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14 求婚者
しおりを挟むデュナミスの生家は伯爵家だ。本来ならば、貴族として家のために政略結婚をする必要がある。けれど王女との一件が尾を引いて、自国内でまともな結婚相手を探すのは難しいだろう。
婚約者に裏切られたこともショックだったし、デュナミスも結婚とは距離を置いて、生涯一人で生きていくつもりだった。
事情が事情なので両親は何も言ってこない――が、本心ではデュナミスにも温かな家庭を築いてほしいと思っているようだ。兄思いの弟妹についても、それは同じ。
だからそんなデュナミスが『結婚したい女性がいる』と言えば、どんな事情があっても家族は大喜びするはずだ。
虐げられた者への同情か共感か――そこに恋愛感情があるのかは正直分からない。けれど、貴族の政略結婚なんて愛情は後からついてくるものだ。
お互い誠実に向き合えば愛情は自然と生まれるだろうし、彼女とならばそれを育てていけるように思う。それに少なくとも、デュナミスならば大切な妻の命を危険に晒すような真似はしない。
祖国に戻れば王都から離れて領地で暮らすことにはなるだろうが、そのぶん煩わしい社交からは離れられるし、周囲の悪意に晒されることなく穏やかに暮らしていける。なんなら祖国には戻らずに、このまま外交官として各国を転々としてもいい。
好奇心旺盛な彼女とならば、それも楽しいだろう。
いずれにしても、彼女の栄養状態を考えればあまり悠長にはしていられない。
こうなったら一刻も早く、彼女に求婚をしなくては……
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