幼なじみは、私に何を求めているのでしょう?自己中な彼女の頑張りどころが全くわかりませんが、私は強くなれているようです

珠宮さくら

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ヴィディヤは、気を引き締めねばならないと思いを新たにしたが、すぐに途方に暮れてしまったが、そんなことになっている原因の方は、全く別のことで頭がいっぱいだった。

トリシュナは、あのあと帰宅するなり、ドタバタと廊下を歩き、ノックもせずに母の部屋に突撃していた。


「お母様! 王太子の婚約者がとっくに決まっていたのをご存じですか?!」
「あら、そうなの?」


公爵夫人は、娘にその話をできずにいたが、すっとぼけることにしたようだ。元より、随分経っているのだが、情報源が限られていることもあり、そんなに経っていると公爵夫人が誤認していた。自分が知っていることを最新情報のようにしたいのだが、無理がありすぎた。

でも、娘にはそれで誤魔化せているため、他にも通じると思っていた。都合のいい頭を昔からしていた。

そして、娘がノックもなく部屋に入って来ても全く気にしていなかった。普通は、ノックをしろと言うところのはずだが、母親も娘の部屋にはノックなしに入るため、そういうものだと2人は思っていた。

そこからわかるだろうが、この親子に常識はない。マイルールがあるだけだ。

そんな人たちの側で働く面々は、非常識な人たちに顔色1つ変えたりしない。お給料がいいから、辞めたくないだけで、この家に義理立てしているわけでも、忠誠を誓っているわけでもない。そのお金が見合わなくなれば、みんなこぞって辞めるだろう人たちしかいない。

それはさておき、母親の反応から母も知らなかったのだとトリシュナは思ったようだ。そもそもの元凶は母親だというのにトリシュナは、母を疑うことをしなかった。そういう風に幼い頃から、母を手本に育ってきたからこうなったのだ。

そして、元の性格から、母を凌ぐ逸材に成長しているが、その辺までは公爵夫人も気づいていなかったりする。自己中が、自己中を育てるとこうなるという令嬢になっているが、適当に相手をしていて、ちゃんと見ていないせいで取り返しのつかないことにとっくになっていることにも公爵夫妻は気づいていなかった。


「ヴィディヤが、婚約者になるなんて、信じられない!!」
「あら、あの女の娘が選ばれたの? それは信じられないわね」


トリシュナの母親は、ヴィディヤの母親が昔から気に入らなかった。そのため、あの女の娘が王太子の婚約者に選ばれたと聞いて、腹が立って仕方がなかったのだ。それも、つい最近知った。

その上、王太子妃となる令嬢の母親にあの女がなるのだと思うとイライラして仕方がなかった。だから、娘に嘘を吹き込んだ。でも、そのくらいでは婚約が台無しになることはなかったようだ。

最低女の娘は、最低なのだと思われればいいと思ってのことだが、少しはまともなのが、その通りだと思っているに違いないと思っていた。

だが、そのことで娘が学園でどう思われることになるかまでは考えていなかった。全ては、気に入らない女の娘が、母親もろとも、酷い目にあえばいいと思っているだけに過ぎなかった。

酷い目にあいそうなのが、自分たちになるとは彼女たちの頭には欠片もなかった。

彼女は、娘同士を幼なじみのようにして、何かにつけてトリシュナをヴィディヤの側にいさせた。

王太子の婚約者になるのは、自分の娘だとずっと思っていたからこそ、幼い頃から幼なじみに仕立て上げることにしたのだ。

なのに王太子の婚約者になぜか選ばれなかったのだ。そこで、娘を責め立てるなんてことを公爵夫人はしなかったし、する気もなかった。

選ばれた方が何かしらしたからだと即座に思ったのだ。あの女の娘なのだ。どちらも、最低最悪にきまっている。そうでなければ、自分の娘が選ばれないなんてことはないと本気で思っていた。

それこそ、トリシュナは成績も酷く、礼儀作法もここまで酷い方は初めてだと言われてきたが、それは先生たちの教え方が、下手だったからだ。そんな風に思っているような母親だ。

自分に似ている娘が、人並み以下のこともできないはずがない。そう思って、これまで過ごしてきたのだ。

トリシュナが家庭教師に教わるのを見学することは一度もなく、今は学園の成績も見ようともしていない。わかりきったものを見る気がしなかったのだ。

それこそ、何も教わらずとも人並み以上に生まれながらに自分の娘は優秀だと思っていた。かなり本気で、そう思っていた。根拠は、自分が優秀すぎて妬まれたからだ。

だから、未だにどこにも呼ばれないのだ。そこまで嫉妬される存在なのだと本気で思っていた。

そもそも、自分に似ているのなら、そこそこでしかないと思わないところに問題しかなかったが、そこには行き着くことはなかった。

公爵夫人がパーティーに呼ばれなくなっているのも、礼儀の欠片もないせいだとは思っていない。

王太子に挨拶すらまともにできないのは、トリシュナは母親譲りでしかなかったりするのだが、それがわかっていなかった。

そんな母娘に苦労させられているのは、公爵だ。それこそ、どこに出しても恥ずかしい娘と妻しか家にはいないのだ。そんな家に帰って来なくなっていた。

彼は愛人のところを我が家のようにしていた。妻は、好きにさせておけば、仕事が忙しいと言って家に帰らずとも、グダグダ言うことはなかったため、公爵は家でとんでもないことを母親が娘に吹き込み続けていることすら知らなかった。

何より、母親に似すぎた娘を公爵は生まれてから一度も可愛いと思ってすらいなかった。それよりも、愛人が産んだ子供たちの方がまともで、血の恐ろしさを感じずにはいられなかった。

そのせいで、公爵家が危ういことになっているのだが、そんなことにも気づかずに愛人と可愛いがっている子供たちとの時間を大事にしていた。

そのせいで、とんでもない迷惑をかけていることに全く気づいていなかった。


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