Rasanz‼︎ーラザンツー

池代智美

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EMANON

EMANON2

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 ブラッドさんが戻ってこないまま三十分が過ぎた。
 後を追いかけた大福もまだ戻ってきていない。
 ルイスさん達にはいつもの事だから気にしなくていいと言われたけど、僕はブラッドさんがどういう人なのかまだよく知らないから無理だった。
 謝ろうにも今それをしたら逆効果になりそうな気もして、下手に動けない。

「あ」
「?」
「今シェルアさんから昼食買ってきてって連絡きた」

 ルイスさんが見せたトークアプリの画面は、仕事が少し押すかもしれないから昼食を買ってきてほしいという文字が並んでいた。
 ズボンのポケットに入れていたスマホが通知を知らせて震える。
 僕はスマホをポケットから取り出すと、アプリを開いた。
そこには初日なのに僕と一緒にいられない事に対する謝罪と、僕を心配する言葉が綴られていた。
 胸がきゅっとなったけど、僕はひとまずシェルアさんに大丈夫な事を伝えた。

「じゃあ私が買って——」
「マリアさん、マリアさん、」
「はい?」
「男連中で行ってほしいそうです。ついでにあの件の依頼料貰ってこいって」

  エッシさんがスマホの画面をマリアンネさんに見せる。
 マリアンネさんは一瞬動きを止めると、ポケットから自分のスマホを取り出して操作し始めた。

「あら本当。でも……大丈夫ですかね?」
「大丈夫だと思いますよ? アイツもそこはわきまえてるだろうし」

——バンッ。

 大きな音と共にドアが開く。
 ブラッドさんが現れると、その足元には大福がいた。

「おい行くぞ」
「えっと……?」
「姐さんから連絡来てんだろ。ぼさっとすんな」
「ワン!」
「あー……じゃ、行こうぜサン」

 僕はルイスさんに肩を叩かれて、そこで初めて僕も買い出しのメンバーに含まれている事に気付いた。
 早く早くと急かすように僕の足元を大福が駆け回る。
 僕はスマホをポケットにしまうと、急いでソファから立ち上がった。

「いってらっしゃーい」
「気をつけてね」
「いってきますっ」

 ルイスさんとブラッドさんを追いかけて大福と一緒に外に出ると、既に二人は外で僕達を待っていた。

「遅くてすみません……」
「いいから早く行くぞ。姐さん達が帰ってくる前に終わらせんだからよ」

 真っ先に歩き出したブラッドさんを先頭に、僕は後ろをついて行くと、ルイスさんが隣に並んだ。

「買い出しのついでだと思えばいいからな」
「は、はいっ」

……緊張して声が裏返ってしまった。

 ルイスさんは僕の挙動に少しだけ口角を上げると、前を向いた。
 大通りを歩いて、細い小道に入る。
 奥へ進むと近くにパン屋さんがあるのか、香ばしい匂いがした。
すると僕の一歩先を歩いていた大福が、ブラッドさんを追い越して足を止めた。

「ワンワンッ」
「最初は依頼料の引き取りっつったろ。犬なのに鳥かお前は」
「ワフゥ」
「腹減った? 我慢しろ」
「クーン……」
「その手には乗らねェぞ」
「……」

——会話が成り立っているような気がするのはどうしてだろうか。

 空腹を我慢しろと言われた大福は、きゅるんとした可愛い顔から虚無の顔になっていて、全ての感情が抜け落ちていた。
 あんな大福の顔を見たのは初めてだった。

「あの人たまーにおやつやってるから大福が味占めてんだろうな」
「仲良しなんですか?」
「まあ悪くはないと思うけど……」
「いいから行くぞ。無駄話すんな」
「はいはい、わかりましたよ」

 鋭い目でこっちを見てくるブラッドさんに、ルイスさんは臆する事なくヒラヒラと手を振る。
 ブラッドさんは何か言いたげな顔をしたけど、すぐに前を向いて歩くのを再開した。
 虚無になっていた大福も、ハッとなってブラッドさんの後に続く。
 
「気にすんなよ」
「あ、大丈夫で——」

 す、と僕がルイスさんに言う前に、大福が物凄い跳躍力でブラッドさん向かって跳んだ。
 大福はブラッドさんの肩に器用に飛び付くと、ベロベロとブラッドさんの顔を舐め出した。

「ぎゃっ! 馬鹿お前舐めんな!! やめろ!!!」
「ワンワンワン!!!」
「うるせェ!!!!」
「ワンッ!!!」

 ブラッドさんの手をけて、大福は華麗に地面に着地した。
 フンスと鼻を鳴らす大福はどこか凛々しい顔つきだ。
一方でブラッドさんはポケットからハンカチを取り出すと、大福に舐められた顔を念入りに拭き始めた。

