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第1章 片思い編
第2話 運命の出会い/加奈子
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平成14年8月12日……
私は夏休みに家族で遊園地に遊びに来ていた。
しかし私はその日、迷子になってしまう。
ここの遊園地で一番人気の絶叫系アトラクション近くのお手洗いにお母さんと一緒に行っていたけど、私が先に終え、外に出てお母さんを待っていた。
するとお母さんらしき人がお手洗いから出て来たけど、私に気付かずにアトラクションの方へ歩いていったので私は慌ててお母さんを追いかけた。
そして、ようやくお母さんに追いついたので「お母さん!!」と声をかけたらその人は全然、知らないおばさんだった。私は急いでお手洗いに戻ろうとしたけど、その時に若いカップルとぶつかってしまい、転んでしまった。
カップルは私を助けるどころか私が転んだのを気付かないフリをして向こうの方へと足早に去って行く。
私は転んだ時に擦りむいた膝の痛みに耐えながらゆっくりと起き上がり、そして辺りを見渡してお母さんを探した。
しかし、どこを見渡してもお母さんの姿は見当たらない。そんな中、アトラクションに向かう大勢の客が私の前に押し寄せてきて、その波に私は押される様な形で数メートル程、進んでしまい、いつの間にか私も絶叫系アトラクションの前まで来てしまっていた。
私は完全に両親の姿を見失ってしまった。
お母さん、お父さん、どこにいるの……?
早く私を見つけてちょうだい……
アトラクションの前で茫然と立ち尽くす私は徐々に自分が置かれている状況に気付き、どんどん悲しくなっていく。
私の頭の上を大勢の大人の人がジロジロと見ながら歩いている姿が怖くなってきた。
私は前からずっと欲しくてお父さんにおねだりして買ってもらった遊園地のマスコットキャラのぬいぐるみ、『エキサイト君』を大事に落とさないように小さな手で強く抱いていたけど、疲れと悲しみで涙が溢れてきた。
「お母さん、どこに行ったの? お父さん、助けて……グスン……」
今までこんなに不安で、こんなにも怖い思いをしたことが無かったので私にとってはとてつもない恐怖の時間だった。
まぁ、幼稚園児の私だから無理も無いのだけど……
おそらく数分間は泣いていたと思う。
しかし大人達は相変わらず素通りして誰も助けてくれない。誰も声すらかけてくれない。その時の私にはこんな言葉は知らなかったけど今思えば『絶望』という言葉がピッタリな状況だった
そんな絶望の中、突然、希望の光が私を照らしたのだ。
「お嬢ちゃん、どうしたの? 迷子になったのかな?」
全然、知らないお兄ちゃんが、とても優しい言葉と笑顔で私に声をかけてくれたのだ。その時のお兄ちゃんは光り輝いていた。
私は泣きながら小さく頷くと、お兄ちゃんは少し考えた後、一緒に来ていた友達に私を案内所まで連れて行くからと友達のブーイングを気にすることなく笑顔で大きな手を私に差し伸べてくれた。
その時、友達の一人であるとても綺麗な女の人がお兄ちゃんに「一緒に行こうか?」と言ってくれていたけど、何故だか分からないけど私はお兄ちゃんと二人で行きたいという気持ちになってしまった。
その気持ちがお兄ちゃんに伝わったのかは分からないけど、その人に「俺一人で行くから」と断ってくれた時はホッとしたのを今でも覚えている。
道中、私はお兄ちゃんの顔ばかり見てしまっていた。するとお兄ちゃんも私の視線に気づき「どうしたの? お兄ちゃんのお顔に何かついているかい?」って聞いてきたので私は慌てて視線を逸らし「ううん、何もついていないよ……」とだけ答えるのだった。
無事に案内所にたどり着き、室内へ入った途端にお母さんとお父さんの私を呼ぶ声がした。その瞬間、私は安堵し、そして治まっていた涙が再び流れてきたのだった。
お兄ちゃんは自分の役目は終わったと思ったのか友達のところへ戻ろうと背中を向けた時、私は咄嗟にお兄ちゃんの太ももに抱き着いてしまった。
まだ行かないで、お兄ちゃん!!
