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陰謀
因縁
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「ヴェンデルガルト様!」
今夜はパーティーで物騒なのでカールの別荘に泊まる事になり、眠っている彼女たちの近くの部屋でヴェンデルガルトは同じように眠りについていた。そこに、黄薔薇騎士の副団長でもあるディルクは馬を急ぎ走らせて来た。案内するビルギットを急かし、荒い息で頭を下げている。
「何かお城であったのですか?」
事情は分からずとも、ヴェンデルガルトは賢い。着替える時間が惜しいと、ショールを纏って彼に話しかける。
「二人が、毒で倒れました。今回の反乱での容疑者なので、ここで死なせたくないのです」
「分かりました、行きます。ビルギットは、彼女たちが起きた時の為にここにいて」
「ヴェンデルガルト様!」
付いて来ようとしたビルギットだったが、ロルフが止めて「任せて下さい」と再び城に戻るディルクとヴェンデルガルトに続いた。
「駆け足で行きます、しっかり捕まっていてください」
ロルフの馬に乗ると、彼はもう走り出したディルクの馬を追う様に急いだ。ヴェンデルガルトが馬や駱駝に乗ってきた時の中で、一番早かった。振り落とされないようにするので精一杯だった。
城の中は、静かになっていた。パーティーの客たちは混乱と混雑を避ける為、帰されたようだ。
「ヴェンデルガルト様が到着しました!」
急ぎ向かうディルクに続いて、ヴェンデルガルトは入った事が無い部屋に向かった。そこには、二人のドレス姿の女性がいた。
「毒だ、間に合うか!?」
ジークハルトの言葉に、ヴェンデルガルトは慌てて回復魔法をかけた。
「治療」
ヴェンデルガルトがそう唱えると、「ごふっ」と喉に詰まっていた物を吐いて、二人の女性の呼吸が戻った。あと少し遅ければ、間に合わなかっただろう。吐瀉物まみれの彼女達を、紫騎士たちがどこかに連れて行った。
「――すまない、君に頼ってばかりだ」
ジークハルトは、安堵したように表情を和らげてヴェンデルガルトに礼を言った。
「俺も飲みそうだった――もう毒は遠慮したい」
ランドルフはそう言って、ヴェンデルガルトを抱き締めた。南の国の毒のせいで、ランドルフは生死をさ迷ったからだろう。ランドルフが飲む予定だったグラスは証拠品として、騎士たちが回収していた。割れたワイングラスは、三個。フロレンツィアも少し飲んでいたが、彼女は定期的に毒を飲んでいる。一度ヴェンデルガルトに治癒魔法をかけられて耐性が無くなった筈だが、あれから再び毒を飲んできただろう。きっと、毒に耐えているはずだ。
「口封じの為に、仲間を殺そうとしたか――確かに、親より娘たちの方が弱くて口を割る可能性が高い。容疑者の一人であるフロレンツィアが逃亡したとなると、証拠品が処分される可能性が高くなる。青薔薇騎士と紫薔薇騎士で、街を探してくれ」
ジークハルトの命で薔薇騎士団がフロレンツィアを探しに奔走したが、朝になっても彼女と執事は見つからなかった。
「私ね、どうしても不思議な事があるの」
昨夜遅くにカールの別荘に戻り眠り直したヴェンデルガルトが、朝の食事をしている時にそう話し始めた。
「ラムブレヒト公爵とフロレンツィア様。それに愛人の花屋の方――色々な人が出てくるけれど、ラムブレヒト公爵の奥様――フロレンツィア様のお母様は、何処にいらっしゃるの?」
「ああ、ヴェンデルガルト様はご存じなかったのでしょうか?」
眠そうに目を擦りながら、パンを口にしたロルフがそれに答えた。
「レナータ様は、教会の支援をなさっていて屋敷には滞在されず、ずっと教会で生活されています。夫と娘と合わないって、ずっと口にされていたそうです。西側にある全能神のフロレンツ神の教会にいらっしゃいますよ」
それを聞いて、ヴェンデルガルトは少し考えこんだ。協会は、騎士たちも報告などで使っている。騎士がよく入る場所――ラファエルがビルギットに言った、意外な場所。
「朝食が終わったら、そこへ行きたいわ。一緒に行ける薔薇騎士団の方が居たら、出来たら一緒に。女の子たちが目覚めたら、すぐ戻るわ。少し、気になる事があるの」
「分かりました、俺も付き添います。一度城に行って、声をかけて向かいましょう」
ロルフがそう言うと、ヴェンデルガルトは少し緊張した顔で朝食を食べ終えた。
「レナータ様に会いに? それなら、私がご一緒しましょう」
城に行くと、ギルベルトがそう言った。イザークは証拠を探すのに忙しく、ランドルフとカールはフロレンツィアを探していた。ジークハルトは、ラムブレヒト公爵たちを城に滞在させて監視している。
「有難うございます。無駄足になったら申し訳ありません」
「いいのですよ、可愛いヴェンデル。ラムブレヒト公爵とあなたは――少し、因縁がありますから」
意外なギルベルトの言葉に、ヴェンデルガルトは不思議そうな顔になる。
「バルシュミーデ皇国を作ったのは、ゲープハルト・ハイノ・フンベルト・アインホルン辺境伯。彼が一番信頼していて、当時の王族……あなたの家族を処刑したのはラムブレヒト公爵家の先祖です」
