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【父と息子】
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“冷蔵庫”を作って一週間が過ぎた。母の話だと、なんだか話題になっているらしい。現在の保存食は、塩漬けか干すかしかないからすごく重宝されていると思う。さて、ここ一週間の俺の行動と言えば、父が仕事に行く前に剣の鍛錬をして、その後、アルファードになり午前中は狩りに行く。13時くらいに戻り、ティナやナディアと魔法の鍛錬や買い物、15時くらいに冒険者ギルドに行って依頼の報告と素材の買取。18時には自宅に帰宅というスケジュールをこなす。その内、1日だけ師匠の所に行き魔法の鍛錬をした。本日は、父の休みの日。約束通り、森に一緒に出掛ける事になっている。俺は、自作のローブと剣を装備し、父が支度を終えるのを待っている。
「タカミ、お待たせ。さあ、行くか!」
父が現れる。プレートの鎧にシン兄ちゃんの親父さんが作った剣を携えている。妙に張り切っているなぁ。
「とー様、折角装備をしてから何なんですが、その鎧と剣をちょっと貸してください。」
俺は、父から鎧一式と剣を預かる。その場で、防御強化と異常耐性を付加し、剣には攻撃力強化を付加した。
「これで、かなり強化されたと思います。」
俺は、父に鎧一式と剣を返した。それを父は装備する。すると心なしか鎧が輝く。
「ほぉ!これはすごい!タカミはすごい魔術師になったんだな。俺も頑張らないと!」
父は、鎧や剣を見て感心している。
「それでは行きましょうか。」
俺はゲートを開き、いつもの狩場につなぐ。
「!?これは何だ?」
父は、ゲートに驚いている。
「これは、ゲートの魔法です。僕が行ったことがある所ならどこでも繋げます。一人なら転移で行っちゃうんですが。」
「そ、そうなのか…なんだか、俺の時とは随分勝手が違いから驚きだよ。」
普通はゲートなんか使わないからね。
「普通は歩いて行くんですが、この方が時間短縮になるので沢山鍛錬できます。では、参りましょう」
俺達はゲートを通っていつもの森に行く。ゲートを抜けると俺はナディアを呼んだ。
「ご主人、お呼びか?…どうして、そんなちんちくりんになっておる?」
ナディアは俺に話しかける。俺は、こそこそとナディアに話す。
「これが本当の俺なの。誰にも言わないでくれ。」
「まぁ、事情があるのだな、了解した。で、妾はなぜ呼ばれたのじゃ?」
「ああ。隣にいるのが俺の父で、その父の護衛をお願いします。」
父は、ナディアに見とれている。そりゃ、ボンキューボンの黒髪美人が目の前に現れればそんな反応になるわな。
父はコソコソと、
「この美人は誰なんだ?」
「うん。この子は、ナディア。聖獣の九尾の狐です。とー様の護衛に付けます。」
「せ、聖獣!?聖獣様を護衛だなんて何考えているんだ!」
「うーん、この子は僕の従属なんですが。この辺の魔物であれば、絶対に負けないので安心なんです。とー様に何かあったら、かー様にそれこそ外出禁止になっちゃいます。」
そんな感じで説明し、紹介をする。
「タ、タカミの父のサンバー・エドワードです。よろしくお願いします。」
「妾は、ご主人の第一従属である聖獣九尾の狐ナディアじゃ。そなたの安全は妾に任せよ。」
「は。ありがたき幸せでございます。」
父は、カチコチになりながらナディアと話す。まぁ、いいや、行こうか。
「では、早速行きますよ。」
俺はマップを映し出し、魔物を索敵する。今日も結構いるな。取敢えず、軽くビックボアでも狩りますか。
「とー様、あっちにビックボアがいます。行きますよ。」
「ビックボア!そんな魔物を狩るのか!?」
俺は、すたすた歩いていく。父はその後ろをついてくる。”あ、いた。”
「とー様、あそこにいます。行きますよ。」
俺は、魔法を唱える。
《アイススプラッシュ》
無数の氷の塊がビックボアに突き刺さる。
「ぴぎゃー!」
叫び声と共にビックボアは絶命する。それを空間収納にしまう。
「!?い、あ、あのビックボアを一撃!?それに死体が消えたけど、何をしたんだ?」
「はい。倒したので、獲物を空間収納にしまいました。さて、次行きましょう。」
森を奥に進んでいく。するとトレントの群生がいる。次は、こいつを倒そう。
「この奥に、トレントがいます。複数いるのでよろしくお願いします。ナディアはとー様の安全第一で」
《フィジックプロテクション》
俺は、ナディアと父に物理魔法防御をかける。まぁ、必要ないと思うけど。
「妾に任せておけ。」
俺達はトレントの群生に近づく。俺達に気付いたトレントが攻撃を仕掛けてくる。俺は、正面のトレント3体に向かってマジックミサイルを数発放つ。
《マジックミサイル》
父が苦戦している所をナディアがアサルトファイヤーで焼き払う。次から次へ出てくる。俺も、ファイヤボール、バルボルト(雷撃)、グラウンドプロトルージョン(地突起)で応戦する。こちらは、ほぼ一撃で倒し終わる。10数体倒しこの辺のトレントはいなくなる。俺は、倒したトレントを空間収納にいれる。さて、次行きますか。
「とー様、大丈夫ですか?休憩しますか?」
「はぁはぁ、ぜ、全然大丈夫だ!でも、少し、休むか。」
休憩することになった。
「トレントは固いですから。大丈夫でしたか?」
「おう、聖獣様に助けてもらいながらなんとか倒しているよ。しかし、タカミがこんなに出来るなんて知らなかったよ。」
「今、使っている魔法を街で使う訳いかないのでどうしても森に行かないと鍛錬できないんです。」
「なるほどな。でも、お前がやっている事は並の冒険者じゃ出来ないことだぞ。それをまぁ、あんなにあっさりと…」
「何を言っておる。妾の御主人じゃぞ!こんなのは小手調べ位にしかならんぞ。今の御主人ならドラゴンも一撃で屠れるわ。」
「な、そ、そんなにすごいのですか?」
「うむ。ご主人の魔力は半端ないのじゃ。安心されよ。」
「今日は、ちょっと新しい魔法を試そうと思っているので、広い所に行きます。あー、ワイルドウルフがいるな…まぁ、いっか。休憩が終わったら行きましょう!」