「ど、どうしたんだい、カナちゃん?」
心の中でそう叫びながら抱き着いている私にお兄ちゃんが優しく聞いてくれたので再び泣きそうなのを我慢しながらこう言った。
「お兄ちゃんのお名前を教えて?」
「え? お兄ちゃんの名前?」
お兄ちゃんはどうも名乗らずに帰ろうとしていたみたいで少し困惑した表情をしている。でも直ぐに笑顔で「ハハハ、お兄ちゃんのお名前はねぇ、鎌田亮二っていうんだ」
「かまた りょうじ?」
「そう、鎌田亮二だよ。でも、もう会う事は無いと思うからお兄ちゃんの名前は忘れてくれてもいいからねぇ?」と言ってきたので私は思わず「やだ……」と言ってしまった。
「へ?」
「絶対に忘れたくない!!」
私は目に大粒の涙を溜めながらお兄ちゃんの顔をジッと見つめていた。
そんな私と困惑しているお兄ちゃんにお母さんがフォローをしてくれた。
「ゴメンなさいね? カナがこんなにも私達以外になつくのは珍しいのよ」
「そうなんですね。それじゃぁ……」
お兄ちゃんはそう言うと背負っているリュックにつけていた小さなペンギンのぬいぐるみを外すと、しゃがみ込んだ。そして私の頭を優しく撫でながら笑顔でそのペンギンのぬいぐるみを差し出してきた。
「はい、どうぞ」
私ははキョトンとしていたけど、お兄ちゃんが「あげる」と言ってくれたので私は涙目のまま受け取った。
そしてお兄ちゃんは私に付け加えてこう言った。
「このぬいぐるみの本当の名前はペンちゃんなんだけどさ、お兄ちゃんの名前を忘れたくないのなら、ペンちゃんのことをこれから『りょう君』って呼んでくれないかな? そうすれば忘れないだろ?」
「りょう君……うん、分かった。これからこの子のことをりょう君って呼ぶね?」
「ハハハ、大事にしてね? それじゃぁお兄ちゃんはそろそろ……」
お兄ちゃんが再び案内所から出ようとするとまたしても私は咄嗟にお兄ちゃんを引き留めた。そして……
「これ、お兄ちゃんにあげる」
私もおねだりして買ってもらった『エキサイト君』をお兄ちゃんに差し出した。
「え? でも、これはカナちゃんの大切なぬいぐるみだろ?」
「だからあげるの。それでお兄ちゃんはこのぬいぐるみの名前をカナちゃんと呼んでちょうだい?」
なかなか受け取ってくれないお兄ちゃんの横でニコニコしながら見ていたお母さんが「もらってあげてくれないかな?」と言ってくれたので、ようやくお兄ちゃんはぬいぐるみを受け取ってくれた。
「カナちゃん、ありがとね? お兄ちゃん、このぬいぐるみ大事にするからね?」
「うん、私もこの『りょう君』大切にするね?」
お兄ちゃんは案内所の外に出て私達に軽く会釈をすると立ち去って行った。
私はそんなお兄ちゃん、いえ、りょう君に手を振りながら大きな声で「お兄ちゃん、バイバーイ」と何度も何度もお兄ちゃんの姿が見えなくなるまで叫んでいた。
「カナちゃん、あのお兄ちゃんの事をとても気に入ったんだねぇ?」
「うん、大好き!!」
私がそう返事をするとお父さんが慌てた声で「オイオイ、カナはお父さんよりもあのお兄ちゃんの方が好きだっていうのかい?」って聞いてきたので「お父さんと同じくらい大好き」と答えたけどお父さんは何となく複雑な顔をしていた。
「でもあの子の雰囲気、とても似ているのよねぇ……カナちゃんが好きになるのも良く分かるわぁ……」
「え? 君まで何だよぉ? って、ああ、そっか、そう言われるとそうだねぇ……どうりであの子を見てどことなく懐かしさを感じたわけだ。ほんと『彼』に似ているよなぁ……」
私にはその時の両親の会話の意味はよく分からなかったけど、お兄ちゃんが両親の知り合いに似ているんだという事だけは理解できた。
そんな出会いから約5年の月日が経ち、私『三田加奈子』は10歳、ちょっとおませな小学5年生になっていた。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
