姉が年々面倒になっていくのを弟と押し付けあっていたのですが、手に負えない厄介者は他にいたようです

珠宮さくら

文字の大きさ
10 / 12

10

しおりを挟む

シュリティの両親は、王女のことがあって手のひらを返して来たが、チャーヤを勘当したことを取り消すことだけはしようとしなかった。

そのため、シュリティとラケシュは親戚のところに養子に行くことを決めた。養子先の親戚は、シュリティたちがどんな目に合っていたかを話していた。

更には、そこには既に勘当された姉のチャーヤが養子になっていた。


「シュリティ、ラケシュ」
「お姉様」
「姉さん」


勘当されていた姉は、やつれていた。王女が何をしたかを両親にしても、チャーヤの勘当をなかったことにするどころか。何もしようとしなかったこともあり、シュリティたちを養子にしてもいいと言う親戚に姉のことを探してもらっていた。

そして、養父母たちはチャーヤの今回のことで慰謝料をチャーヤに渡さないのは、どうなのかとアガルワル伯爵家に言ってくれて、他の貴族も自分たちがそのお金を好き勝手に使おうとしていると耳にしたとして、あれこれ言われるのに慌てて、預かっていてだけのように取り繕っていた。


「っ、2人共」


姉は話を聞いたようで、弟妹たちに久しぶりに会えたのもあって、シュリティたちを抱きしめるなり大泣きした。それにつられてシュリティたちも泣いた。何なら、養父母たちも泣いた。


「お姉様、もう二度と会えないかと思ってしまいました」
「私もよ」


ひとしきり泣いてから、チャーヤは本当にマヘンドラのことが好きだったようだ。彼の心配をしていた。

そのため、知っていることを養父母やシュリティたちが話した。

彼が勘当された実家にも、王女が何をしていたかを伝えたが、シュリティたちの実の両親のような反応だったため、彼の親戚に話すとマヘンドラを養子にするために動いてくれることになった。


「そう、あの方も養子になれたのね」


自分だけが貴族に戻れたのではないとわかって、ホッとした顔をしていたが、それはマヘンドラの方も同じだった。

再会した2人は、自分たちが勘当されてから散々なことになったことより、相手の心配をしていた。


「あの2人、そっくりみたいね」
「そうだね」


シュリティたちは、弟妹たちの存在など忘れて、自分たちの世界を築く早さに苦笑してしまったが、マヘンドラはシュリティたちに気づくと2人のおかげだととても感謝してくれた。

そこから、2人共、婚約することになるまで、すぐだった。何ならシュリティとラケシュが義兄と呼ぶのにマヘンドラな照れていて、チャーヤも気が早いかのようにしながら満更ではない顔をしているのを見て、養父母たちも婚約するのに反対することはなかった。

その頃にはシュリティとラケシュも姉と同じところに養子になっていて、アガルワル伯爵家から縁を切ることになっていた。

シュリティはともかく、ラケシュは跡継ぎなのだからとシュリティたちの母が渋っていたが、シュリティたちの父が浮気していて子供ができるとわかって、それが男の子だとわかったことが大きかった。

浮気をしていると知って、母の方は跡継ぎうんねんよりも、離婚して慰謝料を多めにもらうことばかり考えるようになった。すぐさま、離婚することにしたため、子供たちのことは、どうでも良くなったようだ。

とんでもない親がいたものだ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。

侯爵令嬢が婚約破棄されて、祖父の傭兵団長が激怒した。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 侯爵令嬢が無双をする話です。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

不倫した妹の頭がおかしすぎて家族で呆れる「夫のせいで彼に捨てられた」妹は断絶して子供は家族で育てることに

佐藤 美奈
恋愛
ネコのように愛らしい顔立ちの妹のアメリア令嬢が突然実家に帰って来た。 赤ちゃんのようにギャーギャー泣き叫んで夫のオリバーがひどいと主張するのです。 家族でなだめて話を聞いてみると妹の頭が徐々におかしいことに気がついてくる。 アメリアとオリバーは幼馴染で1年前に結婚をして子供のミアという女の子がいます。 不倫していたアメリアとオリバーの離婚は決定したが、その子供がどちらで引き取るのか揉めたらしい。 不倫相手は夫の弟のフレディだと告白された時は家族で平常心を失って天国に行きそうになる。 夫のオリバーも不倫相手の弟フレディもミアは自分の子供だと全力で主張します。 そして検査した結果はオリバーの子供でもフレディのどちらの子供でもなかった。

お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!

奏音 美都
恋愛
 まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。 「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」  国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?  国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。 「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」  え……私、貴方の妹になるんですけど?  どこから突っ込んでいいのか分かんない。

異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。

「前世の記憶がある!」と言い張る女が、私の夫を狙ってる。

百谷シカ
恋愛
「彼を返して! その方は私の夫なのよ!!」 「ちょっと意味がわかりませんけど……あの、どちら様?」 私はメランデル伯爵夫人ヴェロニカ・フェーリーン。 夫のパールとは幼馴染で、現在はおしどり夫婦。 社交界でも幼い頃から公然の仲だった私たちにとって、真面目にありえない事件。 「フレイヤよ。私、前世の記憶があるの。彼と結婚していたのよ! 彼を返してッ!!」 その女の名はフレイヤ・ハリアン。 数ヶ月前に亡くなったパルムクランツ伯爵の令嬢とのこと。 「パルムクランツ卿と言えば……ほら」 「あ」 パールに言われて思い出した。 中年に差し掛かったアルメアン侯爵令嬢を娶り、その私生児まで引き取ったお爺ちゃん…… 「えっ!? じゃあフレイヤって侯爵家の血筋なの!?」 どうしよう。もし秘密の父親まで超高貴な方だったりしたらもう太刀打ちできない。 ところが……。 「妹が御迷惑をおかけし申し訳ありません」 パルムクランツ伯爵令嬢、の、オリガ。高貴な血筋かもしれない例の連れ子が現れた。 「妹は、養父が晩年になって引き取った孤児なのです」 「……ぇえ!?」 ちょっと待ってよ。  じゃあ、いろいろ謎すぎる女が私の夫を狙ってるって事!? 恐すぎるんですけど!! ================= (他「エブリスタ」様に投稿)

処理中です...