婚約破棄、ありがとうございます

奈井

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ベルナルダンお兄様はご自分の顎に手を置き納得いかないご様子。

「そうかな?じゃあ、せめてエミリを好きな僕の気持ちを受け入れて。」

そう申されましても…。

「それは…あまりにも夢のようで信じられないだけです。」

”やっぱり”と確信して、少し怒った時のようにこちらを見ます。

「ほら、信じてないだろ。どうして夢だと思うの?こんな近くで、しかも目の前で言ってるのに。」

そうおっしゃられても、長年思っていた事を覆す事は難しいのですよ!

「だって、ベルナルダンお兄様が私を好きだなんて、都合のいい夢でしかないわ!」

少し声が大きくなってしまいましたが仕方がないですよね!

少々ふて腐れたように見えるベルナルダンお兄様に苛立ちます!

「なんだよ、都合のいい夢だなんて。」

いいかげん、聞き分けてくださいませ!


「私がベルナルダンお兄様を好きで、ベルナルダンお兄様が私を好きだなんて。こんな都合のいい事は、夢でしか見られないわ。夢なら毎晩見たいくらいよ!」


ニヤッと微笑むベルナルダンお兄様。

それを見て、今、私が言ってしまった事を頭の中で繰り返す…。

言っちゃった!

好きって私、言ってしまいました…。


「……しかと、この耳でエミリエンヌ・フォンテーナの告白を聞いた。夢を毎晩見るのではなく、夢のような毎日を2人で送る事を約束する。…僕は、この約束を破棄しない。そして、君の破棄も認めない。」


そう言い切ったベルナルダンお兄様はホッとした様子の笑みを浮かべた。

反対に私は身体から力が抜けるのを感じた。

もう、無理だ、逃げられない。

イヤだ、逃げたいわけじゃなかったはず。

じゃあ、どうしたかったのかな?

どうせ側にいられないのなら、ベルナルダンお兄様を見ているのは辛いから…だから、逃げたかったのかもね。

そう思ったら、なるようになるしかないかなってだんだん思えてきた。

ベルナルダンお兄様から一度は逃げたのに、捕まってしまったのだから。

そこには私に意思がなく、勝手に捕まえたのだから、もう仕方が無いのではないかしら。

それが、隠していた自分の希望なら喜ぶべきなのでは。

皆様になんと言われるか怖いけど…。

その時は、その時で、また逃げてみるのもいいかも。

一度経験済みだしね。

ベルナルダンお兄様はまた捕まえに来てくれるかもしれないわね…それは都合がいいかな。

ほら、こんな風にやさしくベルナルダンお兄様が笑顔でいてくれるなら、それが一番いい。

そう思ったら、もっと身体の力が抜けて、軽くなった。

あら、重かったのかしら。

気がつかなかったわ。

そして、気がつけばベルナルダンお兄様の香りを近くで感じていました。

それが抱きしめられているんだと気付くのも時間がかかりました。








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いつも読んでいただきましてありがとうございます。



次回、最終回となります。


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