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しおりを挟む幸せいっぱいの結婚生活を送っていたリュシエンヌは、幼なじみとリシャールの結婚式を楽しみにしていた。
そんな時のことだ。
「え? お姉様が?」
「そうなの。妹の幼なじみだから、結婚式に出席したいって、しつこくしているみたいよ」
「……」
リュシエンヌは、幼なじみと共通の友達からそんな話を聞いて首を傾げた。
(何で、お姉様がコンスタンスの結婚式に……?)
コンスタンスと姉が、そんなに仲良くしていた記憶がリュシエンヌにはなかった。むしろ、色々あって、挨拶すらしていないはずだ。
色々とは、姉の元婚約者がコンスタンスの婚約者となってからだ。露骨な無視をヴィクトワールはしていた。
それなのに結婚式に出たいと言うとは妙だ。
「リシャール様の元婚約者なのに呼ぶのは考えものだから、コンスタンス様、困っているみたいよ」
「そうよね。お姉様ったら、何をしているのかしら。全く知らなかったわ。教えてくれてありがとう」
コンスタンスは、リュシエンヌに言いにくかったはずだ。
(どうにかしなきゃ)
幼なじみの結婚式だ。リュシエンヌは、全くいい案が思いつかなかった。こんな時にいつもいい案をすぐに思いつくのは、コンスタンスだ。
その彼女がお手上げなのにリュシエンヌが、すんなりいい案を思いつくはずがなかった。
「リュシエンヌ。どうした?」
「旦那様」
「何かあったか?」
思い詰めているように見えたようだ。使用人たちも気遣わしげに見ていたのに気づいていなかった。
テオドールは帰宅するなり、着替えもせずにリュシエンヌのところに来た。
「お姉様が、コンスタンスたちの結婚式に出たがっているようなんです」
「……元婚約者の結婚式にか?」
テオドールが驚いているとメイドが、リュシエンヌに声をかけた。
「失礼いたします。奥方様にお客様です」
「こんな時間にか?」
テオドールは、眉を顰めた。リュシエンヌは、そんな予定はなかったはずと首を傾げた。
「どなた?」
「それが……」
「リュシエンヌ!」
「お姉様?」
そこにしばらくぶりに会う姉がいて、リュシエンヌはびっくりした。
婚約破棄になってから、部屋に引きこもっていたが、リュシエンヌたちの結婚式にも普通に出てくれてから、初めてのことだ。
何をしに来たかと思えば、コンスタンスたちの結婚式をどこで、いつやるかを聞きに来たようだ。
(どうしよう。そわなこと答えたら、コンスタンスたちに迷惑をかてしまう)
流石にリュシエンヌとて、それに答える気はない。でも、答えなければ返りそうもない。
だが、テオドールは……。
「あぁ、それなら」
テオドールがあっさりと答えたのだ。
(え……?)
リュシエンヌがそれに驚いている間に、ヴィクトワールは満足した顔をして帰って行った。
それこそ、それを聞くためだけに現れたのだ。そんなヴィクトワールに使用人たちは、びっくりしていた。
いくらリュシエンヌの姉でも、サヴィニー伯爵家の娘がアポなしでこんな時間に訪ねてきて、義弟にろくな挨拶もなく帰って行ったのだ。びっくりしないわけがない。
だが、それに慣れてしまっているテオドールは、それを咎めたことはない。そうすると話が進まないのだ。
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