「あ゛~~クソ……お前マジ……」
「ワフッ!!!」
「だからうるせっての。口舐めなかったのは褒めてやるけどよ」

……褒めるんだ。

 嫌そうな顔をしている割に、ブラッドさんの言葉は優しかった。
 案外動物には優しい人なのかもしれない。
 ブツブツ文句を言いながら歩くブラッドさんに、大福が尻尾を振ってついて行く。
 大福はフンスフンスと満足げに二、三度鼻を鳴らした。

「……仲良し?」
「あー……まあ……番犬同士だから」

 僕の独り言にルイスさんが答えた。
でも僕はブラッドさんは犬というよりは狼な気がした。

 細い小道を抜けて、今度は路地裏に入る。
 樽の上でトランプをしている人を何人か通りすがりに見たけど、見た目が怖くて直視出来なかった。
 僕はなるべく誰とも目を合わさないように、前を歩くブラッドさんと大福について歩いた。
 路地裏をまっすぐ行くと、大柄なドレッドヘアの男の人が葉巻を吸っていた。
 ブラッドさんは迷いなくその人にツカツカ歩み寄ると、片手を挙げた。

「ドーモEMANONです。依頼料貰いにきました」
「おう、今日はお前達か。……ん? 知らねえ顔がいるな」
「ぁ、は、はじめまして」
「ちょっと訳ありでうちで預かってます」
「ははあ~なるほどな! 自己紹介はしなくていいぜ! オレの頭じゃすぐ忘れちまうからな」

 男の人はそう言うと豪快に笑った。
 サングラスをかけているから目の奥は見えないけど、悪い人ではなさそうだ。
 男の人は持っていた革のアタッシュケースをブラッドさんに手渡した。

「じゃ、あの人達にもよろしく言っといてくれ」
「了解っす。じゃあ俺達はこれで」
「失礼しまーす」
「し、失礼します」

 軽い調子で来た道を戻る二人を、僕は必死に追いかけた。
 足がもつれそうになるのを叱咤しったして、無理に歩幅を大きくすると、横にいた大福に不思議そうな顔をされた。
 少し歩いて路地裏を出ると、僕はやっと息をつけた。

「怖かったか?」
「ぇ……あ……まあ……はい……」
「は? お前あんなのが怖いのかよ。此処じゃもっとヤバイ奴いるぞ」
「新人を脅すのやめてくださいよセンパイ」
「事実だろ」
「気にすんなよサン。さっきの人は元ギャングだけど今は普通の仕事やってるから」
「いや情報が既に怖いんですけど……」
「殺しはしてねェから大丈夫だろ」

 ——殺し“は”って事は殺し以外はしてるって事ですよね……!!?
 
 下手な事言わなくて良かったと心の底からそう思った。
 変な汗をかく僕に、ブラッドさんは懐疑的な目を向けた。

「お前……平和ボケにも程があんだろ。その内死ぬぞ」
「ぐっ……はい……その通りです……」
「まーまー。死なせないために俺達がいるんですって」
「俺達って……おい勝手に俺を入れるんじゃねェよ」
「え、守ってくれないんすか?」
「目に届く範囲は姐さんから言われてっから守ってやるけど、それ以外は知らねーぞ」

 フンと鼻を鳴らすブラッドさんを真似してか、大福も鼻を鳴らす。
 大福に視線が集まると、大福は僕達を見上げて首を傾げた。

「ワウ?」
「……ハァ……お前がいると気ィ抜けるわ」
「ワン!」
「褒めてねェよ」
「ワン! ワワン!!」

 大福は元気な様子で僕の足元をくるりと回った。
そして大福は僕の足に自分の身体を擦り付けると、得意げに僕を見上げてきた。

「……なんか、自分が守るって言ってるっぽいな」
「ワンッ!!!」
「大福……!! ありがとう~……!!!」

 ——いい子……!!! いやいい犬……!!!!! 前から思ってたけど本当優しい……!!!!!!

 ルイスさんの翻訳に、僕は抱きしめる勢いで大福を撫で回した。
 得意げな顔をする大福が可愛くて、自然と頬が緩む。
 大福は褒めて褒めてと言うように、ブンブン尻尾を振った。

「大福がいてくれると心強いよ」
「ワン!」

 僕の言葉に大福は任せてくれとばかりに胸を張った。
 撫で続けていると大福はもっと嬉しくなったのか、ぐるぐると僕の周りを更に回った。

「……まあお前よりは大福の方が危機管理能力高いから、何かあったらソイツ頼れよ。特に人の会話」
「会話?」
「ソイツは人間の嘘が見抜ける犬なんだよ」

 ブラッドさんが言うには、大福は人の嘘がわかるという特殊な能力を持っているらしい。
しかもその人が自分にとって良い人か悪い人かも大福は判断出来るそうだ。

「それなら大福って警察犬になれるんじゃ……?」
「「……」」

 素朴な疑問を口にすると、ルイスさんとブラッドさんは黙ってしまった。
 二人は大福に視線を向けると、ほぼ同時に口を開いた。

「仕事より食い気のコイツに務まるか?」
「多分無理だと思う」
「ワゥンッ!?」

 二人の言葉に大福はかなりショックを受けていた。
 しおしおと僕の足に寄りかかる大福を、励ますようにゆっくりと撫でる。
 わかりやすく耳と尻尾を垂らして落ち込んでいたから、僕はたくさん撫でてあげた。