俺達は休憩を終え、ワイルドウルフの群れに近づく。途中で太めの木の枝を拾い創作で即席のアイスブレードを作る。
《創作 アイスブレード》
木の枝の端からブロードソードくらいの剣がで出来上がる。
「なんだ、今度は剣で戦うのか?」
「はい。ワイルドウルフの肉と皮は売れますから。奇麗に狩らないと。」
俺は、にこやかに答える。
「まったく、お前ってやつは。ワイルドウルフの群れはシルバークラスの冒険者でも危ないって言うのに…なんだか、余裕だな。」
「はい、いつも狩ってますから。あ、約20体来ます。行きますよ。」
俺達は、ワイルドウルフの群れに囲まれた。
「ぐるるるる…ぐぁー!」
ワイルドウルフが飛び掛かってくる。俺は、それを躱し、首を落とす。次々と飛び掛かってくるワイルドウルフを躱しながら首を落としていく。ナディアも父のフォローに入ってくれている。そのため、父は一体を相手する形で戦う。数分後、ワイルドウルフの群れを殲滅する。パキッと俺が持っているアイスソードを割る。そして、狩ったワイルドウルフを空間収納に収める。
「お、終わったのか?」
「はい。殲滅しました。もういませんよ。あ、この先の草原に行きましょう。お。いい獲物がいます。」
「な、今度は何がいるんだ?」
「ジャイアントファントですね。あのお肉は美味しいですよね。」
俺達は草原に向かう。ジャイアントファントが枝の葉を食べている。
「すみません。ちょっと、魔法の練習をしたいので、あれ、僕が狩っていいですか?」
「好きにしろ。まったく。普通ジャイアントファントなんて一人で狩れないぞ。」
父が呆れるように言い放つ。
「では、行きます。」
俺は、両手を広げ、指先に意識を集中させる。指2本ずつに魔力と術式を込めて各々違う魔法を連続て打ち付ける。
《ファイヤーボール》
《マジックミサイル》
《アイススプラッシュ》
《ウィンドカッター》
4重魔法である。指を振り抜き、魔力を放出する。するとターゲットに向かって各魔法が炸裂する。
“すががががん!!”
うーん、やっぱ、ちょっと威力が落ちるか。しかし、ジャイアントファントを仕留めるくらいの威力はあった。
「4重魔法じゃと!ご主人、やるな、妾は見たことないぞ!」
「うーん、でも、一発一発の威力も落ちるし、精度も落ちるな。やっぱ、4つ同時魔法は集中力が問題か。まぁ、練習してればその内、通常と変わらない威力になるかな?」
ナディアや父が昼食をとって休憩している間、俺は土魔法で大きなターゲットを作り、4重同時魔法の練習をする。
魔法の鍛錬をしていると、同じ属性の魔法であれば、威力、精度を落とさない事に気付いた。また、逆に相反する属性を組むと威力や精度がガクッと下がる。今日の所は、こんな感じかな。
「とー様、僕はそろそろ帰ろうと思いますが、まだ狩りしますか?」
「い、いや、もう充分だ。遅くならないうちに帰ろうか。」
「ナディア、ちょっと…」
「なんじゃ?」
「最初に言ったけど、俺の本当の正体は内緒で頼む。俺とナディアだけの秘密って事で!」
「おお!妾と二人っきりの秘密!それはいいの!!なんかエロいの!!あい分かった!必ず秘密は守ろうぞ!」
どこがエロイんだよ!まぁ、なんか、ナディアが嬉しそうなのが気になるが。
「それと、今日は、ティナの所に行けないことも伝えておいて。ティナの魔力操作の鍛錬よろしくね。」
「任せておけ。では、妾は戻るぞ。召喚を解除してくれ。」
「はいよ。」
俺は、ナディアの召喚を解除するとナディアは帰って行った。俺達も帰ろう。ゲートを自宅に繋ぎ帰宅する。
「ただいまー。」
「タカミ君、お父さん、おかえりなさい。大丈夫だった?」
「ふむ。サニー、タカミはもう立派な魔導士だったぞ。そりゃもう、俺の手が出せないほど…」
「そんな、今の自分があるのはとー様の剣の鍛錬のおかげです。見ていただけましたか?」
「見た見た。お前。俺がいる時、手を抜いてただろ。あの動きは、俺にも出来ねー。」
うぅ、薮蛇だった…
「まぁ、まだ子供なのにお前はすごいよ。ウォーレン大魔導士様の弟子なだけはある。立派な師匠の元で勉強出来てよかったな。」
「はい。ありがとうございます。今日の獲物どうしますか?解体しますか?」
「そうだな。庭で解体しようか。」
庭に行き、今日の獲物をだす。凄い量だ。
「全部出しますか?」
「とりあえず、解体しながら少しずつ出してくれ。」
父の所に数体のワイルドウルフを出す。俺は、数十体を魔法で一気に解体する。
トレントは、魔石をとり、巻きにして裏に置いておいた。凄い量だ。
「ジャイアントファントはどうしますか?魔法で解体しますか?」
「そうだな。まともにやったら2人じゃ手に負えない。頼めるか?」
「分かりました。解体します。」
俺は、ジャイアントファントを空間収納から出すと魔法で解体する。凄い量の皮と肉と骨、そして2本の牙、その他に分かれる。腸は奇麗にし、袋を作る材料にしようと思う。それ以外は燃やした。
「この量の肉。どうしますか?」
「そうだな。ご近所に配って余ったのは冒険者ギルドに買い取ってもらってくる。」
父は、巨大な肉をどんどん切り分けていく。
「タカミ、悪いが切り分けたこれらを凍らせてもらえないか?」
「分かりました。」
俺は、言われた通り肉を凍らせる。結構、切り分けたけど、それでもかなりの量が残った。
「俺は、ギルドで残りの肉を引き取ってもらってくるから、タカミは、この肉を武器屋の親父さんの所に持っていてやってくれ。」
「分かりりました。シン兄ちゃんのとこへ持って行けばいいなんだね。」
「そう。よろしくお頼んだよ。」
俺は、肉をもって武器屋に行く。
「こんにちわー。タカミですけども。」
「おう!エドワードさんのとこの倅だな。どうした?」
「はい、父に頼まれてお肉を持ってきました。これをどうぞ。」
俺は、結構な肉の塊(20kgくらい?)を親父さんに渡す。
「うわ!何だこりゃ!」
「ジャイアントファントの肉です。父と取ってきました。」
「何!あのジャイアントファントか!それは、ありがたい。って獲ってきた!?」
親父さんは、驚いている。何て説明すればいいかな…よし!馬鹿になろう!
