親しい友達が、みんな幼なじみみたいな厄介さをしっかり持っていたようです。私の安らげる場所は、あの方の側しかなくなりました

珠宮さくら

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ラジェスが、やっと婚約を破棄する気になったのは、そんなことが続いた後だった。


「ラジェス」
「破棄ならします。解消なら、このままでいます」
「……わかった。そう伝える」


ヴィリディアンは、それを聞いてやっとこの最後の晩餐のようなハーサン公爵家の食事が終わると思っていた。


「え? このままになったんですか?」
「そうだ」
「……」


破棄になるのは、嫌だったらしい。ヴィリディアンは、思わず言葉を発して首を傾げた。


「それと解消するのもなくなった」
「……は? なくなった……?」
「このまま、こちらに嫁いで来るから、娘をよろしくと手紙にはあった」
「「「……」」」


ハーサン公爵の言葉に静まり返った。

どうやら、王太子との婚約がなくなったことで、お前のせいでこうなったから責任を取れと言いたいようだ。


「……」
「ラジェス。お前が、決めたことだ」
「っ、」
「ここまで粘ったんだから、自分でどうにかしろ」


ラジェスはピリピリしていたのがなくなり、以前の頼りない人に戻っていた。

そうなるとヴィリディアンを縋るように見たが、ヴィリディアンが助けることはなかった。

するとラジェスは母親を見たが……。


「聞こえなかったの? 自分1人で、どうにかなさい」
「……」


こうして、ラジェスは頑なに婚約を解消しないと頑張っていたことで、婚約したままでいられたが、卒業してすぐに結婚したが、前のように幸せそうにしているのを周りは見て、ホッとしていた。

ピリピリしていたのも、婚約者が帰国して不機嫌だったと思っているのがほとんどで何があったかを知る者は限られていた。

ハーサン公爵家にヴィリディアンがいる間は、義姉となった彼女に話しかけられてばかりいたが、新婚ホヤホヤなのに2人っきりになると会話すらなかった。

それは、ヴィリディアンが卒業するまで付き合わされることになり、げんなりしながら婚約者のいるところに行った。







「ヴィリディアン? ど、どうした?」
「……もう、どこにも行きたくありません」
「ん?」
「もう、里帰りもしたくないです」
「そうか。ヴィリディアンの好きにすればいい。母上と妹が喜ぶ。……私も、もう離れたくない」


再会するなり、抱きついてしまったヴィリディアンに周りは最初冷やかしていたが……。


「……なんか、様子が変じゃない?」
「そうですね」


王妃と王女が、冷やかすのをやめて近づけば……。


「ちょっ、ヴィリディアン!? 凄い熱じゃない!」
「お兄様! 何で気づかないのよ!!」
「え? あ、いや、その……」


ヴィリディアンに抱きつかれて嬉しくなっていた王太子は、ヴィリディアンの異変に気づかなったようだ。

その後、ヴィリディアンは寝込むことになった。

王女が色々聞き出して、ヴィリディアンに何があったかを知ると王太子だけでなく、王妃や国王にまで心配された。


「ヴィリディアン。本当に大丈夫か?」
「もう、平気です」
「無理はしなくていいからな」


王太子は、ヴィリディアンのことをずっと気にかけてくれた。

それこそ、結婚しても、子供ができても、変わることはなかった。王太子だけでなくて、ヴィリディアンの周りにいてくれる人たちは、急激に変わることはなかった。

それにホッとしつつ、実家の方では義兄夫妻に子供ができないことで揉めたらしく離婚して、新しい妻を迎えたら、すぐに子供ができたらしい。

ラジェスの元妻は、別のところに嫁いだが、やはり子供ができずに数年で、離婚して実家に戻ることになったようだ。

他も、それなりに幸せになったようだが、ヴィリディアンは色々ありすぎていっぱいいっぱいになったが、その頃とは比べ物にならないほど、幸せいっぱいの人生を歩み続けることができた。



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