【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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番外編

6 初夜(ヴィクトリア視点) ※

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「…………っ」

 初夜となるその日。

 祝いの席を一足早く退席し、一人で準備を進めたヴィクトリアを一目見て――部屋へ入ったズィーガーは固まって両手で顔を隠した。

 手では隠しきれていないズィーガーの顔と耳が真っ赤になっている。

 そんな夫を見て隠すべき場所はそこではないと思ったがヴィクトリアは口には出さなかった。あまりに品がないからだ。

 とはいえ、しっかりと反応が目に見えて判ったのは嬉しかった。初夜と言っても過去に結婚をしていたヴィクトリアは初めてではないし、何なら三人も子供を産んでいるのだ。

 そのこと自体はなんら思うところはなくむしろ誇るべきことだと胸を張って言えるけれど、実際に目にしたズィーガーがどう思うのかは分からない。そう思っていたけれど、全てが杞憂だったようだ。


 多くの使用人に丁寧に体を磨かれ隅々まで洗われ、夫婦の寝室でロイエを待っていた一度目とは違い、それら全てを自分で準備した今回。ヴィクトリアは恥ずかしさに身もだえた。

 そんなヴィクトリアが身に付けているのは、意外なことに一度目よりも手の込んだ物だ。

 この島では婚礼衣装が使いまわしな分、全ての労力をそちらに回すのだそうだ。あーでもないこーでもないと島の女性陣からアドバイスを受けながら、これもヴィクトリア自身の手で用意した。布選びからデザインから……何もかも。

 仕上がりを見てやり過ぎなのではないかと不安に思っていたが反応は……良かった。すぐに取り払われてしまったが。


 行為自体は変わらない……と思っていたがとんでもなかった。


 おでこに唇を落とされて。頬に触れられ。首筋に触れられ。そして――口。
 ズィーガーを相手にそこまでは経験していたが、問題はその先。


 触れ合うだけでとてつもない快楽がヴィクトリアを襲い、自分を見失いそうになる。身体が融け合い魂が合わさり、それが快楽と共に混ざり合う。

 とても正気ではいられない。
 それでも――。

 魂が番う歓喜と怯えに自分を見失いそうになるたびに、夫となったズィーガーがヴィクトリアを気遣うように踏みとどまってくれる。

 身体だけじゃなく心も繋がっているのだ。

 それを感じ取れるだけで、ヴィクトリアは落ち着いてその過剰な感覚を受け流すことが出来る。


 ――もしかしたら。


 ロイエを狂わせたのはコレだったのかもしれない――とヴィクトリアは思った。

 番と出会い、心を繋げぬままに快楽だけで相手と結びついてしまったから。だからあの二人は暴走した。

 けれど、ヴィクトリアにはズィーガーがいる。

 常に後ろで。そして横に並び。前に立って。
 ヴィクトリアを守り、愛して――心に寄り添ってくれるズィーガーが。

 一度はロイエに愛を誓い破れたヴィクトリアだけど。
 ……今は、夫となったズィーガーがこんなにも愛おしい――。


「……はぅっ!」


 幸福に包まれながらヴィクトリアがそんなことを考えていたら、突然、夫に激しく突き上げられた。

 いつもは優しい彼の目の奥が何かの感情を抑えるように揺らいでいる。抑えきれていない感情がヴィクトリアに向かい、ヴィクトリアの身体を激しく責め立てる。




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