元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ

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【孤児院の惨状】

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 俺達は、プロウラーの後に続き孤児院に向かう。孤児院は、街の中心から少し行き、路地裏の様な所に入る。路地裏から部落の様な家が立ち並ぶ貧民街を抜け、少し丘を上がった所にあった。貧民街は、決して裕福ではないだろうがそこそこ活気があり、そこに住む人達は一生懸命生きている様な感じがした。俺達は、孤児院に入る。孤児院には部屋がいくつもあり、その中に約20人前後の子供達が暮らしているという。プロウラーが帰ってくると奥から50代後半くらいの女性が現れた。

「プロウラー、お帰り。あら、お客さん?」

「うん。今日、この街に初めて来た冒険者の方達で、この街の事を色々教えて欲しいって言われたんだ。その時に、ここの事を話したら、来てみたいって言うので案内した」

「初めまして。私は、冒険者のアルファード、こっちの子がティナ、こちらがナディアと言います。」

「初めまして。ティナと言います。」

「お初じゃ。ナディアと言う。よろしくの。」

 俺達は自己紹介をする。

「わざわざご丁寧にありがとうございます。私は、ここで院長をしているウィリスです。もう一人私の手伝いをしてくれている娘がいるのですが生憎買い物に出かけています。後程、ご紹介させていただきますね。何もございませんが、こちらにどうぞ」

ウィリスは俺達に挨拶をすると奥のリビングに案内してくれた。建物は決して新しくはないが頑丈そうで奇麗に整理、掃除が行き届いている。元々はそこそこの建物だったのだろう。

「こんなものしかございませんが、ゆっくりしていって下さい。」

 ウィリスは俺達にお茶を出してくれた。多分、お客様用なのだろう。

「プロウラーから病気の子供もいるって聞いたのですが」

「はい、何ともお恥ずかしい。今、この孤児院は困窮しており回復師の方に見てもらう余裕が無いのです。国からの援助も少なくなり食べるものにも困っている状態なのです。」

 ウィリスは、恥ずかしそうに俺達に話をしてくれた。嘘は無いらしい。

「そうですか。ちょっと、その子供達を見せてもらっていいですが?」

 俺達は、子供達がいる部屋に案内された。そこには、瘦せこけた子供達が10数人いる。奥の部屋に病気の子供が数人いるらしい。

「院長せんせいー、お腹すいたよ・・・」

「ごめんね。今、ベレットは買い物に行っているからね。帰ってきたらご飯にしようね。」

 ウィリスは、優しい眼差しで子供達に答える。そこには、悲しみの色もある。

「院長、俺達のおやつがあるが子供達にあげてもいいか?ティナもナディアもいいよな?」

「もちろん」

「うむ。異論は無い」

 ティナとナディアも同意してくれる。

「はい。もし、お願い出来るのであればお願いしたいです。」

 俺は、空間収納より肉串を人数分出す。それを子供達とプロウラーにあげる。

「え。僕もいいの?」

「なんでダメなんだ?プロウラーは子供達のために頑張っていたんだろ。食べな。沢山あるから、院長先生もどうぞ!」

「うわぁー、すごく美味しい!お兄ちゃん、ありがとう!」

「お兄ちゃんありがとー」

 子供達は美味しそうに肉串を食べながら口々にお礼を言う。プロウラーやウィリスも美味しそうに食べ、何度もお礼を言ってくる。

 しばらくすると、ベレットが帰ってきた。

「ただいま戻りました。」

「ベレット、お帰り。どうだった?」

「はい。残念な話ですが、冒険者ギルドにお話を持って行ったのですが、証拠が無いから動けないと言われてしまって。」

 ベレットは、16~17歳位の茶色いロングヘアーで少しそばかすのある質素な可愛らしい感じの子だ。

「あら、お客さんですか?」

 ベレットが俺達に気付いた。

「初めまして、アルファードといいます。今日、この街に来たばかりの冒険者でプロウラーにこの街の事を聞いてこの孤児院にやってきました。」

「初めまして、ベレットと言います。院長の娘でここの孤児院の手伝いをしています。」

 ベレットは、俺達近づき挨拶をした。

「今、子供達におやつを配っていた所です。ベレッタさんもどうぞ。」

「まぁ、それは、それは、ご親切なありがとうございます。」

「そう言えば、さっき冒険者ギルドに行ったって言っていたけど、何かあったんですか?」

「えぇ、初めての方にこんな話をするのは何ですが・・・」

 ベレットはウィリスを”チラッ”と見る。ウィリスはそれに頷く。

「実は、ここの所、街からの支援金が大幅に減額されてしまって。おかしいと思って色々聞いているうちに貴族のアパルドがどうやら暗躍しているという話を聞いたので冒険者ギルドに相談に行ったのです。」