「はい、とー様と、“エイ”、“ソリャー”“ばっばーーん”“って感じでやっつけました。」
「そ、そっか。た、大変だったな。ありがとうよ。お!そうだ!じゃあ、お礼にこれ持ってけ。」
そう言うと俺にお菓子をくれた。まぁ、子供のお使いだもんな。
「おう。そう言えばタカミ。お前食料の保管庫を作ったらしいな。何かすごくすごい物だってかみさんが言ってたぞ。どうだ!うちにも作ってくれないか?」
マジか…まぁ、そう言われるとは思っていたけど…どうしようかな。俺は、武器を見て回る。すると、気になる剣があった。俺はそれを手に取り、鞘から抜てみる。ミスリルで出来たすごくいい剣だ。ここの武器屋の親父さんの腕はいいと評判だけど、これはその中でも結構な出来のはず。父に上げたら喜ぶだろうな…
「おじさん。これと交換なら作る!」
親父さんは、ぎょっとしてる。
「おいおい。それはこの中でも最高の出来の奴なんだぞ…」
やっぱ、ダメか…
「でも、話を聞くとタカミの作った保管庫は、家が一軒建つくらい貴重な物だって言うじゃねえか。よし!俺も、職人だ!タカミが作った物を見て、これに見合うものなら交換してやらぁー!」
おぉ!!出た、この親父さんの職人魂。この気前の良さは“っぱねえ”。
「うん。分かった。じゃあ、炊事場に行っていい?」
「おう。俺も一緒に行くぞ!おーい。シン!ちょっと店番しろや!」
そう言ってシンを呼ぶ。
「んだよ。俺は忙しいんだよ!」
絶対嘘だ…
「いいからちょっと来い!」
シンがどたどたとやってくる。
「お!タカミ来てたのか!」
「うん。シン兄ちゃん、こんにちわー。これから食材の保管庫を作るんだ!」
「お!そっか!うちのカーちゃんが羨ましがってたもんな!俺も作るの見てていいか?」
「馬鹿野郎。お前は、店番だ!ちゃんと見てろよ!」
うーん、問答無用だな…
「えーー。俺も見たいよ。店閉めようぜ!」
「馬鹿なこと言ってんじゃね!とっとと店番してろ!ほら、タカミも行くぞ!」
「は、はい…」
勢いに押されて俺は親父さんと炊事場に行く。そこにはマルチダさんの姿がある。
「なんだい。まだ、ご飯の支度出来てないよ。出来たら呼ぶから仕事してな。」
「ったく。そんなんじゃねえんだよ。タカミが保管庫作ってくれるってよ!」
「え!それは本当かい!サニーに見せてもらたけど、あれはすごいもんだね。何でも、タカミしか作れない魔道具なんだろ!」
マルチダさんは興奮気味だ。やっぱ、冷蔵庫は主婦の味方なんだな。
「どうなんですかね…、でも、今まで出来てないってことは出来ないのかな?とりあえず作りますね。」
俺は、木材、ワイルドウルフの毛皮、ガラスの原料、アルミ等、材料を出す。まぁ、作り方は家で作ったのと同様だ。親父さんは職人気質が強いからなるべく精密に作る。創作から出来るのでそんなに変わらないと思うけど。
“冷蔵庫”が完成し、使い方の説明をする。
「下の箱には、凍らせて保存したい物を入れてください。扉を閉めると凍ります。上の段は、良く使うものを入れてください。冷やすことで保存できますが、長い事置きっぱなしにすると腐ります。気を付けてくださいね。あ、後、魔石の魔力が無くなりそうになったら補充お願いします。」
親父さんは、マジマジ見てる。開けたり閉めたり、冷凍庫になんか入れてみたり。そして
「おお!タカミ、これは本当にすごいぞ!!こんなの見たことねぇ。こりゃ、家一軒建つって本当だわ!」
どうやら親父さんのお眼鏡に叶ったようだ。
「よし、約束だ!お前の傑作と俺の傑作交換してやる!」
「な!またアンタは余計な約束したのかい!まったく。でも、まぁ、今回は聞かなかった事にするわ。」
「あ、あと、マルチダさん。これの事あまり周りに言わないでください。僕、大変になるから」
「わかってるよ。タカミありがとね!」
マルチダさんも大喜びだ。俺は剣を受け取り、武器屋を後にした。シンがぶー垂れていたのは言うまでもない。
「ただいまー。」
「あら、タカミ君遅かったのね。」
「うん。シン兄ちゃんの所で“冷蔵庫”作ってきた。」
「あらあら、マルチダさんにも作ってあげたのね。偉いわね。」
「かー様。あまり皆に言うと皆に作らなきゃいけなくなるからあまり周りに言わないで欲しい。」
「だってー、タカミ君の優秀なところ自慢したくなっちゃうんだもん」
てへぺろって、まぁ、かーさんだからいいか。俺は、ミスリルの剣に攻撃力上昇とヒールの能力を付加し、魔石を取り付ける。それを隠ぺいして鞘に戻す。
しばらくすると父が帰ってきた。
「ただいま。いや、参ったよ。」
なんか、ちょっと疲れ気味だ。
「冒険者ギルドに肉を引き取ってもらおうっと思って塊を持って行ったら、受付のねーちゃんに根掘り葉掘り聞かれてな。まぁ、こんな量の肉だから嘘じゃないのは分かったらしいけど、大変だったよ。」
でも、結構な金額で売れたらしい。まぁ、リアカーに一杯だったもんな。
「今日一日で俺の給与数か月分だから参っちゃうよ…」
「まぁまぁ、それは良かったじゃない。剣や鎧が新丁出来るじゃない。さあ、ご飯にしましょう。皆お腹すいたでしょ?」
母は、食事の支度を終え、父と俺を呼ぶ。食事をしながら話が弾む?