今夜はパーティーで物騒なのでカールの別荘に泊まる事になり、眠っている彼女たちの近くの部屋でヴェンデルガルトは同じように眠りについていた。そこに、黄薔薇騎士の副団長でもあるディルクは馬を急ぎ走らせて来た。案内するビルギットを急かし、荒い息で頭を下げている。
「何かお城であったのですか?」
事情は分からずとも、ヴェンデルガルトは賢い。着替える時間が惜しいと、ショールを纏って彼に話しかける。
「二人が、毒で倒れました。今回の反乱での容疑者なので、ここで死なせたくないのです」
「分かりました、行きます。ビルギットは、彼女たちが起きた時の為にここにいて」
「ヴェンデルガルト様!」
付いて来ようとしたビルギットだったが、ロルフが止めて「任せて下さい」と再び城に戻るディルクとヴェンデルガルトに続いた。
「駆け足で行きます、しっかり捕まっていてください」
ロルフの馬に乗ると、彼はもう走り出したディルクの馬を追う様に急いだ。ヴェンデルガルトが馬や駱駝に乗ってきた時の中で、一番早かった。振り落とされないようにするので精一杯だった。
城の中は、静かになっていた。パーティーの客たちは混乱と混雑を避ける為、帰されたようだ。
「ヴェンデルガルト様が到着しました!」
急ぎ向かうディルクに続いて、ヴェンデルガルトは入った事が無い部屋に向かった。そこには、二人のドレス姿の女性がいた。
「毒だ、間に合うか!?」
ジークハルトの言葉に、ヴェンデルガルトは慌てて回復魔法をかけた。
「治療」
ヴェンデルガルトがそう唱えると、「ごふっ」と喉に詰まっていた物を吐いて、二人の女性の呼吸が戻った。あと少し遅ければ、間に合わなかっただろう。吐瀉物まみれの彼女達を、紫騎士たちがどこかに連れて行った。
「――すまない、君に頼ってばかりだ」
ジークハルトは、安堵したように表情を和らげてヴェンデルガルトに礼を言った。
「俺も飲みそうだった――もう毒は遠慮したい」
ランドルフはそう言って、ヴェンデルガルトを抱き締めた。南の国の毒のせいで、ランドルフは生死をさ迷ったからだろう。ランドルフが飲む予定だったグラスは証拠品として、騎士たちが回収していた。割れたワイングラスは、三個。フロレンツィアも少し飲んでいたが、彼女は定期的に毒を飲んでいる。一度ヴェンデルガルトに治癒魔法をかけられて耐性が無くなった筈だが、あれから再び毒を飲んできただろう。きっと、毒に耐えているはずだ。
「口封じの為に、仲間を殺そうとしたか――確かに、親より娘たちの方が弱くて口を割る可能性が高い。容疑者の一人であるフロレンツィアが逃亡したとなると、証拠品が処分される可能性が高くなる。青薔薇騎士と紫薔薇騎士で、街を探してくれ」
ジークハルトの命で薔薇騎士団がフロレンツィアを探しに奔走したが、朝になっても彼女と執事は見つからなかった。
「私ね、どうしても不思議な事があるの」
昨夜遅くにカールの別荘に戻り眠り直したヴェンデルガルトが、朝の食事をしている時にそう話し始めた。
「ラムブレヒト公爵とフロレンツィア様。それに愛人の花屋の方――色々な人が出てくるけれど、ラムブレヒト公爵の奥様――フロレンツィア様のお母様は、何処にいらっしゃるの?」
「ああ、ヴェンデルガルト様はご存じなかったのでしょうか?」
眠そうに目を擦りながら、パンを口にしたロルフがそれに答えた。
「レナータ様は、教会の支援をなさっていて屋敷には滞在されず、ずっと教会で生活されています。夫と娘と合わないって、ずっと口にされていたそうです。西側にある全能神のフロレンツ神の教会にいらっしゃいますよ」
それを聞いて、ヴェンデルガルトは少し考えこんだ。協会は、騎士たちも報告などで使っている。騎士がよく入る場所――ラファエルがビルギットに言った、意外な場所。
「朝食が終わったら、そこへ行きたいわ。一緒に行ける薔薇騎士団の方が居たら、出来たら一緒に。女の子たちが目覚めたら、すぐ戻るわ。少し、気になる事があるの」
「分かりました、俺も付き添います。一度城に行って、声をかけて向かいましょう」
ロルフがそう言うと、ヴェンデルガルトは少し緊張した顔で朝食を食べ終えた。
「レナータ様に会いに? それなら、私がご一緒しましょう」
城に行くと、ギルベルトがそう言った。イザークは証拠を探すのに忙しく、ランドルフとカールはフロレンツィアを探していた。ジークハルトは、ラムブレヒト公爵たちを城に滞在させて監視している。
「有難うございます。無駄足になったら申し訳ありません」
「いいのですよ、可愛いヴェンデル。ラムブレヒト公爵とあなたは――少し、因縁がありますから」
意外なギルベルトの言葉に、ヴェンデルガルトは不思議そうな顔になる。
「バルシュミーデ皇国を作ったのは、ゲープハルト・ハイノ・フンベルト・アインホルン辺境伯。彼が一番信頼していて、当時の王族……あなたの家族を処刑したのはラムブレヒト公爵家の先祖です」
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