婚約破棄、ありがとうございます

奈井

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「このような公の場でエミリエンヌをまるで辱める事を言うなんて!ティーシル様はどうかされている!物事には順番というものがあるでしょ!」

ポーレット、だんだん言葉遣いが…。

でも、私の為に怒ってくれているのだと思うと嬉しい。

大切な友人です。

友人たちが口々に慰めの言葉をかけてくれましたが、私とした事がただ頷くだけで一言も言葉を発する事ができませんでした。

その後、話を聞いて駆けつけてくださった、本日の主催者であるリューフワ侯爵夫妻に慰められながら帰路についた私。


帰る馬車の中で頭を整理しました。


婚約解消と言う事は、結婚しなくて良いと言う事だよね?

ルゥグホン家の次男で跡継ぎでもないティーシル様は母方の保留になっている王家預かりの爵位デュヴァラ伯爵を賜る手はずを整えていた。

私はデュヴァラ伯爵婦人にならなくていいのよね?

結婚後は近くにいて欲しいとの両家の希望で、ルゥグホン家の敷地内に別宅を建設中で来年を待たずに完成する予定だった。

別宅には住まなくていいのよね?

考えてみたら、お慕いしているベルナルダンお兄様の近くで、好きでもない方と一生暮らすなんて私にとって残酷じゃないかしら。

ティーシル様のことは好きでもないけど、嫌いでもない。

だって兄妹のように過ごしてきたんだもの。

それに、恋なんて、とっくにベルナルダンお兄様にしていたから。

無くす事ができなかった、いつが始まりだったかもわからない私の恋。

もし私たちが結婚して、そのうちベルナルダンお兄様もご結婚されて、お兄様と奥様の仲睦まじい様子を毎日見てるなんて、考えただけで…嫌です。

我侭な私。

本当はこの結婚に納得していない事を、悟られないようにしていたけど、もう嘘をつかないくていいのよね?

ベルナルダンお兄様を好きでいてもいい…それはダメだ。

婚約を解消されて世間では私って”傷物”よね。

それはちょっとだけ悲しいです。

弟との結婚がダメになったからって、今度は兄、なんてダメに決まっている。

どうせベルナルダンお兄様と結婚できないのなら、他の方だって嫌ですもの。



そうだ、考え方を変えて!

えーと、一生1人でいる口実が出来てちょっとだけ幸せなのかもしれません。

これでいこう!



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