自己中すぎる親友の勘違いに巻き込まれ、姉妹の絆がより一層深まったからこそ、お互いが試練に立ち向かえた気がします

珠宮さくら

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エイプリルは、養子を迎えてから驚くほど元気になった。

シャーリーが味方する必要もないほど、両親はエイプリルの言葉に反対することはなかったのは、おかあさんとエイプリルにひっついている子供に自分のせいで、怒らないでと言われたのが応えたようだ。


「おじいさま、おかえりなさい!」
「ただいま。出迎えに来てくれたのか?」
「うん!」
「そうか」


オールポート侯爵は、嬉しそうにして抱き上げていた。それをメイドたちも微笑ましそうに見ていた。

オールポート侯爵家で見慣れた光景となっていて、シャーリーはそれを見て笑顔になっていたが、気になることが消え去ることはなかった。


「留学してみたら?」
「っ、」
「殿下が気になっているのでしょう?」


エイプリルにはお見通しだったようだ。シャーリーは、ジェレマイアの葬儀の時に見かけたが話しかけることもできなかった。

ダレイオスは、留学して来ている時と全然違っていた。それが、ずっと気になって仕方がなかった。


「あなたの直感に従って」
「お姉様」
「私も、そうして、今は信じられないくらい幸せよ」


姉の言葉にシャーリーは頷いた。

すぐにシャーリーは、留学したいことを両親に話して、学園で手続きをして姉と話して半月もしないで留学をしていた。

だが、学園にダレイオスはいなかった。留学中と違って、王太子は学園に姿を見せることなく、執務が忙しいことを理由に授業を免除されているようだ。

だからと言って気軽に会いに行ける仲でもないシャーリーは困っていた。留学中は、ジェレマイアの実家から通えるようにしてくれたのは、ありがたかった。


「まぁ、これをあの子が?」
「はい。私が、こちらで留学中お世話になると聞いて、渡してほしいと頼まれたんです」
「そうなの。上手ね」
「本当だな」
「勉強も頑張っていて、手紙を書きたいからと文字を習っているんですよ」
「あら、そうなの?」
「それは楽しみだな」
「そうですね」


そんな話や留学中のジェレマイアの話やらをシャーリーは、ロッドフォード公爵夫妻にしていた。

そこから、王太子が留学中と違っている話をした。


「あの方が普通に授業に出ていたのか?」
「出ておられました」


ロッドフォード公爵だけでなく、ロッドフォード公爵夫人も、それに驚いていた。ジェレマイアも驚いていたが、頭が良すぎて授業に出ることなど、ほとんどないことをシャーリーはここに来てから知ったが、同年代の授業などつまらないものでしかないことに首を傾げた。


「あなた、殿下にシャーリーちゃんが留学しに来ていて、我が家に滞在している話をできませんか?」
「そうだな。きっと、びっくりするな」


ロッドフォード公爵が、それとなく話をしてくれると言うのを聞いてシャーリーは、それを待つことにした。

それを待つ間、王太子の婚約者になりたがっている令嬢たちが多いことを知って、これでは学園に来たくないだろうなと思って苦笑していた。

それこそ、アンゼリカより酷くはなくとも、煩わしい令嬢が複数いるのだ。アンゼリカを1人相手にするのも中々大変だったが、あそこまで馬鹿ではないのが群がって来たら近づきたくはないはずだ。

そんなところに留学して来てしまったことにシャーリーは複雑なものを感じていた。ダレイオスと会いたいが、学園で会えば迷惑になりそうだと気づいてしまったのだ。

それこそ、そんなことをしている間に婚約したら、それも叶わなくなる。そう思うと複雑な気分になっていた。

だが、そんな複雑な想いにロッドフォード公爵夫妻はシャーリーを見ていて、気づいていたようだが、それにもシャーリーは気づく余裕はなかった。

 
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