「いやいや、それはそれで、タカミがこの鎧と剣に魔法を付与してくれただろ。それがダンジョンで見つかるレア級の鎧と同じなんだ。ギルドで驚かれたよ。買った時は普通のプレートメールと鋼の剣だったのにな。なんか、俺達の想像の遥か上をいってるんだよな。」
「あら、喜ばしい事じゃないですか。我が子が立派になるのは」
母は微笑みながら父と話している。父は複雑な表情だ。
「そうなんだけどな。サニーは見てないから言えるんだぜ。ワイルドウルフの群れをほぼ一人で殲滅しちまったし。その後のジャイアントファントもそう。同時に魔法を何発も打って倒しちゃうんだからな。普通、ジャイアントファントなんてゴールドランクの冒険者でも一人じゃ勝てるような魔物じゃないんだぜ。全く父の威厳丸つぶれだよ。挙句の果てには聖獣様を従者にしてるし…」
「えー。聖獣様に会ったの?それはすごく羨ましいわ!」
ん?聖獣ってそんなに珍しいのか?
「聖獣ってそんなにすごいの?」
「すごいも何も、物語にも出てくるのよ。タカミ君が小さい頃、お話し聞かせたでしょ?」
いや、覚えてない。ってゆうか、今も十分小さいんだけど、俺…
「かー様も会ってみたいの?」
「会ってみたいわね。どんな感じなのかしら」
母は目を輝かせてる。まぁ、確かに見た目はいいし、超セクシーだけど。でも、なんか、良く分かんないけど、ちょっと残念な感じなんだよな。まぁ、かー様が会いたいなら今度呼んでやるか。
「それはそうと、じゃあ、タカミ君一人で森に行っても大丈夫なのかしら?」
「大丈夫なんてもんじゃないよ。もう、庭の様だったよ。それに確かに、タカミの言う通り、街中で使っていい魔法じゃないな。ありゃ。」
父は、ふぅっとため息をついた。やりすぎたかな?でも、おかげで、一人で街の外に出ても怒られないかな。とーさん、ごめんな…
「でも、タカミ君も立派になって、食卓にこんなに沢山お肉が出せて、食材の保管も出来るようになったからすごくいいじゃないの。もう、頼りになる息子になったのねぇ。」
母は嬉しそうだ。食事も終わり、父は疲れたのかさっさと寝てしまった。俺も風呂に入って寝ようかな。そうこうしていると母から声がかかる。
「タカミ君お風呂どうするの?」
「うん。これからすぐ入って寝ようと思ってる。」
「じゃあ、たまには、お母さんと一緒にはいりましょ。」
!?ビックリなご提案ですな。母と言ってもまだ20代後半だし、何気に奇麗でかわいいんだよな。嬉しいけど。
「えー。いいの?」
「なんでダメなのよ。いつもお父さんとばっかり入っているんだからたまにはお母さんとも入りましょうよ。」
「うん。分かった。」
俺、中身おっさんだからそのお誘いはとても嬉しいです。はい。母は、すでに脱衣所で服を脱いでいた。俺も急いで脱衣所に行き服を脱ぐ。何か、ソー〇ラ〇ドで入浴するようなドキドキ感がある。お湯を浴び、先に湯船に入る。母は先に髪を洗ってる。
“興奮はしないけど、すげー目の保養だ!全記憶発動だ!”
俺は嬉しさのあまり鼻歌を歌う。
「あら、タカミ君ご機嫌ね。」
俺を見てほほ笑む。そりゃ、ご機嫌になるでしょ。なんか、つい見てしまう。
「あら、じっと見てどうしたの?」
「ううん。かー様の背中を流したいなって思ってて。」
「あら可愛い。じゃあ、お願いしようかな。」
マジっすか!!俺は、浴槽からでて母の背中を洗う。なんか、こういうのもいいな。たまにおっ〇いなんか触っちゃったりして。ある程度洗ったら、タオルを渡し、“残りの部分”を自分で洗ってもらう。
「はい。では流しますね。」
ちょっと、いい所を見せたくなった俺は、わざわざ魔法を使う。褒められたいからね。
《ホットウォーター》
手から、お湯がドボドボ出る。
「熱くない?」
「大丈夫よ。あら、すごいわね。これも魔法?」
「うん。生活魔法って言うんだ。」
母を奇麗に流すと今度は
「じゃあ、お返しにお母さんが洗ってあげる。」
母は俺を前に座らせて、頭を洗ってくれる。む、胸が当たる。洗い終わると、今度は身体を洗ってくれる。
「少しの間、一緒にお風呂に入らないうちに立派になったのね。」
勿論、ち〇この事では無い。母はそう言いながら俺の身体を洗ってくれた。もう、最高です!いいご褒美頂きました!
