見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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そんなある日のことだ。ローザンネ国の国王が、面倒そうな顔をしていた。マルへリートは呼ばれて何事かと思えば……。


「え? 留学?」
「そうだ。フェイルで、王太子が婚約者を選ぶらしくてな。この国からも、仮面をつけた者を寄越せと言って来ているんだ」
「は? 仮面を……? なぜ、仮面をつけた者を?」


マルへリートは父から、そんなことを聞いて首を傾げた。マルへリートから言わせば、王太子と婚約させるのに普通以下の娘を呼んで、どうするのかと思ってのことだ。

それに国王は、ふんと言う顔をした。それに気づいたのは、国王ではない。国王となる前に前国王に聞いたことを言葉にした。


「あちらは、仮面をつけている理由を勘違いしているんだ」
「勘違い?」


マルへリートは、何を勘違いしているのか。全くわからない顔をしていた。


「美しいから、顔を隠しているとな」
「何、それ」


マルへリートは、父からそれを聞くなり、おかしそうに笑った。それは、もう本当にこれ以上はないと言わんばかりに馬鹿にした笑い声だった。

その笑い方は、耳障りな笑い方で、イラッとするものだったが、誰1人として控えている者たちの誰も眉を顰めることはなかった。そんなことをすれば、仕事を失うだけだ。

そんな笑い方で、仕事を失うわけにいかなかった。他にもイラッとくることは多々あったりするが、我慢が多くとも給料がいいのだ。

誰かに自分の場所を明け渡す気にならなかった。みんな、必死だった。その場に辿りつくのに色々やったが、いざ自分がそこにいるようになると死守するのに必死だった。


「全く、愚かな国があったものね」
「だが、その国のおかげで、ローザンネ国は平和そのものだ。たまに仮面をつけたのを寄越せと言われたら、従うまでだ。それで、定期的に色々くれるんだ。それにあちらに行ったのは、戻って来ないからな」
「なら、アンネリースがいいわ! そんな国にアンネリースがお似合いよ」


両親とマルへリートが、そんな話題を話しているとも知らず、久々に呼び出されることになったアンネリースは、留学生としてフェイル国に行けと言われただけで意味がわからなかった。

大体、血の繋がりのある人たちにろくなことで呼ばれたことがなかったアンネリースは、留学という話が出て来たことに驚いてしまった。思っていたのと全然違っていて目をパチクリしたが、仮面を付けていて誰にもわかることはなかった。


(フェイル国……?)


端折りすぎた命令にアンネリースは、余計なことを言うと怒られるため、それでどう理解しろというのかと困惑していた。


「お前のようなのが、役に立つ日が来るとはな。気に入られずとも、戻って来なくていいからな」
「良かったわね。あなたみたいなのにも、婚約者ができるかも知れないわよ」
「……」


よくわからないが、戻って来るなと言われたアンネリースは……。


(戻って来なくていいのは、物凄く嬉しいかも)


更には、マルへリートに勘違いしている国の話をされて、それに眉を顰めることになったのは、その話を笑いながら聞かされたことだ。

まぁ、それはいい。勘違いされていても、仮面を付けてれば何とかなるはずだ。

そんなことを言われたアンネリースは、意気揚々と準備した。この国から出て行けることが、嬉しくて仕方がなかった。


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