15 / 93
第2章 再会編
第15話 彼の唇/加奈子
しおりを挟む
「か、カナちゃん……なのかい……?」
私は涙が止まらなかった。
あの時と同じ優しい顔をした、そして少し大人っぽくなった感じのりょう君……
アルバイトをしているってことは今は高校生? それとも大学生なのかな?
そんなりょう君が急いだ感じで私に近づこうとしている。
私は居ても立っても居られなくなり思わず搭乗口と前列を塞ぐ為にされている鎖の下をくぐろうとしてしまい、搭乗口にいる女性が私に注意された。
私はハッとしたと同時にとても恥ずかしくなった。そしてお母さんの方を見ると広美さんと夢中で話をしていていたので私が注意されたことに気付いていないみたいでホッとした。
良かった。今のをお母さんに見られたら叱られるところだったわ。
そう思いながら再びりょう君を見ると私の方に来るのを止めて急いで操縦室中に入ってしまった。どうしよう、今の私の危険な動きを見て怒っちゃったんじゃ……
私が不安にかられていると操縦室のドアが開き、りょう君が出て来た。そして再び急いで私の所へと来てくれたのだ。
私の前まで来たりょう君は少し緊張した感じで「か、カナちゃんだよね?」と話しかけてきた。
この優しい声は間違いなくあの時のりょう君の声と同じだけど、夢を見ている様な感じだった私は「う、うん……加奈子だよ。りょう君……本当にりょう君なの?」と疑った聞き方をしてしまう。でもりょう君は笑顔で「ああ、本当にりょうだよ。あの日、お互いのぬいぐるみを交換したりょう、鎌田亮二だよ」という言葉を聞いた私は嬉し過ぎて更に涙が溢れ出してくる。
するとりょう君は鎖を外して搭乗口の外に出て来たかと思うといきなり私の手を握ぎりると「カナちゃん、さっき俺に何か言おうとしたんだよね? 俺もカナちゃんと色々とお話したいし、今から休憩に入るから二人でハリケーン・エキスプレスの裏にあるベンチに行ってお話しないかい?」と言ってきた。
私は「うん」とだけ言い小さく頷くと、りょう君は傍にいた私の両親にもその事を伝えてくれ、お父さんもお母さんも快く了承してくれたのでホッとした。
「それじゃカナちゃん、行こうか?」
りょう君がそう言った瞬間、お母さんの間迎えにいた広美さんの叫び声「久子!!」と呼ぶ声が聞こえてきた。
えっ!?
私とりょう君は驚きながらお互いの顔を見合わせ、そして広美さんの方を見た。すると広美さんは泣きながら久子おばさんに抱き着いている。
「え?」
そうだ、りょう君は知らないんだ。
久子おばさんと広美さんが知り合いだっていうことを……
っていうか今、広美さん、久子おばさんのことを『久子』って呼び捨てにしていたような? だから久子おばさんも凄く驚いた顔をしているんだと思うのだけど。
それに気づいたのか広美さんは「ひ、久子おばさん!!」と言い直していたのが少し面白かったけど、今の私は面白がっている場合じゃなかった。
今からりょう君と二人でお話をしなくちゃいけないのに……
どんな話をすればいいのだろう?
今日、りょう君に会えることを知っていればもっと違う未来があったかもしれないのに……もしかしたら翔太の家に行く日だって伸ばしていたかもしれない……そうすれば翔太にキスをされることも無かったかもしれないのに……
あの時の光景が頭の中に蘇り、私は気が重くなってしまった。悔やんでも悔やみきれない。そんな私の気持ちを知らないりょう君は広美さんと久子おばさんが知り合いだったのを凄く驚いているみたいでいっこうに私とハリケーン・エキスプレスの外に出ようとせず、そまま茫然と立っている。
思わず私は「りょう君、行かないの?」と催促をしてしまった。するとりょう君もようやく私を待たせていたことに気付いたのか「そ、そうだね」と言って再び歩き出した。
そんな中、久子おばさんも「広美ちゃん、久しぶりだね……まさか泣いてまで私との再会を喜んでくれるとは思わなかったわ。私が広美ちゃんと会ったのはとても小さい頃だったし、数える程しか会ってなかったし……よくおばさんのことを覚えてくれていたわねぇ……」と少し涙ぐみながら広美さんに話しかけている。
「わ、忘れるはずない……ずっと会いたかった……」
久子おばさんって凄く優しいもんなぁ……きっと広美さんも小さい頃にとても可愛がってもらったんだろうなぁ……
「ひ、広美ちゃん……おじさんの事も覚えてくれているのかな?」
あっ、そっか。おじさんも広美さんとは会っているんだよね?
