親しい友達が、みんな幼なじみみたいな厄介さをしっかり持っていたようです。私の安らげる場所は、あの方の側しかなくなりました

珠宮さくら

文字の大きさ
15 / 16

15

しおりを挟む

もう1人。残ったヴィリディアンの友達は、婚約を破棄されたらしくイライラしていた。

ヴィリディアンに葬儀の時にあれこれ言ってきた令嬢だ。

彼女が破棄になったのは、婚約していた子息が別の令嬢に本気になってしまったからのようで、破棄になってから元婚約者となった子息と新しい婚約者となった令嬢にネチネチと嫌味なことを言ったり、悪口を言っていた。

最初は、婚約が破棄になったことをヴィリディアンは知らなかった。


「そんなこともわからないの?」
「っ、」
「そんなんで、よく婚約者になれたわね」


1人の令嬢に嫌味なことを言っているのを目撃して、そんなことをするのをこれまで見たことなかったヴィリディアンは首を傾げていた。

あまりにも酷いことを言っているから、ヴィリディアンは止めようかと思ったが、その時は先生に声をかけられて話し込むうち、気付いたら2人ともいなくなっていた。

その後、その友達に何があったかをざっくりだが知ることになり、元婚約者の子息にいい加減にしてくれと怒鳴られているのを目撃した。


「は? 浮気しておいて、私を怒鳴るの?」
「そのことは謝罪して、慰謝料も払って解決したはずだ」
「解決? そんなのするわけないでしょ」


それから、これまでのことを友達の家に苦情と抗議をすると言っても、彼女は自分のしていることを家族に責められることはないかのようにしていた。

まるで人の変わった様子にヴィリディアンは絶句してしまった。


「うわっ、またやってるのかよ」
「いい加減にしてほしいわ」


それが聞こえたのか。自分の味方が大勢いると思っていたようだが、そうではなかった。


「あの令嬢、婚約者が中々みつからないらしいわよ」
「そりゃ、あんなことしてれば見つかるわけがないだろ」
「この学園で、元婚約者の令嬢をいじめてるのなんて、みんな知ってるのにな」
「しかも、自業自得だから助けなくていいって言われてたから、そのままにしていたけど。やり過ぎよね」
「っ、」


どうやら、みんなが味方で見て見ぬふりをしていたわけではなかったようだ。


「なんて、女なの。そんな姑息な手で味方を増やすなんて」
「違うわ! 私、本当に悪いと思っているのよ。でも、流石にこれ以上は……」


限界だと泣いた。

ヴィリディアンも、無理はないと思ってしまった。

その後、友達の令嬢は両親に散々説教されたらしいが、それでもやめることはなかったため、これは手におえないと勘当されることになった。

それでも、何も悪いことなんてしてないと暴れまわっていたようだが、ヴィリディアンがそれを見ることはなかった。

危険だとして学園には行かせなかったようだ。怒り心頭になった友達は、勘当されてからも元婚約者の婚約者となった令嬢につきまとって、捕まったようだ。

ヴィリディアンは、その友達に話しかけられなかった。もう、知っている令嬢とは別人のようにしか見えなかったのと強すぎて近づけなかった。

それこそ、幼なじみや他にもヴィリディアンを怒鳴りつけてきた面々の中でも、一番怖かった。

見ているだけで何もしていないのだ。怒鳴り散らされた令嬢は、本当に怖かったはずだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嘘からこうして婚約破棄は成された

桜梅花 空木
恋愛
自分だったらこうするなぁと。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

婚約破棄した王子が見初めた男爵令嬢に王妃教育をさせる様です

Mr.後困る
恋愛
婚約破棄したハワード王子は新しく見初めたメイ男爵令嬢に 王妃教育を施す様に自らの母に頼むのだが・・・

悪役令嬢は断罪されない

竜鳴躍
恋愛
卒業パーティの日。 王太子マクシミリアン=フォン=レッドキングダムは、婚約者である公爵令嬢のミレニア=ブルー=メロディア公爵令嬢の前に立つ。 私は、ミレニア様とお友達の地味で平凡な伯爵令嬢。ミレニアさまが悪役令嬢ですって?ひどいわ、ミレニアさまはそんな方ではないのに!! だが彼は、悪役令嬢を断罪ーーーーーーーーーーしなかった。 おや?王太子と悪役令嬢の様子がおかしいようです。 2021.8.14 順位が上がってきて驚いでいます。うれしいです。ありがとうございます! →続編作りました。ミレニアと騎士団長の娘と王太子とマリーの息子のお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/mypage/content/detail/114529751 →王太子とマリーの息子とミレニアと騎士団長の娘の話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/449536459

婚約者様への逆襲です。

有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。 理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。 だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。 ――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」 すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。 そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。 これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。 断罪は終わりではなく、始まりだった。 “信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。

まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。 この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。 ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。 え?口うるさい?婚約破棄!? そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。 ☆ あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。 ☆★ 全21話です。 出来上がってますので随時更新していきます。 途中、区切れず長い話もあってすみません。 読んで下さるとうれしいです。

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

処理中です...