 なるほど、この状態になっているのはアパルドが原因なのか。まぁ、どこにも腐った貴族がいるって事だな。

「話は大体検討がつきました。まずは、子供達の治療をしましょう。」

「え?治療って。出来るんですか?」

「まぁ、見ていてください。」

 さて、病気の子を診るか。俺は奥の部屋に行くと調子悪そうに寝ている子供達を診て回る。ほとんどの子が栄養失調の症状が出ている。中にはちょっと重そうな子もいた。

「うん、全体的に栄養失調ですね。一時的に回復させることは出来るけど、このままの状態が続けば元の黙阿弥になってしまいます。」

 俺は、リーフィディング症候群に気を付けながら少しずつヒールをかけていく。1/3体力が回復したところで糖質、蛋白、ビタミンが多く含まれている食事を与え、再度、ヒールをかける。1日程度の時間を魔法で進ませながら、ゆっくりと回復させていった。ウェルニッケ脳症を起こしている子に関しては、ビックボアから抽出したビタミンB1と食事を与えながら同様に数回に分け食事を与えながら治療していく。

「院長せんせー・・・」

 意識が無かった子供が意識を取り戻す。

「凄い!病気が治っっていく!アルファードは回復師様だったんですか?」

 プロウラーは、俺が治療しているところを見て、驚いている。

「俺は、魔導剣士だよ。」

「ふっふーん、アルファードは、なんでも出来る。病気も治せる。」

「どうじゃ、我が主の力は。こんな病気などご主人にかかればあっという間よ。」

 なぜか、ティナやナディアが胸を張っている。

「ほ、本当に・・・」

 ベレットは、言葉にならないようだ。

「あぁ、なんて事でしょうか。私は、奇跡を見ているのですか?」

 ウィリスは、子供を抱きしめ涙を流す。

「私が、ちゃんと育ててあげられて無いから辛い思いを・・・本当にごめんね。ごめんね。」

 ウィリスは元気になっていく子供達に謝り続ける。

「本当にありがとうございました。なんてお礼をしたらいいか・・・」

 俺の手を握り、頭を下げる。

「これで、子供達は大丈夫。しかし、今の状態が続けば再度も同じ事が起こります。なんかしないといけないですね。せめて、きちんと食事を取れるようにならないと」

「分かっています。これからお役人に援助金をもう少し増やしてもらえないか話に行きます。」

 ウィリスは、役場に相談をしに行くらしい。大丈夫なのか?

「では、俺も一緒に護衛としていきましょう。どうやらこの街はかなり物騒の様ですから。」

 俺は、ウィリスと共に街の役場に向かった。そして、孤児院の援助を担当する役人と話をする。

「すみません。孤児院のウィリスです。孤児院の援助を担当している人とお話がしたいのですが。」

 すると奥からゴツ目のガラの悪そうな男がやって来た。

「ふん、孤児院の汚らしい奴が何の用だ。話する事なんて無い。とっとと帰れ。」

「あの、助成金の額が少なすぎて子供達が食べていくのも難しくなっているのです。何とかなりませんか?」

「助成金の額は、上が決めている事でここじゃ何も出来ないね。分かったらとっとと帰れ!」

「そんな。アパルド様がこの街に来る前まではそんな事無かったのに・・・」

「おい、口には気を付けろよ。乞食が!なんだ、アパルド様をディスってるのか?いいか、助成金の予算は、貴族院の方々によって決められ、領主様の許可がでて決まるもんなんだよ。文句があるなら領主様に言いな。」

「よくわかりました。それでは、そうします。私の師匠は、ウォーレン大魔導士の弟子なもんで、師匠を通しヤマト辺境伯様に事情を聴くことにします。」

「え!?」

 俺達は役場を後にした。あのように言えば、彼らは何らかのアクションを起こすだろう。一旦、俺達は孤児院に戻った。

「さて、院長先生。これで彼らは、何らかのアクションを起こすでしょう。と、同時に何らかの証拠の隠ぺいもすると思います。後は、俺達に任せてください。後、旅の途中で狩った獲物を寄付します。皆さんで召し上がってください。」

 俺は、炊事場に行き大きめの簡易冷凍庫を創作した。そして、大量にあるワイルドウルフの肉を冷凍庫半分くらい入れた。

「これは?」

「うん、これは、食材を冷やしておくための魔道具です。いいですか?この事は、誰にも言わないで下さい。盗まれる可能性があります。使い方は、ここに凍らせたい食材を入れ、扉を閉めると凍ります。危ないので、子供は近づかない様にして下さい。一応、人が入ったら作動しない様にしてありますが、万が一、何かあったら困るので。」

「分かりました。何から何まで本当にありがとうございます。なんてお礼を言ったらいいか‥‥」

 「ここの子供達が元気に暮らせることが俺達に対するお礼だと思ってください。兎に角、今の状態を回避する事が第一と思いますが、普通に直談判しても無駄なのが分かったと思います。プロウラーの話だとアパルドと言う貴族が絡んでいるそうですが?」