でも広美さんの返しは……
「覚えてない……」
「えーっ!? 嘘ーっ!! 久子の事はめちゃくちゃ覚えているのにぃ?」
おじさんがあんなに落ち込んでいる姿を見るのは久子おばさんや翔太に何かで責められていた時以来だなぁ……でもそんな落ち込んでいるおじさんに広美さんは涙を拭いながら笑顔で「ハハハ、冗談ですよ。ちゃんとおじさんの事も覚えていますから……」言っている。
「ああ、良かったぁ!! おじさんなんて一度、広美ちゃんのオムツを取り替えたこともあったくらいだからねぇ……」
おじさんの言葉に何故か反応している様なりょう君……それを見て何か嫌な気持ちになった私……そして少し顔を赤くしながら「そんなことを此処で言わないで」と笑顔で言っている広美さんがいるのだった。
するとおばさんが広美さんに不思議な言葉を投げかけた。
「それにしても広美ちゃんとの再会って『何年も会えなかった親友と再会した』みたいな感覚だわぁ。なんだか不思議な気持ちだねぇ……まぁ名前も『ひろみ』だから余計にそう感じたのかもしれないわねぇ……」
「わ、私も……です」
どういうことかな?
私は二人の会話の意味があまり理解できなかった。
っていうか、今はそんな事を気にしている場合じゃ無かったわ。
結局、広美さんもりょう君と同じ時間に休憩させてもらうことになり、私達はそれぞれ1時間程、別行動をとる事ととし、昼前にハリケーン・エキスプレスの前に集合となった。
広美さんは私のお父さん、お母さん、静香、そして山田さん夫婦の6人で屋根のある大きなテーブル席へと歩いて行く。
桜ちゃんのお母さんは根津さんに会いに行くと言って事務所の中に入っていった。
そして翔太と桜ちゃんはそのまま残り二人でハリケーン・エキスプレスに乗る事に。頑張って桜ちゃん!!
そして私はりょう君に手を引かれて事務所裏のベンチへと向かう。
りょう君の手、とても温かいなぁ……このままずっと手を繋いでいたいなぁ。
私達二人はベンチに座っている。
私は緊張してしまい、ずっと下を向いていた。そんな私の緊張をほぐそうとりょう君は必死に話かけてくれている。
「まさかもう一度カナちゃんに会えるとは思っていなかったよ。本当に驚いたなぁ……それに山田さん達とも知り合いだったなんてこれは奇跡としか思えないよねぇ? それに広美が幼稚園の時の先生がカナちゃんのお母さんだってこともメチャクチャ驚いたよ。あっ、広美っていうのはさっき久子さんに泣きながら抱き着いていた子で俺達は幼馴染なんだよ」
そうなんだ。広美さんとりょう君は幼馴染だったんだ……そう言えば私が迷子になった日に会った綺麗なお姉さんって……そっか広美さんだったんだね。
それと……りょう君は私とは二度と会えないと思っていたんだ……
まぁ、そうだよね? それが普通だよね……でも……
「私は思っていたよ……」
「え?」
「私はいつかまたりょう君に会えるとずっと思っていたよ」
「そ、そうなんだ……カナちゃんって凄いね? 思いって通じるんだって事を教えてもらったよ。カナちゃんの強い思いのお陰でまたこうやってあえて嬉しいよ。ありがとね」
「私、凄くなんかないよ……」
私は全然、凄くなんかない……それどころか最近の私は最低だと思っている。
翔太を脅して無理矢理、桜ちゃんと付き合わせているのだから……
桜ちゃんは嬉しそうにしているし、応援したい気持ちはとてもあるけど、もし桜ちゃんに本当の事がバレてしまったら……繊細な性格の桜ちゃんは絶対に落ち込んでしまう。それを考えただけで不安でたまらない。
時間が経つにつれて私は翔太に『私のことが好きな証拠を見せなさい』『私と絶交しない為の条件』を言った事を悔やんでいるし、恥じていた。だから……
