見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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学園に行っても勉強なんてできなくともいいのだ。頭がよくなくても、やっていけるのだから。逆に頭が良すぎると婚約者に疎まれ、義両親にも疎まれやすい。だからといって、馬鹿なふりも疲れる。元々馬鹿なくらいが丁度いいと思われていて、学園の先生たちも成績がどんなに酷かろうとも、留年させることはなかった。それくらいが、大人になってから好かれることになると思ってのことだ。

だが、とんでもない勘違いからアンネリースが、バーレントのことを好きだと思われているとは、知らなかった。その場にアンネリースがいたら、全力で否定していた。後先考えずにそうしていただろうが、そこにいなかったことで勘違いに気づくことはなかった。

そして、アンネリースだけでなく、そんなことでバーレントがマルへリートよりアンネリースのことをより好きになっていくことになるとは、マルへリートも両親も思わなかった。

それに好きな人がマルへリートにも他にできたのも、勘違いからだった。彼女もまた、普通と言われる人とよく密会していた。華美な仮面をつけて、隠れていると思って、暇を持て余して密会していた。


「やっぱり、美しすぎるものは見飽きるのよね」


マルへリートは、婚約者のことを言っているだけだったが、それに自分を当てはめないのも王女らしかった。いや、この国の貴族らしかった。

そう、とっくに見飽きられているが、他の話題を探して前のようになるくらいなら、マルへリートたちの話題をしているのが一番楽なだけなのに彼女はそれすらわかっていなかった。

彼女は、王女ということもあり、美しいものの話を話題にしなくとも、周りがちやほやしてくれるため、そんな苦労があることを知らないのだ。

マルへリートが、挨拶より美しい話題をしている努力も知らないのだ。そんなこと王女は努力することはなかった。


「あなたたちくらいが丁度いいわ。全然、見飽きないもの。見飽きないっていいわ」


普通と言われる青年たちは、それに内心で腹がたっていたが、そんなこと微塵も思っていないかのようにマルへリートに尽くした。全ては、王女に付き合えば好きなものを買えるからに他ならない。生活のためにマルへリートと一緒にいるだけだ。

そして、満足すると戻って行くマルへリートを笑顔で見送って、見えなくなった途端……。


「あの王女は、自分が見飽きられるとは思わないんだな」
「顔はともかくあの性格だ。長く一緒にはいたくない。あんなの飽きる以前だろ」
「でも、金をもらえるんだから、我慢するさ。それがなきゃ、美しすぎる女性の貴族となんて付き合わないさ。あんなのと結婚するのは、アクセサリー感覚だろ」
「貴族でなくて良かった」


そんな風に言われていたが、マルへリートは婚約者からも侍らせている青年たちからも、一身に愛されていて好かれていると本気で思っていて、疑ってすらいなかった。

自分はこの国で一番美しいのだから、そうなって当たり前だと思っていた。

何より、この国の常識は世界の常識だと信じきっていた。それでも、自分ほど美しい王女は存在しないと本気で思っていた。

生まれた時から美しい王女は、幸せになるのを約束されていて当たり前とすら思っていた。

マルへリートに汚点があるとしたら、彼女本人にはなくて、片割れが物凄く醜いことだけだった。


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