私は夏休みに家族で遊園地に遊びに来ていた。
しかし私はその日、迷子になってしまう。
ここの遊園地で一番人気の絶叫系アトラクション近くのお手洗いにお母さんと一緒に行っていたけど、私が先に終え、外に出てお母さんを待っていた。
するとお母さんらしき人がお手洗いから出て来たけど、私に気付かずにアトラクションの方へ歩いていったので私は慌ててお母さんを追いかけた。
そして、ようやくお母さんに追いついたので「お母さん!!」と声をかけたらその人は全然、知らないおばさんだった。私は急いでお手洗いに戻ろうとしたけど、その時に若いカップルとぶつかってしまい、転んでしまった。
カップルは私を助けるどころか私が転んだのを気付かないフリをして向こうの方へと足早に去って行く。
私は転んだ時に擦りむいた膝の痛みに耐えながらゆっくりと起き上がり、そして辺りを見渡してお母さんを探した。
しかし、どこを見渡してもお母さんの姿は見当たらない。そんな中、アトラクションに向かう大勢の客が私の前に押し寄せてきて、その波に私は押される様な形で数メートル程、進んでしまい、いつの間にか私も絶叫系アトラクションの前まで来てしまっていた。
私は完全に両親の姿を見失ってしまった。
お母さん、お父さん、どこにいるの……?
早く私を見つけてちょうだい……
アトラクションの前で茫然と立ち尽くす私は徐々に自分が置かれている状況に気付き、どんどん悲しくなっていく。
私の頭の上を大勢の大人の人がジロジロと見ながら歩いている姿が怖くなってきた。
私は前からずっと欲しくてお父さんにおねだりして買ってもらった遊園地のマスコットキャラのぬいぐるみ、『エキサイト君』を大事に落とさないように小さな手で強く抱いていたけど、疲れと悲しみで涙が溢れてきた。
「お母さん、どこに行ったの? お父さん、助けて……グスン……」
今までこんなに不安で、こんなにも怖い思いをしたことが無かったので私にとってはとてつもない恐怖の時間だった。
まぁ、幼稚園児の私だから無理も無いのだけど……
おそらく数分間は泣いていたと思う。
しかし大人達は相変わらず素通りして誰も助けてくれない。誰も声すらかけてくれない。その時の私にはこんな言葉は知らなかったけど今思えば『絶望』という言葉がピッタリな状況だった
そんな絶望の中、突然、希望の光が私を照らしたのだ。
「お嬢ちゃん、どうしたの? 迷子になったのかな?」
全然、知らないお兄ちゃんが、とても優しい言葉と笑顔で私に声をかけてくれたのだ。その時のお兄ちゃんは光り輝いていた。
私は泣きながら小さく頷くと、お兄ちゃんは少し考えた後、一緒に来ていた友達に私を案内所まで連れて行くからと友達のブーイングを気にすることなく笑顔で大きな手を私に差し伸べてくれた。
その時、友達の一人であるとても綺麗な女の人がお兄ちゃんに「一緒に行こうか?」と言ってくれていたけど、何故だか分からないけど私はお兄ちゃんと二人で行きたいという気持ちになってしまった。
その気持ちがお兄ちゃんに伝わったのかは分からないけど、その人に「俺一人で行くから」と断ってくれた時はホッとしたのを今でも覚えている。
道中、私はお兄ちゃんの顔ばかり見てしまっていた。するとお兄ちゃんも私の視線に気づき「どうしたの? お兄ちゃんのお顔に何かついているかい?」って聞いてきたので私は慌てて視線を逸らし「ううん、何もついていないよ……」とだけ答えるのだった。
無事に案内所にたどり着き、室内へ入った途端にお母さんとお父さんの私を呼ぶ声がした。その瞬間、私は安堵し、そして治まっていた涙が再び流れてきたのだった。
お兄ちゃんは自分の役目は終わったと思ったのか友達のところへ戻ろうと背中を向けた時、私は咄嗟にお兄ちゃんの太ももに抱き着いてしまった。
まだ行かないで、お兄ちゃん!!