「はい。おしまい。お風呂に入りましょ」
俺と母は一緒に湯船に入る。すると、
「お父さん、ちょっぴり寂しそうだったね。でも、ほんとはタカミ君が立派になってくれてとっても嬉しいんだよ。」
母は俺を後ろから抱きしめ話を続ける。
「きっと自分が思ってた以上にタカミ君が立派になってて戸惑ってるんだよ。男の人はそう言うのがあるんでしょ?」
「僕は、とー様をとても尊敬しています。僕がこうしてちゃんとしていられるのも、とー様とかー様のお蔭です。」
母は微笑みながら
「タカミ君には立派な賢者様になってほしいと思っているよ。でもね、前にも言った通り、無茶はして欲しくないんだ。タカミ君はお父さんとお母さんの大切な大切な子供なんだから。」
「うん。分かってる。僕は、師匠やとー様みたいに強く、かー様の様に優しい人になりたいと思っています。でも、僕は今できることを全力でやりたい。例え賢者になれなかったとしても後悔はしたくないから」
「うん。お母さんもタカミ君を応援しているよ。森に行ってもいいけど、決して危ない事はしないでね。それと森に一緒に行ってるお友達のご両親は森に行くことをちゃんと了承しているの?」
「あのね。その子は、両親がいないんだ。」
ティナの事を母に話した。ティナがひどい目にあっていたこと、父親に虐待されていたこと、一人で暮らしていること…
「まぁ、なんて可哀そうな…タカミ君、今度連れてらっしゃい。皆でご飯食べましょうね。」
「はい。かー様。ありがとうございます。あと、図々しい話ですが、お弁当を3つにしてもらえませんか?」
「一緒に行く子、もう一人増えたの?」
「増えたというか、九尾の分なんです。」
「聖獣様の分!?普通のお弁当でいいの?」
「全然問題ないです。2個しかないと拗ねるんです。お願いできませんか?」
「そうね。じゃあ、3つ作っておくわね。」
「かー様!ありがとうございます。」
俺達は、少し温まってお風呂を出た。湯上りの母が俺に投げかける笑顔を見ると本当に愛されているんだなっと実感する。そんな気持ちに触れながら俺は夢の中に落ちていく。そしていつもの日常が始まる。
「タカミ、お待たせ。さあ、行くか!」
父が現れる。プレートの鎧にシン兄ちゃんの親父さんが作った剣を携えている。妙に張り切っているなぁ。
「とー様、折角装備をしてから何なんですが、その鎧と剣をちょっと貸してください。」
俺は、父から鎧一式と剣を預かる。その場で、防御強化と異常耐性を付加し、剣には攻撃力強化を付加した。
「これで、かなり強化されたと思います。」
俺は、父に鎧一式と剣を返した。それを父は装備する。すると心なしか鎧が輝く。
「ほぉ!これはすごい!タカミはすごい魔術師になったんだな。俺も頑張らないと!」
父は、鎧や剣を見て感心している。
「それでは行きましょうか。」
俺はゲートを開き、いつもの狩場につなぐ。
「!?これは何だ?」
父は、ゲートに驚いている。
「これは、ゲートの魔法です。僕が行ったことがある所ならどこでも繋げます。一人なら転移で行っちゃうんですが。」
「そ、そうなのか…なんだか、俺の時とは随分勝手が違いから驚きだよ。」
普通はゲートなんか使わないからね。
「普通は歩いて行くんですが、この方が時間短縮になるので沢山鍛錬できます。では、参りましょう」
俺達はゲートを通っていつもの森に行く。ゲートを抜けると俺はナディアを呼んだ。
「ご主人、お呼びか?…どうして、そんなちんちくりんになっておる?」
ナディアは俺に話しかける。俺は、こそこそとナディアに話す。
「これが本当の俺なの。誰にも言わないでくれ。」
「まぁ、事情があるのだな、了解した。で、妾はなぜ呼ばれたのじゃ?」
「ああ。隣にいるのが俺の父で、その父の護衛をお願いします。」
父は、ナディアに見とれている。そりゃ、ボンキューボンの黒髪美人が目の前に現れればそんな反応になるわな。
父はコソコソと、
「この美人は誰なんだ?」
「うん。この子は、ナディア。聖獣の九尾の狐です。とー様の護衛に付けます。」
「せ、聖獣!?聖獣様を護衛だなんて何考えているんだ!」
「うーん、この子は僕の従属なんですが。この辺の魔物であれば、絶対に負けないので安心なんです。とー様に何かあったら、かー様にそれこそ外出禁止になっちゃいます。」
そんな感じで説明し、紹介をする。
「タ、タカミの父のサンバー・エドワードです。よろしくお願いします。」
「妾は、ご主人の第一従属である聖獣九尾の狐ナディアじゃ。そなたの安全は妾に任せよ。」
「は。ありがたき幸せでございます。」
父は、カチコチになりながらナディアと話す。まぁ、いいや、行こうか。
「では、早速行きますよ。」
俺はマップを映し出し、魔物を索敵する。今日も結構いるな。取敢えず、軽くビックボアでも狩りますか。
「とー様、あっちにビックボアがいます。行きますよ。」
「ビックボア!そんな魔物を狩るのか!?」
俺は、すたすた歩いていく。父はその後ろをついてくる。”あ、いた。”
「とー様、あそこにいます。行きますよ。」
俺は、魔法を唱える。
《アイススプラッシュ》
無数の氷の塊がビックボアに突き刺さる。
「ぴぎゃー!」
叫び声と共にビックボアは絶命する。それを空間収納にしまう。
「!?い、あ、あのビックボアを一撃!?それに死体が消えたけど、何をしたんだ?」
「はい。倒したので、獲物を空間収納にしまいました。さて、次行きましょう。」
森を奥に進んでいく。するとトレントの群生がいる。次は、こいつを倒そう。
「この奥に、トレントがいます。複数いるのでよろしくお願いします。ナディアはとー様の安全第一で」
《フィジックプロテクション》
俺は、ナディアと父に物理魔法防御をかける。まぁ、必要ないと思うけど。
「妾に任せておけ。」
俺達はトレントの群生に近づく。俺達に気付いたトレントが攻撃を仕掛けてくる。俺は、正面のトレント3体に向かってマジックミサイルを数発放つ。
《マジックミサイル》
父が苦戦している所をナディアがアサルトファイヤーで焼き払う。次から次へ出てくる。俺も、ファイヤボール、バルボルト(雷撃)、グラウンドプロトルージョン(地突起)で応戦する。こちらは、ほぼ一撃で倒し終わる。10数体倒しこの辺のトレントはいなくなる。俺は、倒したトレントを空間収納にいれる。さて、次行きますか。
「とー様、大丈夫ですか?休憩しますか?」
「はぁはぁ、ぜ、全然大丈夫だ!でも、少し、休むか。」
休憩することになった。
「トレントは固いですから。大丈夫でしたか?」
「おう、聖獣様に助けてもらいながらなんとか倒しているよ。しかし、タカミがこんなに出来るなんて知らなかったよ。」
「今、使っている魔法を街で使う訳いかないのでどうしても森に行かないと鍛錬できないんです。」
「なるほどな。でも、お前がやっている事は並の冒険者じゃ出来ないことだぞ。それをまぁ、あんなにあっさりと…」
「何を言っておる。妾の御主人じゃぞ!こんなのは小手調べ位にしかならんぞ。今の御主人ならドラゴンも一撃で屠れるわ。」
「な、そ、そんなにすごいのですか?」
「うむ。ご主人の魔力は半端ないのじゃ。安心されよ。」
「今日は、ちょっと新しい魔法を試そうと思っているので、広い所に行きます。あー、ワイルドウルフがいるな…まぁ、いっか。休憩が終わったら行きましょう!」
俺達は休憩を終え、ワイルドウルフの群れに近づく。途中で太めの木の枝を拾い創作で即席のアイスブレードを作る。
《創作 アイスブレード》
木の枝の端からブロードソードくらいの剣がで出来上がる。
「なんだ、今度は剣で戦うのか?」
「はい。ワイルドウルフの肉と皮は売れますから。奇麗に狩らないと。」
俺は、にこやかに答える。
「まったく、お前ってやつは。ワイルドウルフの群れはシルバークラスの冒険者でも危ないって言うのに…なんだか、余裕だな。」
「はい、いつも狩ってますから。あ、約20体来ます。行きますよ。」
俺達は、ワイルドウルフの群れに囲まれた。
「ぐるるるる…ぐぁー!」
ワイルドウルフが飛び掛かってくる。俺は、それを躱し、首を落とす。次々と飛び掛かってくるワイルドウルフを躱しながら首を落としていく。ナディアも父のフォローに入ってくれている。そのため、父は一体を相手する形で戦う。数分後、ワイルドウルフの群れを殲滅する。パキッと俺が持っているアイスソードを割る。そして、狩ったワイルドウルフを空間収納に収める。
「お、終わったのか?」
「はい。殲滅しました。もういませんよ。あ、この先の草原に行きましょう。お。いい獲物がいます。」
「な、今度は何がいるんだ?」
「ジャイアントファントですね。あのお肉は美味しいですよね。」
俺達は草原に向かう。ジャイアントファントが枝の葉を食べている。
「すみません。ちょっと、魔法の練習をしたいので、あれ、僕が狩っていいですか?」
「好きにしろ。まったく。普通ジャイアントファントなんて一人で狩れないぞ。」
父が呆れるように言い放つ。
「では、行きます。」
俺は、両手を広げ、指先に意識を集中させる。指2本ずつに魔力と術式を込めて各々違う魔法を連続て打ち付ける。
《ファイヤーボール》
《マジックミサイル》
《アイススプラッシュ》
《ウィンドカッター》
4重魔法である。指を振り抜き、魔力を放出する。するとターゲットに向かって各魔法が炸裂する。
“すががががん!!”
