先祖返りした私は、家族にも周りにも気味の悪い存在だと思われて生きてきましたが、自分らしく生きることにしたら運命の人に出会えました

珠宮さくら

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(エドゥアール視点)

義姉となったラウラは、見たことないほどの美人だ。初めて見た時、こんなに美しい人がいるのかと思ったが、壮絶な人生を送ってきたことを両親から聞かされ、義姉を診察した医者から聞いて、義姉と血の繋がった家族に殺意がわいたのは、すぐのことだった。

そんな連中しかいなかったのなら、今度は義弟となった自分が守る側になろうと思っていたのだが、最初の頃は右も左もわからない義姉に姉や両親と一緒になって必死になっていた。

学園に入る前も、頑張りすぎている義姉を心配していた。とても頭がいいのにそんなことないかのようにしていて、それにどれだけ驚かされ、どれだけ腹が立ったことか。


「こんなに頭がいいのに何の評価もされなかったのか」


それに怒るでもなく、悪く言うでもなく、義姉はこの国に馴染もうとするのに必死になっていた。

その頃の義姉は、ぎこちない感じが抜けきっていなかった。学園で身構えるようなことは、ここではないとまだ思えないようで、私はどうしたらそれがなくなるのかと思って見ていた。

それなのに義姉は血の繋がった方の兄と妹の方を気にかけていた。

それこそ、自業自得なことになっているだけなのに義姉は、どこまで優しいんだと思っていた。散々な目にあわせてきた人たちのことを気にかけることなどないのに。

それよりも、こうしてオージェ侯爵家の新しい家族が何かと気にかけているのにぎこちないままなのにも、私は何とも言えない感情が芽生えていた。

そんな時に義姉が突然、髪を短くした。


「っ!?」


美しい黒髪を短くしたのを見て、私は思わずよろけてしまった。両親も姉も、オージェ侯爵家の使用人たちも、みんなそれぞれショックを受ける光景だった。

しかも、よくよく聞いてれば義姉は短い髪が好きで、人に触られるのがそもそも好きではないようだとわかり、それにも何とも言えない感情が沸々と湧き上がってきた。


「おい、エドゥアール。何があったんだ?!」
「ラウラ嬢は、失礼でもしたのか?」


学園で私は知り合いやら、よく話したこともない子息に取り囲まれて、同じような話を繰り返すことに奔走することになった。

みんな一様に残念がった。勿体ないと嘆く者しかいないと思っていた。


「まぁ、ラウラ嬢も色々あったから、自棄を起こしたのだろう」
「そうだな。あの髪を好む者は、そうはいないから、そのうち気づくだろ」


そんな風に慰められていた。私も、同じことを思っていた。何だかんだ言っても、髪がどんな色をしていようとも、あんなに短い髪の令嬢を好む男なんていないはずだと。

それが、たった1人。あの変わり者の王太子だけが、義姉をべた褒めしたのだ。全く余計なことをしてくれたものだ。

そのうち、婚約が決まったと聞いて絶句してしまったが、家族は反対するものと思っていたのに。


「ラウラが決めたのなら、反対しないわ」
「そうだな。ラウラの好きにしていいと散々言ってきたのだからな」
「そうよね。今のラウラ、楽しそうだし」
「っ、!?」


驚いたことに家族の誰も反対しなかったことに私は驚愕せずにはいられなかった。仕方がないとばかりにしているのに我慢ならなくて、本心では認めていないことがありありとわかった。

それなのに相手は王族なこともあり、強く反対できないのだと私は思った。義姉も、そうだ。この家の養子になってから、恥をかかせられないとずっと必死になっていたのだ。今回もそうに違いないと思って、何かと邪魔をするようにした。



「何であんな変わり者を婚約者に選んだりしたんですか?」


私が、義姉に直接そう言うと最初のうちは黙って聞いていたから、選ぶしかなかったのだと思っていた。でも、そのうち……。


「その話は、前にも聞きました。同じ話なら結構です」
「っ、でも!」
「私の好きにしていいのですよね? なら、自分で考えて行動します。どうなっても、私の自業自得ですから」


私がよく自業自得だと義姉の実の兄妹に言っていたのをそっくりそのまま言い返されてしまった。そこに皮肉なものを感じずにはいられなかった。

それに私は激怒して、義姉にあれこれ言うようになった。すると両親やヴィルジニーに怒られるようになったが、義姉が王太子との婚約を取り消そうとすることはなくなり、私と、この後からあまり話す機会はなくなっていった。両親や姉、それに使用人や学園でも周りが、義姉から私を遠ざけるようになったからだ。

そのうち、婚約しても義姉とその婚約者に対してのことをあれこれ言うのに付き合いきれないと婚約が上手くいかなくなったり、友達も遠ざかるようになった。

私は何も悪くないないのに両親はオージェ侯爵家の跡継ぎとして問題だと言われるようになり、姉が婿を取ることになって、私の居場所が学園を卒業するまでの間にすっかりなくなった。

その頃には、こう思うようになった。


「黒髪の女なんて、ろくなのがいない」


そんな私は、アデル国の令嬢と婚約して、婿入りをした。そこで、黒髪の者をボロクソに言うようになっていたが、周りも同じようなのばかりなことと自分の本当の髪色を魔法で隠し続けることで、アデル国で、それなりに幸せな人生を全うすることができた。


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