静に見ていた他者からすれば、それまで虐げていた妻への態度を突然変えたロイエに対し、疑いの目をむけたくもなるだろう。その気持ちもよくわかる。

 それほどまでにヴィクトリアに対するロイエの扱いはひどかった。


 頑張っても、頑張っても。
 現在のロイエを見る目にはそんな過去の失態が付きまとう。

 真意を探るような他者からの視線でソレに気が付くたびに、努力が報われない状況にひどく心が軋む。

 ――けれど。


(ヴィクトリアが味わった絶望はこんなものではない筈だ)


 あんな目に遭わされながら、今なおロイエに対し変わらぬ笑顔を向けてくれる愛しい妻の為にも、遠くない未来に産まれてくる愛しい我が子の為にも、自分自身の手で信頼を取り戻すしかない――ロイエはそう決意した。




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