うーん、やっぱ、ちょっと威力が落ちるか。しかし、ジャイアントファントを仕留めるくらいの威力はあった。
「4重魔法じゃと!ご主人、やるな、妾は見たことないぞ!」
「うーん、でも、一発一発の威力も落ちるし、精度も落ちるな。やっぱ、4つ同時魔法は集中力が問題か。まぁ、練習してればその内、通常と変わらない威力になるかな?」
ナディアや父が昼食をとって休憩している間、俺は土魔法で大きなターゲットを作り、4重同時魔法の練習をする。
魔法の鍛錬をしていると、同じ属性の魔法であれば、威力、精度を落とさない事に気付いた。また、逆に相反する属性を組むと威力や精度がガクッと下がる。今日の所は、こんな感じかな。
「とー様、僕はそろそろ帰ろうと思いますが、まだ狩りしますか?」
「い、いや、もう充分だ。遅くならないうちに帰ろうか。」
「ナディア、ちょっと…」
「なんじゃ?」
「最初に言ったけど、俺の本当の正体は内緒で頼む。俺とナディアだけの秘密って事で!」
「おお!妾と二人っきりの秘密!それはいいの!!なんかエロいの!!あい分かった!必ず秘密は守ろうぞ!」
どこがエロイんだよ!まぁ、なんか、ナディアが嬉しそうなのが気になるが。
「それと、今日は、ティナの所に行けないことも伝えておいて。ティナの魔力操作の鍛錬よろしくね。」
「任せておけ。では、妾は戻るぞ。召喚を解除してくれ。」
「はいよ。」
俺は、ナディアの召喚を解除するとナディアは帰って行った。俺達も帰ろう。ゲートを自宅に繋ぎ帰宅する。
「ただいまー。」
「タカミ君、お父さん、おかえりなさい。大丈夫だった?」
「ふむ。サニー、タカミはもう立派な魔導士だったぞ。そりゃもう、俺の手が出せないほど…」
「そんな、今の自分があるのはとー様の剣の鍛錬のおかげです。見ていただけましたか?」
「見た見た。お前。俺がいる時、手を抜いてただろ。あの動きは、俺にも出来ねー。」
うぅ、薮蛇だった…
「まぁ、まだ子供なのにお前はすごいよ。ウォーレン大魔導士様の弟子なだけはある。立派な師匠の元で勉強出来てよかったな。」
「はい。ありがとうございます。今日の獲物どうしますか?解体しますか?」
「そうだな。庭で解体しようか。」
庭に行き、今日の獲物をだす。凄い量だ。
「全部出しますか?」
「とりあえず、解体しながら少しずつ出してくれ。」
父の所に数体のワイルドウルフを出す。俺は、数十体を魔法で一気に解体する。
トレントは、魔石をとり、巻きにして裏に置いておいた。凄い量だ。
「ジャイアントファントはどうしますか?魔法で解体しますか?」
「そうだな。まともにやったら2人じゃ手に負えない。頼めるか?」
「分かりました。解体します。」
俺は、ジャイアントファントを空間収納から出すと魔法で解体する。凄い量の皮と肉と骨、そして2本の牙、その他に分かれる。腸は奇麗にし、袋を作る材料にしようと思う。それ以外は燃やした。
「この量の肉。どうしますか?」
「そうだな。ご近所に配って余ったのは冒険者ギルドに買い取ってもらってくる。」
父は、巨大な肉をどんどん切り分けていく。
「タカミ、悪いが切り分けたこれらを凍らせてもらえないか?」
「分かりました。」
俺は、言われた通り肉を凍らせる。結構、切り分けたけど、それでもかなりの量が残った。
「俺は、ギルドで残りの肉を引き取ってもらってくるから、タカミは、この肉を武器屋の親父さんの所に持っていてやってくれ。」
「分かりりました。シン兄ちゃんのとこへ持って行けばいいなんだね。」
「そう。よろしくお頼んだよ。」
俺は、肉をもって武器屋に行く。
「こんにちわー。タカミですけども。」
「おう!エドワードさんのとこの倅だな。どうした?」
「はい、父に頼まれてお肉を持ってきました。これをどうぞ。」
俺は、結構な肉の塊(20kgくらい?)を親父さんに渡す。
「うわ!何だこりゃ!」
「ジャイアントファントの肉です。父と取ってきました。」
「何!あのジャイアントファントか!それは、ありがたい。って獲ってきた!?」
親父さんは、驚いている。何て説明すればいいかな…よし!馬鹿になろう!
