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13 穏便に離婚する方法
しおりを挟むそうやって密かにサポートをする一方で、この状況を打破する方法についても調べ続けた。
この国では運命の番がこれでもかというほど優遇されている。それは『一夫一婦制』という原則を歪めてしまうほどに根深いものだ。
しかし、元凶とも言えるそこにこそ、何か解決の糸口があるのではないか。
そうやって当たりを付けて調べているうちに気が付いた。
獣人には必ず一人運命の番がいる。
結婚後に出会った場合は特例として運命の番を第二の伴侶として迎えることが許される。けれど『保護』を目的として、既にいる伴侶を追い出すようなことは許されない。
けれど――
全ての獣人に運命の番がいるのならば、運命の番の出現により日陰に追いやられてしまった伴侶にも運命の番がいるのではないか。
それに、番が必ず独身とは限らない。
お互いに結婚している者同士が運命の番だと判明するケースだってあるはずだ。
デュナミスは過去の事例を徹底的に調べて、ようやく答えに辿り着いた。やはり、運命の番による特例措置は『結婚』だけでなく、『離婚』についても存在していた。
まず、運命の番がお互いに既婚者だった場合は特例での『重婚』が認められるが、離婚は認められない。配偶者保護の前提が変わらぬためだ。
しかし――婚姻している夫婦の双方に運命の番が見つかった場合は配偶者を保護する必要が無くなったとして、『特例での離婚』が認められるのだ。
過去には番の憂いを失くすために手間と金を惜しみなく使い、伴侶側の番を見つけ出して離婚にこぎつけたケースが数件残されていた。
夫と妻の双方が自然に番と出会ったケースは見つけられなかったことから、この国でもそこまで番との遭遇率が高いわけでもないらしい。
従って、この方法はあまり現実的ではない。
そこで、重要となってくるのがもう一つの特例措置だ。
これは国際交流が進む中で他種族の文化に配慮して定められたもので、人間については『求婚者』が現れれば『番に相当する』として、特例での離婚が認められるのだ。
ただ、人間の暮らす地域はここから遠く離れているため、この組み合わせでの婚姻は政略絡みの貴族階級が多い。家同士の思惑が絡む以上、そう簡単に離婚はできないし、貴族は家の体面を慮って離婚・再婚を厭う傾向が強いので、貴族の間でこの特例措置が使われたことはない。だから、唯一の前例は平民だ。
平民は貴族階級と違って戸籍の管理が厳密ではないため正式な記録には残りづらいのだが、藁をもつかむ思いでそちらについても細かく調査をしてみたところ、ある富裕層の商人がこの制度を利用した記録が見つかった。
富豪の獣人商人は金にものを言わせて美しいと評判の人間女性を妻として迎え入れたものの、直後に自身の運命の番が現れてしまった。
その女性には元々将来を誓い合った男がいて、相手が『求婚者』として名乗り出たために番に相当する者であると認められ、両者の間で離婚が成立したのだ。人間の男女は祖国に帰り幸せに暮らしているらしい。
確認できたのはこの一件のみだったが、前例があるのは大きい。
そして、伯爵夫人は人間である祖母の血を引いている。外見的にも非常に人間に近い。だからこの特例措置を使える可能性は十分にあるはずだ。
そうなると――あと必要になるのは彼女への『求婚者』だ。
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