先祖返りした私は、家族にも周りにも気味の悪い存在だと思われて生きてきましたが、自分らしく生きることにしたら運命の人に出会えました

珠宮さくら

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(ラウラの養子先視点)

アデル国の偏見まみれの中で生きてきたラウラ。イネス国ならば、いや、あの国以外なら物凄く喜ばれる髪色と瞳をしていたが、一番受け入れがたいまま、未だに暗い色に対して真逆な感情を持っていて厳しい国に生まれたことで、壮絶な人生を歩んで来ていた。

オージェ侯爵夫妻が迎えに行った時に目の当たりにした光景も酷かった。その話をラウラが泣き疲れて寝ている間にオージェ侯爵家の娘と息子は聞いて激怒した。その話をするオージェ侯爵夫妻も、腸が煮えくり返る思いをしたほどだ。


「全く魔法を活用すれば色合いなんて変えられるだろうに」
「エドゥアール。あの国の住人は魔法が使えないものがほとんどだ」
「え?! そうなんですか?」
「あら、知らなかったの? 髪色や瞳の色で色々と言い出した一番最初は、明るい色合いをしている者が魔法を上手く使えないから、暗い色を身にまとって生まれたる者に嫉妬して、八つ当たりしたことが発端なのよ」


エドゥアールは、それを両親や姉から聞いて信じられない顔をした。たかが、そんなことでと言わんばかりだった。

そこから来たこともあり、ラウラは魔法も知らなけらば、真逆の価値観の中で自分を殺して生きてきたのがありありとわかるほど、侯爵家だけでなく、イネス国では痛々しいほどだった。

それでもオージェ侯爵家の恥にならないようにと必死になるラウラをどうにかして、そんな頑張ると必要はないのだと思ってほしくて、外に連れ出したり、学園でも打算的で利用価値があるからと近づいて来る子息たちを遠ざけて、ヴィルジニーの友達がラウラの側にいるように配慮して、少しでも楽しめるようにしていたのだが、それが一変したのはラウラの実の兄妹の話を耳にしてからだった。

最初は、王太子と実の妹が婚約した時だった。何やら不思議そうにしていたが、オージェ侯爵家の誰もがそれに何とも思わなかった。


「ラウラが、何やら不思議そうにしていたわね」
「そりゃ、そうでしょ。散々なことをしておいて、そんなのを婚約者に選ぶ王太子なんてどうかしてますよ」
「確かにそうだな」


この時から、いや元々少しずつ、ラウラが思っていることを勘違いしていたのだが、そのズレが次第に大きくなっていくとはオージェ侯爵家の誰もが思いもしなかった。


「婚約破棄ですか?」
「そうらしい」
「……」


散々な目にあっていても実の妹が、破棄になっただけでなくて家から追い出されることになり、それに実の兄が何もしなかったことに何とも言えない顔をしていた。

その後、実の兄の方も散々だが自業自得の結果となったのを聞いて、ラウラは更に考え込んでいるようだった。


「やはり、実の兄妹のことは色々とショックだっまみたいね」
「ラウラは、優しいから仕方がないわ」
「優しすぎますよ。ただの自業自得なのに」


オージェ侯爵夫妻も、ヴィルジニーもエドゥアールの言葉をその通りだと思っていて、ラウラが何を思ったり考えているかなんてわからなくなっていた。

そんなことがあってから、驚くことが起こった。驚く以上にオージェ侯爵家のみならず、それにショックを受けた者は大勢いた。ショックを受けない者なんていないと思うほどの衝撃的な出来事だった。


「ラウラ。兄妹たちのことが、そんなにショックだったの?」


短くなったラウラの髪を見て、ヴィルジニーはそんなことを言った。


「私の好きにしていいとおっしゃっていたので、したいようにしただけです」
「でも、こんなに短くしてしまっては……」
「髪型のアレンジもできないわ」


オージェ侯爵夫人とヴィルジニーや使用人たちも、髪型やらおしゃれができなくなると嘆いて、侯爵とエドゥアールもそれにその通りだと頷いていた。

でも、ラウラだけが清々しい顔をしていた。


「いつも、髪型を色々と工夫してくださって、ありがとうございます。でも、これからは短いままでいるつもりなので、自分のことは自分でします」
「え?!」


ラウラの言葉にぎょっとした。


「み、短いまま? 伸ばさないの?」
「えぇ、元々長いの好きじゃないので」


お手入れが面倒だと言っていた。それにいつもなら、自分たちがやると使用人たちやらヴィルジニーが言うところだが、そうは言えなかった。ラウラがはっきりと好きじゃないと言ったのが大きかった。

本当に長いのは好きではなかったようだ。どうやら人に触られるのが、ラウラはどうにも好きではなかったようだ。

それに気づかずに毎朝、あーでもないこーでもないと髪型を決めたり、服に合わせた飾りをつけられるのに限界を迎えていたことにも、この時になって初めて知ったのだ。

この機会にやりたいことをやろうとしているラウラにそうなってほしかったはずなのに。あれこれやとオージェ侯爵家の面々だけでなく、多くの者が心配したが、ラウラが好きになるのをやめることはなかった。

そして、短い髪を絶賛する変わり者が現れるとは、この時の誰も思っていなかった。まさか、この国で一番変わり者と思われている王太子とラウラが意気投合するとは思いもしなかったのだ。

でも、髪を短くする前だったら、変わり者だからとどうにか婚約を回避させようとしていたところだったが、それを考えなかったのはラウラが王太子といて、とても楽しそうにしていたからに他ならなかった。


「私たちも、偏見まみれでラウラを見ていたようだな」
「そのようですね」


オージェ侯爵夫妻は、そんなことを思っていたし、ヴィルジニーも同じようなことを思っていたが、エドゥアールは……。


「何であんな変わり者を婚約者に選んだりしたんですか?」


エドゥアールだけが納得いかなかったようだが、ラウラは色々言われても最初のうちは黙って聞いていたが……。


「その話は、前にも聞きました。同じ話なら結構です」
「っ、でも!」
「私の好きにしていいのですよね? なら、自分で考えて行動します。どうなっても、私の自業自得ですから」


エドゥアールが、自業自得だとラウラの実の兄妹に言っていたのをそっくりそのまま言ったのは、皮肉なものを感じずにはいられなかった。

それにエドゥアールは激怒して、両親やヴィルジニーに怒られていたが、ラウラは王太子との婚約を取り消そうとする義弟とは、この後あまり話す機会はなくなっていった。

オージェ侯爵家では、跡継ぎ息子のエドゥアールがラウラに何かと楯突くのを目撃されることになったのも、こんなことがあってからだった。


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