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しおりを挟むリュシエンヌは、にこにことしていた。それを見つけたテオドールが不思議そうに声をかけた。
「リュシエンヌ。どうした?」
「お似合いだなと思って」
コンスタンスとリシャールが話すのを見て、リュシエンヌはそう言った。
テオドールは、リシャールの気持ちを知っていて、何とも言えない顔をしたが、それを除外しても……。
「……確かにいい感じだな」
「えぇ、2人とも、キラキラしているわ」
「……キラキラ??」
テオドールは、その言葉の意味がわからなかったが、リュシエンヌだけが楽しそうにしていた。
楽しそうにしているリュシエンヌに気づいて、コンスタンスたちがこちらを見た。それに気づいて、リュシエンヌはこんなことを言った。
「キラキラしているでしょ?」
「っ、」
「? 何か、あったか?」
リシャールだけが、きょろきょろしたが、コンスタンスが顔を赤らめていた。そんな顔をコンスタンスがするのは珍しかった。
「リュシエンヌ。何の話だ?」
「私も、知りたいな」
「な、何でもありません。リュシエンヌと内緒の話でふから」
「「?」」
コンスタンスは、そんなことを言って誤魔化していたが、2人が見つめあう写真を見て、リュシエンヌが言わんとしたことにテオドールは気づいた。
そして、リシャールも気づいてしまった。
「いい写真だな」
「……綺麗だ」
リシャールは、写真に映るコンスタンスを見てポツリと呟いた。何か言おうかと思ったが、テオドールは黙っていた。
そんな2人が婚約したことに誰より喜んだのは、リュシエンヌだった。
テオドールは、リシャールが嬉しそうにしているのを見て吹っ切れたのだと思った。コンスタンスも、幸せそうにしていた。
元婚約者が、リュシエンヌの幼なじみのコンスタンスと婚約したヴィクトワールを知ったのは、すぐだった。
「は? 何で、あんな女と?」
ヴィクトワールは、ただですらリュシエンヌの側で煩わしい助言をするコンスタンスが気に入らなかった。それが、自分の元婚約者と婚約したと聞いて、こう思った。
「一番の性悪は、あの女だったのね。私が、婚約破棄になるように仕向けて、自分が婚約するためにあんなことしたんだわ。なんて、女なのかしら」
リュシエンヌに何かするより、コンスタンスに仕返しすることにヴィクトワールは躍起になった。今は、コンスタンスと元婚約者が幸せそうにする方を見ていて、ムカついてならなかった。そちらの幸せをぶち壊さなくては、気が済まなくなっていた。
そのため、リュシエンヌの結婚式で不気味なほどヴィクトワールは、おとなしくしていた。今まで、そんなおとなしい姿を両親は見たことがなかった。
「……静かだな」
「流石に妹の結婚式はぶち壊せないと思ったのでしょうね。何かすれば、それだけ自分の婚期が遠のくだけですもの」
「それも、そうだな。あいつの方が年上だからな」
サヴィニー伯爵夫妻は、そんな風に思って、ちょっとだけ見直した。いや、見直したというか。まともになったのだと思った。
テオドールたちも、ヴィクトワールが何かするのではないかと気にしていた。
「何もなさそうだな」
「そのようです。良かった」
リシャールとコンスタンスは、警戒していた。招待客の中にヴィクトワールがいると知って、気にしているのもちらほらいた。
みんな同じくぶち壊すのではないかと思っていた。
リュシエンヌだけが、そんなことを気にかけていなかった。
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