親しい友達が、みんな幼なじみみたいな厄介さをしっかり持っていたようです。私の安らげる場所は、あの方の側しかなくなりました

珠宮さくら

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まぁ、そんなこんなでディリッパの方は解決した。ただの女の敵ではなかった。

来るもの拒まず去るもの追わずだが、身内の女性にも優しいだけの子息だった。優しすぎるところがあって、女性を無下にできなかっただけのようだ。


「……わからないものね」
「本当よね」


ヴィリディアンも声に出さずに友達の言葉に頷いていた。

いつもいるもう1人の語学が堪能な令嬢は、ディリッパと従姉と楽しげに会話していた。

すっかり従姉が彼女を気に入り、実の姉のように何かと世話になった相手らしくディリッパは語学が堪能で従姉が気に入った令嬢を気に入ってしまったようだ。

クオーラとの婚約があんな形で破棄となってすぐに彼女と婚約したのだ。

それこそ、女ったらしの子息などあり得ないとディリッパのことを毛嫌いしていたはずが、今はそんなこと誰が言っていたとばかりにしている。

……うん。勘違いしていただけなのだから、そうなってもわからなくはないし、それをディリッパに言う気は、ヴィリディアンや他の友達もないが、目まぐるしい変化に呆然としていた。

ただ再従妹が、仲間に入れなくなって射殺しそうな目で友達を見ているのが、ヴィリディアンの視界に入らなければ、問題は全くない。


「再従妹の目力、凄いわね」
「あれに気づかないのも、凄いけど」
「いや、振り返らなきゃ意外とあの距離はわからないものよ」
「ここから見るから凄いってことね」


ヴィリディアンたちは、再従妹の見えないところにすればよかったかもと思い始めていた。


「ヴィリディアン!!」
「……」


そこにあれから、何の音沙汰もなかったクオーラが鬼の形相でやって来たのだ。

数日すぎたから、いつものように何か言ってくる気はないと思っていた。流石に今回のは、自分のやらかしのせいだと思ったものと思っていたが、どうやら違うようだ。


「よくも恥を欠かせたわね!」
「……」


この数日、何で現れなかったのかはわからないが、やっぱり来たのかと思うだけだった。

怒鳴り散らすクオーラに気づいて、ディリッパがこちらに来ようとしていたのをヴィリディアンは止めた。

友達が、それをすぐに理解してディリッパは心配そうにこちらを見ていた。従姉も、そうだ。


「あなたが、婚約者のことちゃんと教えてくれたら、こんなことにならなかったのよ!」
「クオーラ。婚約した話をどう聞いたの?」
「どうって、幼なじみと同じ時期に王子とディリッパ様と婚約したって聞いたけど。そんなことは、どうでもいいのよ!」
「……それを聞いて、どっちが、どっちって聞いたのよね?」
「は? 聞くわけないでしょ。私の方が王子と婚約したと思うでしょ」
「つまり、確認しなかったことで、王子と婚約したのは、自分だって思ったってことでしょ? それのどこが、私のせいになるの?」
「だから、そこはいいのよ! あなたが、私に言えばよかったのよ!」
「……」


何で、そうなる?!とヴィリディアン以外は思ったはずだ。

ヴィリディアンと一緒にいる友達も、ディリッパたちも、クオーラの怒鳴り散らす内容を聞いて、絶句していた。


「でも、この間、破棄になってよかったって言ってたわよね?」
「両親が頼み込んで婚約したから、破棄になって、どれだけ私が叱られたと思っているのよ! 我が家の恥さらしって言われたのは、あなたのせいよ!」
「……」


いや、だから、何で??だとヴィリディアンは、目をパチクリさせた。これは、今まで以上に難解だ。言ってることが、変だ。


「わかるわ!」
「っ、」


そこにディリッパの再従妹がまじって、ヴィリディアンをボロクソに言った。

めちゃくちゃ流暢にこの国の言葉を話すのにディリッパと従姉は、ポカーンとしていた。

ヴィリディアンは、自分を罵倒する言葉がクオーラより多いことに驚いてしまった。これでよく、話せないと頼っていたなと思ってしまった。


「あなたとは、いいお友達になれそうだわ!」
「私も、そう思っていたわ!」
「……」


とんでもない友達ができたなとヴィリディアンは、白けた目で2人を見ていた。

ディリッパが、流石に再従妹のやっていることに腹が立ってこちらに来ようとしていたが、ヴィリディアンは……。


「ねぇ、クオーラ。私の家がどこか知ってる?」
「は? 子爵家でしょ?」
「……いいえ。今は、違うわ。ハーサン公爵家の養子になったの」
「え? こ、公爵?」
「あなたの家は?」
「は、伯爵」
「で、そちらは?」
「あ、その、私は……」
「男爵令嬢だ」
「お兄様!」
「二度とそう呼ぶなと言ったはずだ!」
「っ、」


ヴィリディアンは、にっこりと笑った。


「どちらのことも、一語一句違えることなく、養父母に伝えておくから」
「「っ、」」


クオーラたちは顔色悪く、言い逃れようとしたが、ヴィリディアンが許すことはなかった。


「ごめんなさい。やることができたから、先に帰るわ」
「えぇ、またね」
「私たちのことは気にしないで」
「ヴィリディアン嬢」
「あなたは、一切関係ありません。彼女と私の問題です」
「……そう、だな」


ディリッパの顔色は悪かった。ヴィリディアンが物凄く怒っているのが伝わったのだろう。


「ひ、卑怯よ!」
「……」
「あなたが養子になったなんて、聞いてないのに

「だから?」
「え?」
「聞いていようと聞いていなかろうとも、あなたは、自分がしたことを全部私のせいにしようとした。幼なじみで、自分より爵位が下っただけで、そうしようとした。どちらも、私が気に入らないから、そうしたってことでしょ? 2人とも、最低ね」
「「っ、」」


クオーラは言い返したそうにしたが、ハーサン公爵家と聞いて悔しそうにしていたし、再従妹は顔色悪くしてディリッパを見ていたが、ディリッパは無視していた。


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