【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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41 苛立ちと誘い

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 時が過ぎて。
 長男に続き双子も七つを越えて女神様の手を離れた。

 けれど、相変わらずロイエとヴィクトリアの寝室は分かれたままだ。


 そのせいか最近のロイエは余裕がなくなってきている。
 ちょっとしたことですぐに苛立ちを覚え、貯め込んだ感情が爆発しそうになる。

 身体と共にロイエの心は妻への不満でいっぱいだった。

 確かにロイエは番を騙る女に騙され愛するヴィクトリアを傷つけたかもしれない。けれど、ヴィクトリアはそんなロイエを許し、一度はその身にロイエを受け入れてくれたのではなかったのか。

 忙しい。疲れた。公務が――のらりくらりと言い訳をしながらヴィクトリアは頑なにロイエとの夫婦の交わりを拒絶する。

 仕方なく――ロイエは罪悪感に苦しみ苛立ちを抑え、自分で自分を慰める日々を送っている。他の女のことなど考えもしない。

 当然だ。確認は取れずとも二人は番なのだから。


 どんなに拒絶をされようとも、ロイエの心を占めるのは愛しい妻だけだ。


 ロイエの脳裏に浮かぶのはいつだって。


 憎い……愛しい愛しいヴィクトリア。
 あの女……とは違う凛として奥ゆかしいヴィクトリア。

 まるで娼婦のような色香の漂う豊満な肉体……ではなく。



 あの男を誘う白く滑らかで傷一つない妻の――。



 子供達も成長し順調に育っているというのに、妻との関係だけが上手くいかない。

 心が安定しないせいで苛立って夜はあまり眠れない。そのせいで仕事にも支障が出てきている。周囲に当たり散らすことも増えてきた。

 全て全て、妻との関係が上手く行っていないからだ。


 妻からの、この終わりのない拒絶はいったいいつまで続くのか。ロイエだって十分苦しんだし、もう許されてもいいはずだ。


 ヴィクトリアを夫婦の寝室へと呼び出し、正気を取り戻して以来少しずつ貯め込んでいたその思いを口に出そうとしたときに――。


「陛下。子供達も無事に七歳を超えて女神様の手を離れました。あの子達はもう大丈夫でしょう。最近お疲れのようですし、ここは子供達に任せて――――休養の為に、私と一緒にあの離宮へ参りませんか?」




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