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第20話
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「あっ……」
僕はやはり調子に乗っていたのか。
そうだよ、慎二には佐々木さんがいる。いつも明るくて皆に人気者の佐々木さんが。
怒った慎二を見て、本当は僕のこと好きなんじゃ……なんて……。
「ははは……」
乾いた笑いがこぼれ落ちた。
僕は本当に馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。
そりゃあ、慎二だって怒るだろう。
あの結婚指輪は慎二が買ったものだ。それを送り主の前で踏んづけて壊すなんて……。
誰だって怒るに決まってる。
こんなこと、少し考えれば分かる。
でもその後、怒ってるはずなのに慎二がキスなんてするから……。
「はぁ……僕ってダメだなぁ。こんな時まで、人のせいにするなんて」
その時、スマホが鳴った。
『今日の夜なら空いてる』
元カレ・冬弥からの連絡だった。
「そうだね。早く離婚の準備をしないと」
僕は、踵を返す。
『じゃあ、今日――――』
来た道を戻りながら、時間と場所を指定するメッセージを送る。
さっさとお昼を食べて、仕事をしよう。約束の時間に遅れるわけにはいかない。
「あなたが矢野さん?」
そろそろ経理部のフロアに着くというところで、呼び止められた。
振り返れば、そこには小柄な女性が四人。オメガだろうか?
「ええ、そうですけど」
その四人の内、後ろの少し離れたところにいる一人には、見覚えがあった。三ヶ月ほど前、駅から会社までの道のりですっ転んでいたので、タオルを貸した。
それからというもの、会社ですれ違う時は挨拶してくれる女性だ。
「ちょっとこっちに来て」
廊下を歩けば、僕を人が避けていく。さっきからそういう状況だったので、不思議に思う。
この人達は僕のことが臭くないんだろうか?
噂のこともあるし、きっと警戒すべきなんだろう。しかし、さっきから人に避けられすぎていて声をかけられたのが少し嬉しい気がしてくる。
それに相手は僕よりも小柄な女性。おそらくオメガ。
そんな彼女たちが何か出来るとは思えないし、ここで断ってもおそらく粘着される。
なら、今どうにかしてしまった方がいい。
少し我慢していればそれですむ。
僕は手招きされたので、それについて行くことにした。
連れてこられたのは、ひとけのない階段の踊り場。また階段か。
「須田さんと結婚してるってウソでしょ」
四人の中のリーダー格であろう人が、心底軽蔑するような目で見てくる。
まあ、そうだよな。そう来るよな。
「ありえないウワサ流して、須田さんに迷惑かけて、人として心底終わってるんだけど」
本当にその通りだと思う。
「申し訳ないです」
この人に謝るのは少し違うと思った。しかし、そんなことはどうでもいい。
早く戻って、早く仕事を終わらせる。
そして、離婚計画を進めるんだ。
「はぁ? 謝ってすむと思うわけ? こんな地味男との噂なんか流されてホント須田さん可哀想」
この人は慎二の代弁者か何かだろうか?
不思議に思うが、とりあえず平謝り。そんなことを言ってもこの状況は良くならない。
ふと、女が黙る。かと思えば、近づいてくる足音がする。
「何これ、弁当?」
僕が手に持っていた弁当に視線を向けられる。
「いやっ、それはっ……」
女が弁当を取り上げようふるので、僕は抵抗した。しかし、取り巻き三人の内二人が、僕の腕を掴んだ。身動きが取れなくなる。
「何これ? クソ不味そう」
お弁当を僕から取り上げ、中身を見た女はそう言った。
そして、それを僕の頭の上でひっくり返した。
僕はやはり調子に乗っていたのか。
そうだよ、慎二には佐々木さんがいる。いつも明るくて皆に人気者の佐々木さんが。
怒った慎二を見て、本当は僕のこと好きなんじゃ……なんて……。
「ははは……」
乾いた笑いがこぼれ落ちた。
僕は本当に馬鹿だ。どうしようもない馬鹿だ。
そりゃあ、慎二だって怒るだろう。
あの結婚指輪は慎二が買ったものだ。それを送り主の前で踏んづけて壊すなんて……。
誰だって怒るに決まってる。
こんなこと、少し考えれば分かる。
でもその後、怒ってるはずなのに慎二がキスなんてするから……。
「はぁ……僕ってダメだなぁ。こんな時まで、人のせいにするなんて」
その時、スマホが鳴った。
『今日の夜なら空いてる』
元カレ・冬弥からの連絡だった。
「そうだね。早く離婚の準備をしないと」
僕は、踵を返す。
『じゃあ、今日――――』
来た道を戻りながら、時間と場所を指定するメッセージを送る。
さっさとお昼を食べて、仕事をしよう。約束の時間に遅れるわけにはいかない。
「あなたが矢野さん?」
そろそろ経理部のフロアに着くというところで、呼び止められた。
振り返れば、そこには小柄な女性が四人。オメガだろうか?
「ええ、そうですけど」
その四人の内、後ろの少し離れたところにいる一人には、見覚えがあった。三ヶ月ほど前、駅から会社までの道のりですっ転んでいたので、タオルを貸した。
それからというもの、会社ですれ違う時は挨拶してくれる女性だ。
「ちょっとこっちに来て」
廊下を歩けば、僕を人が避けていく。さっきからそういう状況だったので、不思議に思う。
この人達は僕のことが臭くないんだろうか?
噂のこともあるし、きっと警戒すべきなんだろう。しかし、さっきから人に避けられすぎていて声をかけられたのが少し嬉しい気がしてくる。
それに相手は僕よりも小柄な女性。おそらくオメガ。
そんな彼女たちが何か出来るとは思えないし、ここで断ってもおそらく粘着される。
なら、今どうにかしてしまった方がいい。
少し我慢していればそれですむ。
僕は手招きされたので、それについて行くことにした。
連れてこられたのは、ひとけのない階段の踊り場。また階段か。
「須田さんと結婚してるってウソでしょ」
四人の中のリーダー格であろう人が、心底軽蔑するような目で見てくる。
まあ、そうだよな。そう来るよな。
「ありえないウワサ流して、須田さんに迷惑かけて、人として心底終わってるんだけど」
本当にその通りだと思う。
「申し訳ないです」
この人に謝るのは少し違うと思った。しかし、そんなことはどうでもいい。
早く戻って、早く仕事を終わらせる。
そして、離婚計画を進めるんだ。
「はぁ? 謝ってすむと思うわけ? こんな地味男との噂なんか流されてホント須田さん可哀想」
この人は慎二の代弁者か何かだろうか?
不思議に思うが、とりあえず平謝り。そんなことを言ってもこの状況は良くならない。
ふと、女が黙る。かと思えば、近づいてくる足音がする。
「何これ、弁当?」
僕が手に持っていた弁当に視線を向けられる。
「いやっ、それはっ……」
女が弁当を取り上げようふるので、僕は抵抗した。しかし、取り巻き三人の内二人が、僕の腕を掴んだ。身動きが取れなくなる。
「何これ? クソ不味そう」
お弁当を僕から取り上げ、中身を見た女はそう言った。
そして、それを僕の頭の上でひっくり返した。
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