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12 有能外交官の暗躍
しおりを挟むとにかく、彼女をあのまま放置したら危険だ。
彼女の命を守るために、なんとかして夜会以外でも必要な栄養を摂れるようにしなければ。
そう考えたデュナミスは人を介して伯爵夫人に食料を届けることにした。もちろん夫から警戒されている自分の名前を出すわけにはいかないし、この国で暮らす獣人の多くは運命の番に対して特別な感情を持っているから、彼らを刺激しないように上手くやらなければならない。
外交官として情報を集める中で、この国の有力貴族が求める物もある程度は把握している。
ある者は自らの運命の番のために希少な宝石を求め、ある者は珍しい生地で作られたドレスを求め――被害者の救済すら運命の番の存在に左右されるのは思うところがあるが、命がかかっている以上、方法を選り好みなどしていられない。
公爵教育で得た知識を使い、外交官として出来るだけ祖国の利益に繋がるように動きつつ双方に恩を売って、そこから得た人脈を幾つも介して彼女の口に食料が入るようにした。
それは、商人を通して渡される試供品だったり――比較的中立的なメイドや使用人から渡される土産の品だったり。一つ一つは少量でも、少しでも彼女の血肉になればいい、そう思って行動を続けた。
そんな中でも、祖国から取り寄せた野菜の種はかなりの成果を上げたようだ。グロー伯爵領では飢饉対策として成長の早い葉物野菜を絶えず領民に育てさせているのだが、思いのほかキレイな花を咲かせることから、出入りの商人を通して届けさせたのだ。そして、別ルートで栽培方法や食し方が載った本が彼女の手元に届くようにした。
裏庭でこっそり野菜を育てていることを聞いていたので、もしかしたら……と藁にも縋る思いだったが、無事に成功したようだ。少しだけ回復してきた彼女の姿を見て、デュナミスはホッとした。
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