歴史から消された皇女〜2人の皇女の願いが叶うまで終われない〜

珠宮さくら

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『認められた皇女』

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あまりにも間抜けすぎるというか、お粗末すぎる。どこかの子息にディェリンの側に近寄るに近寄れなかった歳の近い男子たちは、それで一気に抜けた感じがする。


(ここにいるのは、みんないざとなると助けてはくれない人ばかりね。さっき、いたのは、少しは見込みがありそうだったけど、もういなくなってしまった。私に興味がないのね)


普段は、男子の学び舎に来ている時は幼なじみと言えなくもない子息が、常にディェリンの側にいた。

でも、そのせいで話しかけてもらえないと思って離した途端、これだ。どうして今日に限って、変なのに遭遇してしまったのか。

見計らったかのようにその人物はやって来た。ここに来るまで慌てて来たようだが、武官になるべく日々の鍛錬に勤しんでいると言っていたはずなのに遠くで息を整えているのが見える。


(そこで、一旦休憩するのね)


ディェリンの見えないところで、休憩してほしいところだ。皇太子の方は、彼の兄が側にいるらしいが、昔は弟の方が将来有望みたいに彼らの父は言っていたが、最近はそれを聞かなくなった。

こういうところだろうなとその残念さを見ながら、ようやく息が整って何気なく身だしなみを整えてから現れた。

この男は、いざとなったら、ディェリンの危険に身なりを気にして現れることがわかった。とても残念でならない。


(まぁ、元々期待してもいないけど)


周りは気づかずともディェリンにはよくわかった。彼にしては大慌てでここまで来たが、身体が訛りすぎて辛かったのだ。護衛を目指しているはずなのにおかしな話だ。

長い付き合いなこともあり、マジマジと観察しなくともわかる。ディェリンの護衛になって、訓練も鍛錬も怠っているのだ。

なのに側にいて、口やかましいことしか言わないのだから、煩わしくもなる。

彼がやって来るなり、こう言った。


「皇女殿下。このようなところで、いかがなさいましたか?」
「……」
「へ? こんなのが……?」


どの口がと思っていたら、別のところから聞き捨てならないことを言われた。


(こいつら、何なの?)


その反応から、無礼にも一方的に話しかけていた子息は、本当に知らなかったのだろうことは、ディェリンでなくともわかった。

知っていてやったなら、それをきっかけにお近づきになるのかも知れないが、そんなことを目論む子息が、婚約破棄の撤回をしてくれとは言わないはずだ。

そして、幼なじみのような方の態度にもイラッとした。

でも、それよりも、初対面の子息だ。


(ここで、そんなこと言うなんて、どれだけ無知なのかしらね。ここにいられる女性なんて、皇女の私しかいないのに何も知らないのね)


残念なインパクトしかない。それこそ、婚約者だった女性の顔すら知らないなんて、間抜けすぎる。


(……あれ? そうか。顔を知らないってことになるのか。よく婚約していたものね)


ディェリンは、そこに行き着いてしまっていた。元婚約者に破棄の撤回をしてもらいたいはずなのに、その相手のことをまるで知らないのだということに気づいた。どうやら、目の前の子息の思考にびっくりし過ぎて、ディェリンまでも間抜になってしまったようだ。

それなのにこの態度でいられるのだ。こんな息子のいる家は、一体何をしているのだろうか? こんなのを野放しにしておく方が、どうかしている。

そんなことを思っていると……。


「この者は?」
「っ、」


ギロッとあとから来た男子生徒は、無礼な子息を睨みつけながら、ディェリンに尋ねてきた。

そんなことをしてきた彼の名前は、ユーシュエン。ディェリンとは同じ年で、彼の父親がディェリンの父の護衛長を務めている。

彼も、護衛となるために日々鍛錬していたはずだが、先ほどのを見ていると違うようだ。同じ年なこともあり、学び舎では何かとディェリンの側にいようとした。同じ年なこともあり、幼なじみのようなものだとしても、ディェリンにはそこが問題だらけだった。

そんな彼をディェリンは煩わしく思っていた。学び舎にいる時くらい、他の人と話がしたい。各々の時間を大切にしようと言って、1人でうろちょろしていたら、これだ。

こんなことになるとは、思っていなかった。ユーシュエンは、実父に叱られるだろうが、先ほどの行動を見るからには叱られておいた方がいいだろう。

ディェリンが、そうしてくれと言ったから、こうなっているとしても、万が一の時にあんな休憩挟む護衛なんていらない。


(私には花影がいるからいいのだけど)


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