「ど、どうしたんだい、カナちゃん?」
心の中でそう叫びながら抱き着いている私にお兄ちゃんが優しく聞いてくれたので再び泣きそうなのを我慢しながらこう言った。
「お兄ちゃんのお名前を教えて?」
「え? お兄ちゃんの名前?」
お兄ちゃんはどうも名乗らずに帰ろうとしていたみたいで少し困惑した表情をしている。でも直ぐに笑顔で「ハハハ、お兄ちゃんのお名前はねぇ、鎌田亮二っていうんだ」
「かまた りょうじ?」
「そう、鎌田亮二だよ。でも、もう会う事は無いと思うからお兄ちゃんの名前は忘れてくれてもいいからねぇ?」と言ってきたので私は思わず「やだ……」と言ってしまった。
「へ?」
「絶対に忘れたくない!!」
私は目に大粒の涙を溜めながらお兄ちゃんの顔をジッと見つめていた。
そんな私と困惑しているお兄ちゃんにお母さんがフォローをしてくれた。
「ゴメンなさいね? カナがこんなにも私達以外になつくのは珍しいのよ」
「そうなんですね。それじゃぁ……」
お兄ちゃんはそう言うと背負っているリュックにつけていた小さなペンギンのぬいぐるみを外すと、しゃがみ込んだ。そして私の頭を優しく撫でながら笑顔でそのペンギンのぬいぐるみを差し出してきた。
「はい、どうぞ」
私ははキョトンとしていたけど、お兄ちゃんが「あげる」と言ってくれたので私は涙目のまま受け取った。
そしてお兄ちゃんは私に付け加えてこう言った。
「このぬいぐるみの本当の名前はペンちゃんなんだけどさ、お兄ちゃんの名前を忘れたくないのなら、ペンちゃんのことをこれから『りょう君』って呼んでくれないかな? そうすれば忘れないだろ?」
「りょう君……うん、分かった。これからこの子のことをりょう君って呼ぶね?」
「ハハハ、大事にしてね? それじゃぁお兄ちゃんはそろそろ……」
お兄ちゃんが再び案内所から出ようとするとまたしても私は咄嗟にお兄ちゃんを引き留めた。そして……
「これ、お兄ちゃんにあげる」
私もおねだりして買ってもらった『エキサイト君』をお兄ちゃんに差し出した。
「え? でも、これはカナちゃんの大切なぬいぐるみだろ?」
「だからあげるの。それでお兄ちゃんはこのぬいぐるみの名前をカナちゃんと呼んでちょうだい?」
なかなか受け取ってくれないお兄ちゃんの横でニコニコしながら見ていたお母さんが「もらってあげてくれないかな?」と言ってくれたので、ようやくお兄ちゃんはぬいぐるみを受け取ってくれた。
「カナちゃん、ありがとね? お兄ちゃん、このぬいぐるみ大事にするからね?」
「うん、私もこの『りょう君』大切にするね?」
お兄ちゃんは案内所の外に出て私達に軽く会釈をすると立ち去って行った。
私はそんなお兄ちゃん、いえ、りょう君に手を振りながら大きな声で「お兄ちゃん、バイバーイ」と何度も何度もお兄ちゃんの姿が見えなくなるまで叫んでいた。
「カナちゃん、あのお兄ちゃんの事をとても気に入ったんだねぇ?」
「うん、大好き!!」
私がそう返事をするとお父さんが慌てた声で「オイオイ、カナはお父さんよりもあのお兄ちゃんの方が好きだっていうのかい?」って聞いてきたので「お父さんと同じくらい大好き」と答えたけどお父さんは何となく複雑な顔をしていた。
「でもあの子の雰囲気、とても似ているのよねぇ……カナちゃんが好きになるのも良く分かるわぁ……」
「え? 君まで何だよぉ? って、ああ、そっか、そう言われるとそうだねぇ……どうりであの子を見てどことなく懐かしさを感じたわけだ。ほんと『彼』に似ているよなぁ……」
私にはその時の両親の会話の意味はよく分からなかったけど、お兄ちゃんが両親の知り合いに似ているんだという事だけは理解できた。
そんな出会いから約5年の月日が経ち、私『三田加奈子』は10歳、ちょっとおませな小学5年生になっていた。
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お読みいただきありがとうございました。
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