「アパルド様は、ヤマト辺境伯よりこの街を任されている貴族ですが、確かに良くない話はよく聞きます。」

「このまま放置したら不正の証拠をもみ消される可能性が高いですね。それなら、不正をしている証拠を掴んでヤマト辺境伯様に何とかしてもらうのがいいと思います。証拠さえあれば、ヤマト辺境伯様も黙ってないと思いますし。」

「そ、そんな。侯爵様が我々の様な者の話なんか聞いてくれるはずがありません。」

 ウィリスは、驚いた。

「それこそ、冒険者ギルドを通して連絡してもらうのがいいと思いますが。何も証拠がなく冒険者ギルドに言ってもベレット同様、何もしてもらえないと思いまが、証拠さえあれば動いてくれんじゃないですかね?冒険者ギルドは、中立の機関ですから。後、生活資金を助成金だけで賄うのではなく、自分達で稼ぐのはどうですか?」

「でも、そんな簡単に商売できるものなのでしょうか?」

「まぁ、商人の様に商売するのた正直難しいと思いますが、常に商売をするわけでは無く、生活費を稼ぐ程度ならそんなに大変じゃないと思います。それに商売で扱う物が希少で良い商品なら仕入れるたびに売れると思います。販売量が少なければリピーターも出来やすいですし、、安定すると思いますよ。ベレット、計算は出来ますか?」

「ええ。簡単な計算位なら」

「それなら、お釣りや売り上げの管理も大丈夫ですね。分からない所は教えます。子供達にも手伝ってもらえば、十分な人手だと思います。この施設の一部を使ってお店を出しましょう。そして、ついでに寄付も募りましょう。ベレットさん、露店を出す認可関係をお願いできますか?俺は、その他の事をやりますので。最後に、ちょっと考えがありますので貴族に売らない様にしましょう。転売すると腐るように魔法をかけます。いいですか?」

「分かりました。商業ギルドに掛け合ってみます。」

 俺達は、アパルドの不正の証拠集めと露店を始める準備を開始する。



========タカミのワンポイント========

 栄養失調とは、健康を維持するうえで必要なエネルギーや栄養素の摂取量不足によりもたらされた不健康状態を指します。医師によっては、低栄養や栄養不良といった呼び方が用いられることもあります。体重低下を伴う栄養失調は、食事で必要なエネルギー(カロリー)が摂取できていないことに伴います。特定の栄養素の不足は偏食や、何らかの事情により特定の栄養素を含む食品が摂取できない場合に起こります。

 主な原因として何らかの理由で食事が取れない、あるいは栄養に関する知識が不足した状態での食品摂取などが原因になります。薬剤による副作用、摂食嚥下障害(ムセなどがある場合)なども多く認められます。肥厚性幽門狭窄症、セリアック病、食道噴門弛緩症、慢性下痢症などに起因する消化・吸収障害や先天代謝異常、甲状腺機能亢進症などにより栄養が正常に代謝できない退社障害原因の一つです。開発途上国において高度な栄養エネルギー不足により起こる栄養失調をマラスムス、栄養のバランス不足(エネルギー摂取は比較的保たれるが、たんぱく質の摂取が不足)により起こる栄養失調をクワシオルコルといいます。

 症状としては、

・るいそう(やせ)

・体重増加不良(成長・発育不良)

・貧血、便秘、下痢

・易感染性(感染症にかかりやすい状態)

 重症になると低血圧、低体温、徐脈を認めることもあります。ビタミンB1欠乏症になるとウェルニッケ脳症を引き起こすことがあります。この場合、脳症関連の症状、眼球運動の異常、運動失調を来たします。脚気の原因にもなります。ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症になると造血に関係するDNAの合成ができなくなり、巨赤芽球性貧血という貧血を生じます。ビタミンC欠乏では皮膚・粘膜・歯肉の出血、創傷治癒の遅れ(傷がなかなか治らない)などを特徴とする壊血病という病態を生じます。

 診断や検査は、食事の状況、偏食の有無などの情報から栄養失調を疑います。栄養失調を疑う場合、身長・体重測定により、標準体重からどの程度低下しているのかを計算します。栄養状態を評価する血液検査項目として、アルブミンというタンパクがあります。また、栄養障害の指標となるタンパクとして、rapid turnover proteins (プレアルブミン、レチノール結合タンパク、トランスフェリン)があり、いずれも低栄養時には低下します。その他、甲状腺、コルチゾールなどのホルモン測定を行う場合もあります。

 治療として、脱水の予防、栄養の補充が中心となります。しかし、高度の栄養失調の状態から急激に再栄養を行うと、増加した血液量に心臓が適応できない、電解質の異常が生じる、などの状態(リフィーディング症候群)を引き起こすことがあります。そのため、再栄養は少しずつ行う必要があります。
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