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第33話(慎二視点) ※本番なし
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身体が熱い。そして奥底から甘く、隠微な衝動がじわりじわりと湧き上がる。
そんな熱にうなされた身体を労わるように、扉に凭れかかっていると、ドンドンドンと扉を叩く振動が背中に伝わってくる。
「慎二ッ! ねぇ、慎二!」
しかし、その力は弱々しいものだった。
「慎二ッ! そこにいるんだよね?」
「…………」
那月はどうやらベッドから起き上がり、俺を追って玄関にまで来たらしい。
彼が近くに来たことでまた甘い香りが辺りを漂う。
だから、俺の身体に湧き上がる熱も加速度的に上昇していく。
今すぐこの扉を蹴破って、押し倒して、服を剥ぎ取って……ッ!
と、やめろやめろ。想像すると更に欲が我慢がきかなくなりそうだ。
「ねぇ、僕のこと無理矢理、番にしたってどういうこと!? あれは事故だったんだよね!?」
俺はその声に無意識に眉根を寄せる。那月の声が床の方から聞こえてきたからだ。
立っているのもキツいくせして、なんで俺を追ってくるんだ。
「お願いだから、早くベッドで休んでくれ……」
「ねぇ、慎二……答えてよ」
那月の声からは勢いが失われ、段々と艶かしい色が滲み出てくる。
それに呼応するように身体にジーンと甘い痺れが広がる。
頭が『那月をめちゃくちゃに犯したい』その一点に支配されそうになるのを、かぶりを振って拒絶する。
「ねぇ、慎二……僕のこと番にしたくてしたの?」
いくら無視しても那月が自室に戻る素振りはない。
しかしこの扉から離れ、この状態の那月を家の外に出してしまうのは死んでも嫌だ。
「そうだよ……俺は那月のことが死ぬほど好きで、どうしても他のやつに渡したくなかった。だから、二年前の番ったあの日、発情抑制剤を盛ったんだ。最悪だろ?」
「…………」
那月は肯定も否定もしない。ただ話を聞いている。
「今だって、そのことを後悔すらしてない。どうやったら那月のことを繋ぎ止めていられるか、それしか考えてないんだ」
どうしても手放したくない。たとえ那月が俺のことを嫌っていたとしても。
「だから、俺の事なんて放っておいてくれ」
「んっ……しん、じ……」
何かを言いたげに那月が俺の名前を呼ぶ。その言葉は実にたどたどしい。
小鳥のさえずりのように可愛らしい声。そして、悪魔のように俺を地獄へと誘う艶かしい息遣い。
俺の屹立は、自分の意思に反して硬くなる。
大きくひとつ、息を吐いて理性を総動員させる。
「お願いだから、俺が我慢できなくなる前に、早く部屋に戻ってくれ……」
「ヤだ!」
俺の懇願にも似た言葉は、子供の駄々をこねるような声に遮られた。
「なんで慎二はそうやって……僕のこと、いつも抱いてくれないの……?」
「それは……」
なんで今更そんなことを聞くんだろうか?
「発情期前に誘っても断るし……僕にあまり触れてこようとしないし……」
俺の頭は疑問符でいっぱいになる。
那月のこの質問は何なんだろうか?
「そんなんで俺のこと好きって、そんな言葉信じられるわけないじゃん……」
もしかして、俺の言葉はずっと、そんな風に那月から拒絶されてきたのだろうか?
俺が那月を抱かなかったから、
「俺の好意が伝わっていない?」
こんなに、こんなに愛しているというのに。それが何一つ伝わっていないなんて。
「那月、それは俺のこと誘ってるって捉えていいんだな?」
「ん……うん?」
「本当に那月のこと抱くからな?」
「う、うん……いいよ。でも、どうして急に……」
那月が頷いたのを確認してすぐに扉を開く。そこには、吃驚する那月がいるが、俺は彼を強引に抱き上げて彼の部屋に直行した。
「し、しんじ……?」
俺の名前を呼んでくれるその声が堪らなく愛しい。
「好きだ」
ベッドに押し倒し、服を脱がせてから、耳元で愛を囁く。
一糸まとわぬ姿の番を見るのは実に二年ぶりで、目頭が熱くなる。
「那月、愛してる」
那月の顔色を見ながら、足の裏や、甲、爪先などを順々に口付ける。
「那月っ……那月っ……」
「しんじっ……やめっ……」
顔を赤く染めて抵抗されるが、嫌悪感は見られない。
今まで拒絶されたくなくて、踏み込めなかったが、これくらいの接触では嫌がられないのか。
顔を手で覆いながらも、こちらの様子をチラチラと窺ってくる那月がなんとも可愛らしい。
「しんじっ……急に、なんで?」
「なんでって?」
「僕のこと抱いて……んっ、くれる気になったんでしょ?」
「そうだね、那月が嫌がっても辞める気はないよ?」
目尻に涙を貯めて恥ずかしがる那月を見て微笑んだ。
なるべく那月が怖がらないように。
「ごめんね、那月……」
そして、俺の愛撫は太ももの付け根にまで到達した。
そんな熱にうなされた身体を労わるように、扉に凭れかかっていると、ドンドンドンと扉を叩く振動が背中に伝わってくる。
「慎二ッ! ねぇ、慎二!」
しかし、その力は弱々しいものだった。
「慎二ッ! そこにいるんだよね?」
「…………」
那月はどうやらベッドから起き上がり、俺を追って玄関にまで来たらしい。
彼が近くに来たことでまた甘い香りが辺りを漂う。
だから、俺の身体に湧き上がる熱も加速度的に上昇していく。
今すぐこの扉を蹴破って、押し倒して、服を剥ぎ取って……ッ!