「はい、とー様と、“エイ”、“ソリャー”“ばっばーーん”“って感じでやっつけました。」
「そ、そっか。た、大変だったな。ありがとうよ。お!そうだ!じゃあ、お礼にこれ持ってけ。」
そう言うと俺にお菓子をくれた。まぁ、子供のお使いだもんな。
「おう。そう言えばタカミ。お前食料の保管庫を作ったらしいな。何かすごくすごい物だってかみさんが言ってたぞ。どうだ!うちにも作ってくれないか?」
マジか…まぁ、そう言われるとは思っていたけど…どうしようかな。俺は、武器を見て回る。すると、気になる剣があった。俺はそれを手に取り、鞘から抜てみる。ミスリルで出来たすごくいい剣だ。ここの武器屋の親父さんの腕はいいと評判だけど、これはその中でも結構な出来のはず。父に上げたら喜ぶだろうな…
「おじさん。これと交換なら作る!」
親父さんは、ぎょっとしてる。
「おいおい。それはこの中でも最高の出来の奴なんだぞ…」
やっぱ、ダメか…
「でも、話を聞くとタカミの作った保管庫は、家が一軒建つくらい貴重な物だって言うじゃねえか。よし!俺も、職人だ!タカミが作った物を見て、これに見合うものなら交換してやらぁー!」
おぉ!!出た、この親父さんの職人魂。この気前の良さは“っぱねえ”。
「うん。分かった。じゃあ、炊事場に行っていい?」
「おう。俺も一緒に行くぞ!おーい。シン!ちょっと店番しろや!」
そう言ってシンを呼ぶ。
「んだよ。俺は忙しいんだよ!」
絶対嘘だ…
「いいからちょっと来い!」
シンがどたどたとやってくる。
「お!タカミ来てたのか!」
「うん。シン兄ちゃん、こんにちわー。これから食材の保管庫を作るんだ!」
「お!そっか!うちのカーちゃんが羨ましがってたもんな!俺も作るの見てていいか?」
「馬鹿野郎。お前は、店番だ!ちゃんと見てろよ!」
うーん、問答無用だな…
「えーー。俺も見たいよ。店閉めようぜ!」
「馬鹿なこと言ってんじゃね!とっとと店番してろ!ほら、タカミも行くぞ!」
「は、はい…」
勢いに押されて俺は親父さんと炊事場に行く。そこにはマルチダさんの姿がある。
「なんだい。まだ、ご飯の支度出来てないよ。出来たら呼ぶから仕事してな。」
「ったく。そんなんじゃねえんだよ。タカミが保管庫作ってくれるってよ!」
「え!それは本当かい!サニーに見せてもらたけど、あれはすごいもんだね。何でも、タカミしか作れない魔道具なんだろ!」
マルチダさんは興奮気味だ。やっぱ、冷蔵庫は主婦の味方なんだな。
「どうなんですかね…、でも、今まで出来てないってことは出来ないのかな?とりあえず作りますね。」
俺は、木材、ワイルドウルフの毛皮、ガラスの原料、アルミ等、材料を出す。まぁ、作り方は家で作ったのと同様だ。親父さんは職人気質が強いからなるべく精密に作る。創作から出来るのでそんなに変わらないと思うけど。
“冷蔵庫”が完成し、使い方の説明をする。
「下の箱には、凍らせて保存したい物を入れてください。扉を閉めると凍ります。上の段は、良く使うものを入れてください。冷やすことで保存できますが、長い事置きっぱなしにすると腐ります。気を付けてくださいね。あ、後、魔石の魔力が無くなりそうになったら補充お願いします。」
親父さんは、マジマジ見てる。開けたり閉めたり、冷凍庫になんか入れてみたり。そして
「おお!タカミ、これは本当にすごいぞ!!こんなの見たことねぇ。こりゃ、家一軒建つって本当だわ!」
どうやら親父さんのお眼鏡に叶ったようだ。
「よし、約束だ!お前の傑作と俺の傑作交換してやる!」
「な!またアンタは余計な約束したのかい!まったく。でも、まぁ、今回は聞かなかった事にするわ。」
「あ、あと、マルチダさん。これの事あまり周りに言わないでください。僕、大変になるから」
「わかってるよ。タカミありがとね!」
マルチダさんも大喜びだ。俺は剣を受け取り、武器屋を後にした。シンがぶー垂れていたのは言うまでもない。
「ただいまー。」
「あら、タカミ君遅かったのね。」
「うん。シン兄ちゃんの所で“冷蔵庫”作ってきた。」
「あらあら、マルチダさんにも作ってあげたのね。偉いわね。」
「かー様。あまり皆に言うと皆に作らなきゃいけなくなるからあまり周りに言わないで欲しい。」
「だってー、タカミ君の優秀なところ自慢したくなっちゃうんだもん」
てへぺろって、まぁ、かーさんだからいいか。俺は、ミスリルの剣に攻撃力上昇とヒールの能力を付加し、魔石を取り付ける。それを隠ぺいして鞘に戻す。
しばらくすると父が帰ってきた。
「ただいま。いや、参ったよ。」
なんか、ちょっと疲れ気味だ。
「冒険者ギルドに肉を引き取ってもらおうっと思って塊を持って行ったら、受付のねーちゃんに根掘り葉掘り聞かれてな。まぁ、こんな量の肉だから嘘じゃないのは分かったらしいけど、大変だったよ。」
でも、結構な金額で売れたらしい。まぁ、リアカーに一杯だったもんな。
「今日一日で俺の給与数か月分だから参っちゃうよ…」
「まぁまぁ、それは良かったじゃない。剣や鎧が新丁出来るじゃない。さあ、ご飯にしましょう。皆お腹すいたでしょ?」
母は、食事の支度を終え、父と俺を呼ぶ。食事をしながら話が弾む?
「いやいや、それはそれで、タカミがこの鎧と剣に魔法を付与してくれただろ。それがダンジョンで見つかるレア級の鎧と同じなんだ。ギルドで驚かれたよ。買った時は普通のプレートメールと鋼の剣だったのにな。なんか、俺達の想像の遥か上をいってるんだよな。」
「あら、喜ばしい事じゃないですか。我が子が立派になるのは」
母は微笑みながら父と話している。父は複雑な表情だ。
「そうなんだけどな。サニーは見てないから言えるんだぜ。ワイルドウルフの群れをほぼ一人で殲滅しちまったし。その後のジャイアントファントもそう。同時に魔法を何発も打って倒しちゃうんだからな。普通、ジャイアントファントなんてゴールドランクの冒険者でも一人じゃ勝てるような魔物じゃないんだぜ。全く父の威厳丸つぶれだよ。挙句の果てには聖獣様を従者にしてるし…」
「えー。聖獣様に会ったの?それはすごく羨ましいわ!」
ん?聖獣ってそんなに珍しいのか?
