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第15話
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駅のホームを出て、改札を通る。人混みをすり抜け、会社までの道のりを歩く。
それにしても慎二からのメッセージはなんだったんだろう?
あの後、
『どうしてもダメかな?』
『なんでダメなんだ』
『何でもするからお願いします!』
と、不思議な程に食い下がられた。
そんなに僕との結婚を周りに言いたいのかな?
また踊り出しそうになる心をどうにか沈めていると、横を通った女性がチラッと僕の方に視線を向けた。
考え事をしながらも、前を向いて歩いていた為、視線は合わなかった。
しかし、彼女が僕の顔を見て驚いたのが、横目に見えていた。
どういうことだ?
彼女はその後、スマホを取り出し、画面をじっと見ている。
ますます意味がわからない。
まるで、最近知った芸能人を街中で見かけたような反応。
僕の顔に何かついてるかな?
しかし会社に近づくにつれ、僕に向けられる視線が増えてくる。
その時、ポケットに入れたスマホが鳴った。歩道の脇に逸れ、画面を見る。それは慎二からだった。
トーク画面には、一枚の写真。
そこには、後ろから慎二に抱きしめられる僕の姿があった。
これは、昨日のお昼休憩の……。
写真を見ていると、続けてメッセージが送られてくる。
『この写真が今、会社中で拡散されているんだ。さっき会社に着いたら、同じ部署の奴らに囲まれた。それで俺も知ったんだ』
『那月は危ないから今日は休んで欲しい』
ああ、なるほど。
僕は、慎二があれほど結婚報告に食い下がってきた理由について分かってしまった。
左手に着けている結婚指輪に視線をやる。
僕だけが着けている結婚指輪。
慎二は言わなかったが、つまり僕が慎二と不倫したという内容で噂が回っているんだろう。
しかも恐らくは、僕から迫って――だとか、僕が脅して――だとか、噂に尾ひれが付きまくっている。
しかしそこで、僕と慎二が結婚してることを明かせば、僕の不名誉な噂は取り消せるだろう。
だから慎二は、さっきのやり取りで異様なほど食い下がってきたのだ。優しい慎二らしい。
しかし、僕の心は重たい。まるで鉛のように。
――会社に行きたくない。
別に噂は関係ない。会社に行けば、ジロジロと嫌な視線を向けられ、慎二を好きな女子やオメガに、嫌がらせをされるんだろう。
でも今は、それよりも何よりも、慎二に会いたくない。
家に引き返そうかな?
ここから歩けば、五分もせずに会社に着く。すぐそこだ。それに休めば、経理部の人に迷惑をかけてしまう。
そう思いながらも一歩、駅の方に足を向けた。その時、またもスマホが鳴る。
『結婚してること言ってもいいよね?』
僕はそのメッセージを見た途端、会社に向かって歩き出していた。
――慎二の言葉に従いたくない。
早足で人を掻き分けて進めば、五分どころかすぐに会社のビルが見えてくる。
僕は地面を強く蹴りながら進む。
慎二の行動は全て、優しさと親切心。それを一瞬でも、愛されてると期待してしまった自分に腹が立った。
お情けで守られて、お情けで結婚報告をされるなんて、
絶ッ対に嫌だッ!!!
ずっと言いたかった。
慎二は僕のものだって。
でも、それがこんな形で叶ってしまったら、僕はとてつもなく惨めだ。
優しさなんかいらない。
親切心なんて向けて欲しくない。
僕はきっと傲慢なことを思っているんだろう。
それでももう、傷付きたくない。
それにしても慎二からのメッセージはなんだったんだろう?
あの後、
『どうしてもダメかな?』
『なんでダメなんだ』
『何でもするからお願いします!』
と、不思議な程に食い下がられた。
そんなに僕との結婚を周りに言いたいのかな?
また踊り出しそうになる心をどうにか沈めていると、横を通った女性がチラッと僕の方に視線を向けた。
考え事をしながらも、前を向いて歩いていた為、視線は合わなかった。
しかし、彼女が僕の顔を見て驚いたのが、横目に見えていた。
どういうことだ?
彼女はその後、スマホを取り出し、画面をじっと見ている。
ますます意味がわからない。
まるで、最近知った芸能人を街中で見かけたような反応。
僕の顔に何かついてるかな?
しかし会社に近づくにつれ、僕に向けられる視線が増えてくる。
その時、ポケットに入れたスマホが鳴った。歩道の脇に逸れ、画面を見る。それは慎二からだった。
トーク画面には、一枚の写真。
そこには、後ろから慎二に抱きしめられる僕の姿があった。
これは、昨日のお昼休憩の……。
写真を見ていると、続けてメッセージが送られてくる。
『この写真が今、会社中で拡散されているんだ。さっき会社に着いたら、同じ部署の奴らに囲まれた。それで俺も知ったんだ』
『那月は危ないから今日は休んで欲しい』
ああ、なるほど。
僕は、慎二があれほど結婚報告に食い下がってきた理由について分かってしまった。
左手に着けている結婚指輪に視線をやる。
僕だけが着けている結婚指輪。
慎二は言わなかったが、つまり僕が慎二と不倫したという内容で噂が回っているんだろう。
しかも恐らくは、僕から迫って――だとか、僕が脅して――だとか、噂に尾ひれが付きまくっている。
しかしそこで、僕と慎二が結婚してることを明かせば、僕の不名誉な噂は取り消せるだろう。
だから慎二は、さっきのやり取りで異様なほど食い下がってきたのだ。優しい慎二らしい。
しかし、僕の心は重たい。まるで鉛のように。
――会社に行きたくない。
別に噂は関係ない。会社に行けば、ジロジロと嫌な視線を向けられ、慎二を好きな女子やオメガに、嫌がらせをされるんだろう。
でも今は、それよりも何よりも、慎二に会いたくない。
家に引き返そうかな?
ここから歩けば、五分もせずに会社に着く。すぐそこだ。それに休めば、経理部の人に迷惑をかけてしまう。
そう思いながらも一歩、駅の方に足を向けた。その時、またもスマホが鳴る。
『結婚してること言ってもいいよね?』
僕はそのメッセージを見た途端、会社に向かって歩き出していた。
――慎二の言葉に従いたくない。
早足で人を掻き分けて進めば、五分どころかすぐに会社のビルが見えてくる。
僕は地面を強く蹴りながら進む。
慎二の行動は全て、優しさと親切心。それを一瞬でも、愛されてると期待してしまった自分に腹が立った。
お情けで守られて、お情けで結婚報告をされるなんて、
絶ッ対に嫌だッ!!!
ずっと言いたかった。
慎二は僕のものだって。
でも、それがこんな形で叶ってしまったら、僕はとてつもなく惨めだ。
優しさなんかいらない。
親切心なんて向けて欲しくない。
僕はきっと傲慢なことを思っているんだろう。
それでももう、傷付きたくない。
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