と、やめろやめろ。想像すると更に欲が我慢がきかなくなりそうだ。
「ねぇ、僕のこと無理矢理、番にしたってどういうこと!? あれは事故だったんだよね!?」
俺はその声に無意識に眉根を寄せる。那月の声が床の方から聞こえてきたからだ。
立っているのもキツいくせして、なんで俺を追ってくるんだ。
「お願いだから、早くベッドで休んでくれ……」
「ねぇ、慎二……答えてよ」
那月の声からは勢いが失われ、段々と艶かしい色が滲み出てくる。
それに呼応するように身体にジーンと甘い痺れが広がる。
頭が『那月をめちゃくちゃに犯したい』その一点に支配されそうになるのを、かぶりを振って拒絶する。
「ねぇ、慎二……僕のこと番にしたくてしたの?」
いくら無視しても那月が自室に戻る素振りはない。
しかしこの扉から離れ、この状態の那月を家の外に出してしまうのは死んでも嫌だ。
「そうだよ……俺は那月のことが死ぬほど好きで、どうしても他のやつに渡したくなかった。だから、二年前の番ったあの日、発情抑制剤を盛ったんだ。最悪だろ?」
「…………」
那月は肯定も否定もしない。ただ話を聞いている。
「今だって、そのことを後悔すらしてない。どうやったら那月のことを繋ぎ止めていられるか、それしか考えてないんだ」
どうしても手放したくない。たとえ那月が俺のことを嫌っていたとしても。
「だから、俺の事なんて放っておいてくれ」
「んっ……しん、じ……」
何かを言いたげに那月が俺の名前を呼ぶ。その言葉は実にたどたどしい。
小鳥のさえずりのように可愛らしい声。そして、悪魔のように俺を地獄へと誘う艶かしい息遣い。
俺の屹立は、自分の意思に反して硬くなる。
大きくひとつ、息を吐いて理性を総動員させる。
「お願いだから、俺が我慢できなくなる前に、早く部屋に戻ってくれ……」
「ヤだ!」
俺の懇願にも似た言葉は、子供の駄々をこねるような声に遮られた。
「なんで慎二はそうやって……僕のこと、いつも抱いてくれないの……?」
「それは……」
なんで今更そんなことを聞くんだろうか?
「発情期前に誘っても断るし……僕にあまり触れてこようとしないし……」
俺の頭は疑問符でいっぱいになる。
那月のこの質問は何なんだろうか?
「そんなんで俺のこと好きって、そんな言葉信じられるわけないじゃん……」
もしかして、俺の言葉はずっと、そんな風に那月から拒絶されてきたのだろうか?
俺が那月を抱かなかったから、
「俺の好意が伝わっていない?」
こんなに、こんなに愛しているというのに。それが何一つ伝わっていないなんて。
「那月、それは俺のこと誘ってるって捉えていいんだな?」
「ん……うん?」
「本当に那月のこと抱くからな?」
「う、うん……いいよ。でも、どうして急に……」
那月が頷いたのを確認してすぐに扉を開く。そこには、吃驚する那月がいるが、俺は彼を強引に抱き上げて彼の部屋に直行した。
「し、しんじ……?」
俺の名前を呼んでくれるその声が堪らなく愛しい。
「好きだ」
ベッドに押し倒し、服を脱がせてから、耳元で愛を囁く。
一糸まとわぬ姿の番を見るのは実に二年ぶりで、目頭が熱くなる。
「那月、愛してる」
那月の顔色を見ながら、足の裏や、甲、爪先などを順々に口付ける。
「那月っ……那月っ……」
「しんじっ……やめっ……」
顔を赤く染めて抵抗されるが、嫌悪感は見られない。
今まで拒絶されたくなくて、踏み込めなかったが、これくらいの接触では嫌がられないのか。
顔を手で覆いながらも、こちらの様子をチラチラと窺ってくる那月がなんとも可愛らしい。
「しんじっ……急に、なんで?」
「なんでって?」
「僕のこと抱いて……んっ、くれる気になったんでしょ?」
「そうだね、那月が嫌がっても辞める気はないよ?」
目尻に涙を貯めて恥ずかしがる那月を見て微笑んだ。
なるべく那月が怖がらないように。
「ごめんね、那月……」
そして、俺の愛撫は太ももの付け根にまで到達した。
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