「聖獣ってそんなにすごいの?」
「すごいも何も、物語にも出てくるのよ。タカミ君が小さい頃、お話し聞かせたでしょ?」
いや、覚えてない。ってゆうか、今も十分小さいんだけど、俺…
「かー様も会ってみたいの?」
「会ってみたいわね。どんな感じなのかしら」
母は目を輝かせてる。まぁ、確かに見た目はいいし、超セクシーだけど。でも、なんか、良く分かんないけど、ちょっと残念な感じなんだよな。まぁ、かー様が会いたいなら今度呼んでやるか。
「それはそうと、じゃあ、タカミ君一人で森に行っても大丈夫なのかしら?」
「大丈夫なんてもんじゃないよ。もう、庭の様だったよ。それに確かに、タカミの言う通り、街中で使っていい魔法じゃないな。ありゃ。」
父は、ふぅっとため息をついた。やりすぎたかな?でも、おかげで、一人で街の外に出ても怒られないかな。とーさん、ごめんな…
「でも、タカミ君も立派になって、食卓にこんなに沢山お肉が出せて、食材の保管も出来るようになったからすごくいいじゃないの。もう、頼りになる息子になったのねぇ。」
母は嬉しそうだ。食事も終わり、父は疲れたのかさっさと寝てしまった。俺も風呂に入って寝ようかな。そうこうしていると母から声がかかる。
「タカミ君お風呂どうするの?」
「うん。これからすぐ入って寝ようと思ってる。」
「じゃあ、たまには、お母さんと一緒にはいりましょ。」
!?ビックリなご提案ですな。母と言ってもまだ20代後半だし、何気に奇麗でかわいいんだよな。嬉しいけど。
「えー。いいの?」
「なんでダメなのよ。いつもお父さんとばっかり入っているんだからたまにはお母さんとも入りましょうよ。」
「うん。分かった。」
俺、中身おっさんだからそのお誘いはとても嬉しいです。はい。母は、すでに脱衣所で服を脱いでいた。俺も急いで脱衣所に行き服を脱ぐ。何か、ソー〇ラ〇ドで入浴するようなドキドキ感がある。お湯を浴び、先に湯船に入る。母は先に髪を洗ってる。
“興奮はしないけど、すげー目の保養だ!全記憶発動だ!”
俺は嬉しさのあまり鼻歌を歌う。
「あら、タカミ君ご機嫌ね。」
俺を見てほほ笑む。そりゃ、ご機嫌になるでしょ。なんか、つい見てしまう。
「あら、じっと見てどうしたの?」
「ううん。かー様の背中を流したいなって思ってて。」
「あら可愛い。じゃあ、お願いしようかな。」
マジっすか!!俺は、浴槽からでて母の背中を洗う。なんか、こういうのもいいな。たまにおっ〇いなんか触っちゃったりして。ある程度洗ったら、タオルを渡し、“残りの部分”を自分で洗ってもらう。
「はい。では流しますね。」
ちょっと、いい所を見せたくなった俺は、わざわざ魔法を使う。褒められたいからね。
《ホットウォーター》
手から、お湯がドボドボ出る。
「熱くない?」
「大丈夫よ。あら、すごいわね。これも魔法?」
「うん。生活魔法って言うんだ。」
母を奇麗に流すと今度は
「じゃあ、お返しにお母さんが洗ってあげる。」
母は俺を前に座らせて、頭を洗ってくれる。む、胸が当たる。洗い終わると、今度は身体を洗ってくれる。
「少しの間、一緒にお風呂に入らないうちに立派になったのね。」
勿論、ち〇この事では無い。母はそう言いながら俺の身体を洗ってくれた。もう、最高です!いいご褒美頂きました!
「はい。おしまい。お風呂に入りましょ」
俺と母は一緒に湯船に入る。すると、
「お父さん、ちょっぴり寂しそうだったね。でも、ほんとはタカミ君が立派になってくれてとっても嬉しいんだよ。」
母は俺を後ろから抱きしめ話を続ける。
「きっと自分が思ってた以上にタカミ君が立派になってて戸惑ってるんだよ。男の人はそう言うのがあるんでしょ?」
「僕は、とー様をとても尊敬しています。僕がこうしてちゃんとしていられるのも、とー様とかー様のお蔭です。」
母は微笑みながら
「タカミ君には立派な賢者様になってほしいと思っているよ。でもね、前にも言った通り、無茶はして欲しくないんだ。タカミ君はお父さんとお母さんの大切な大切な子供なんだから。」
「うん。分かってる。僕は、師匠やとー様みたいに強く、かー様の様に優しい人になりたいと思っています。でも、僕は今できることを全力でやりたい。例え賢者になれなかったとしても後悔はしたくないから」
「うん。お母さんもタカミ君を応援しているよ。森に行ってもいいけど、決して危ない事はしないでね。それと森に一緒に行ってるお友達のご両親は森に行くことをちゃんと了承しているの?」
「あのね。その子は、両親がいないんだ。」
ティナの事を母に話した。ティナがひどい目にあっていたこと、父親に虐待されていたこと、一人で暮らしていること…
「まぁ、なんて可哀そうな…タカミ君、今度連れてらっしゃい。皆でご飯食べましょうね。」
「はい。かー様。ありがとうございます。あと、図々しい話ですが、お弁当を3つにしてもらえませんか?」
「一緒に行く子、もう一人増えたの?」
「増えたというか、九尾の分なんです。」
「聖獣様の分!?普通のお弁当でいいの?」
「全然問題ないです。2個しかないと拗ねるんです。お願いできませんか?」
「そうね。じゃあ、3つ作っておくわね。」
「かー様!ありがとうございます。」
俺達は、少し温まってお風呂を出た。湯上りの母が俺に投げかける笑顔を見ると本当に愛されているんだなっと実感する。そんな気持ちに触れながら俺は夢の中に落ちていく。そしていつもの日常が始まる。
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