「大福よりよもぎの方が適任だろうな。まあよもぎの場合、人間嫌いだから警察犬には絶対ならないだろうけど」
「人間嫌い……」
「人間の勝手で実験体にされたんだからそうなって当然だろ。おい食いしん坊、落ち込んでねェでパン買って帰るぞ」

 欠伸をしながら言うブラッドさんに、大福がパッと表情を明るくして駆け寄る。
ついさっきまで落ち込んでいたのに、大福はもうブラッドさんの側で尻尾を振っていた。切り替えが早い。
 立ち上がって膝についた砂を払うと、早く行こうと大福が小さく吠えた。
 僕はブラッドさんが言った実験体という言葉に違和感を覚えたけど、今聞く話でもないかと一旦スルーした。

「あそこ犬用のパン売ってました?」
「最近になって売り始めたらしい。客の要望に応えて~とかなんとか看板に書いてあった」
「ヘー。良かったな大福」
「ゥワン!」
「つか財布持ってんならお前先行けよ。俺は後から行くから」
「はいはい。んじゃ行くぞサン」
「はい!」

 僕はルイスさんの隣を並んで歩いた。
 行く途中で野良猫が道を横切ったりしたけど、大福が吠える事は一度もなかった。
 大福はとにかく早くパン屋さんに行きたいから他に構っている暇はないらしい。

 十分程歩くと、目的のパン屋さんに到着した。  
 小さめの青い屋根が可愛い店だ。
店先の看板には犬の絵と日替わりパンのメニューが書かれている。
 大福は興奮しているのか尻尾を高速で振って、店の前で回転していた。

「落ち着け」
「ワフッ」

 ブラッドさんの長い脚に大福が挟まれる。
 挟まれた大福の顔にくしゃりと皺が集まって、大福はどうしてと無言でブラッドさんを見上げた。
 ブラッドさんは大福を脚に挟んだまま店を指差した。

「外でコイツと待ってるからさっさと買ってこいよ」
「なんか欲しいもんあります?」
「ねェ。適当でいい」
「了解です。行くぞ、サン」

 僕はルイスさんに促されると、一緒に店の中に入った。
 入口の自動ドアをくぐれば、ガラスのショーケースに色んな種類のパンが並んでいて、少しワクワクした。
 手書きのPOPの説明文には、犬用のパンは人間用と違って塩や砂糖、保存料を使っていない事が書いてある。

「どれがいい?」
「えっ僕ですか?」
「おう。あの人達の好みはだいたい知ってるから」
「えっと……じゃあ……ベーグルがいいです」
「他には? 遠慮しなくていいぞ」
「うーん……あとはルイスさんが選んでください」
「わかった」

 ルイスさんは店員のお兄さんにパンとサイドメニューのサラダ、野菜ジュースを注文した。
するとお兄さんがおまけにと、パン耳のラスクを付けてくれた。
 
「いっぱいですけど持てます?」
「大丈夫です。サン、こっち持ってくれ」
「あ、はいっ」

 僕はルイスさんから渡された、手提げ袋を受け取った。
袋の中にはプラスチックのカップに入ったサラダと紙パックのジュースが入っている。
 ルイスさんは残り二つの紙袋を店員のお兄さんから受け取ると、自動ドアの方へと向かった。
 僕もその後ろをついて歩く。

「ありがとうございました~」

 店員のお兄さんの声を背に受けながら外に出ると、待ってましたと言わんばかりの表情をした大福が僕達を出迎えた。
 大福の尻尾はプロペラのように高速で振られているけど、身体はブラッドさんに挟まれたままだ。

「おい、あんまうろちょろすんなよ。いいな?」
「ワンッ」

 大福はブラッドさんの脚から解放されると、すぐにルイスさんに駆け寄った。

「大福……嬉しいのはわかったからもうちょい離れて。踏みそう」
「ワン!」
「おい約束守らねェなら飯抜くぞ」
「キャン!」

 大福はブラッドさんの一言に瞬時に反応してルイスさんから離れた。速かった。
そして何でもないような顔をして、大福は僕の所にやって来た。

「ワフ」
「一番無害そうな奴んとこに避難しやがったな」
「俺有害じゃないんですけど」
「ものの例えだろ。おら行くぞ」
「はいはい」

 ブラッドさんは僕達に背を向けると、さっさと歩き出した。
 ブラッドさんの一歩後ろを大福が歩いて、ルイスさんと僕はその後ろを並んで歩く。
 大福はたまに振り返って僕達を見たり、ブラッドさんを追い抜いたりしてせわしなかった。
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