「ハハハ、そんな事はないさ。高校生の俺よりもしっかりしているように見えるしさ。ところでカナちゃんって今は何年生なんだい?」
「5年生……」
「へぇ、そうなんだぁ。もう5年生なんだぁ。って事は前に会ったのがちょうど5年前だから、あの時はまだ幼稚園生だったんだね?」
「うん……」
沈黙が流れる。きっとりょう君は私を和ませる話を考えてくれているんだろうなぁ……何か申し訳無い気持ちになってしまう。私も頑張って何か言わなくちゃ……
私はりょう君の横顔を見ようと顔を上げた時、視界にりょう君の唇が入ってきた。
りょう君の唇、綺麗な形をしているなぁ……きっと、りょう君なら今までに誰かとキスくらいしているんだろうなぁ……
でも、もし誰ともキスをしていないのなら、私がりょう君の初めてになりたい。
もし、りょう君が誰ともキスをしていないのなら……
私が突然、キスをしたらりょう君は怒るかな?
あっ、あの時の翔太も私にこんな気持ちになっていたのかな?
「りょう君、一つ質問してもいい?」
「え? ああ、いいよ。何でも聞いてちょうだい」
「あ、あのね……りょう君って……キ……キスしたことある……?」
私の思いがけない質問に驚いたりょう君の顔はみるみる赤くなっていく。
そして……
「え……えーっ!?」
私達以外に誰もいないベンチの周りをりょう君の驚いた声が響いている。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
私は涙が止まらなかった。
あの時と同じ優しい顔をした、そして少し大人っぽくなった感じのりょう君……
アルバイトをしているってことは今は高校生? それとも大学生なのかな?
そんなりょう君が急いだ感じで私に近づこうとしている。
私は居ても立っても居られなくなり思わず搭乗口と前列を塞ぐ為にされている鎖の下をくぐろうとしてしまい、搭乗口にいる女性が私に注意された。
私はハッとしたと同時にとても恥ずかしくなった。そしてお母さんの方を見ると広美さんと夢中で話をしていていたので私が注意されたことに気付いていないみたいでホッとした。
良かった。今のをお母さんに見られたら叱られるところだったわ。
そう思いながら再びりょう君を見ると私の方に来るのを止めて急いで操縦室中に入ってしまった。どうしよう、今の私の危険な動きを見て怒っちゃったんじゃ……
私が不安にかられていると操縦室のドアが開き、りょう君が出て来た。そして再び急いで私の所へと来てくれたのだ。
私の前まで来たりょう君は少し緊張した感じで「か、カナちゃんだよね?」と話しかけてきた。
この優しい声は間違いなくあの時のりょう君の声と同じだけど、夢を見ている様な感じだった私は「う、うん……加奈子だよ。りょう君……本当にりょう君なの?」と疑った聞き方をしてしまう。でもりょう君は笑顔で「ああ、本当にりょうだよ。あの日、お互いのぬいぐるみを交換したりょう、鎌田亮二だよ」という言葉を聞いた私は嬉し過ぎて更に涙が溢れ出してくる。
するとりょう君は鎖を外して搭乗口の外に出て来たかと思うといきなり私の手を握ぎりると「カナちゃん、さっき俺に何か言おうとしたんだよね? 俺もカナちゃんと色々とお話したいし、今から休憩に入るから二人でハリケーン・エキスプレスの裏にあるベンチに行ってお話しないかい?」と言ってきた。
私は「うん」とだけ言い小さく頷くと、りょう君は傍にいた私の両親にもその事を伝えてくれ、お父さんもお母さんも快く了承してくれたのでホッとした。
「それじゃカナちゃん、行こうか?」
りょう君がそう言った瞬間、お母さんの間迎えにいた広美さんの叫び声「久子!!」と呼ぶ声が聞こえてきた。
えっ!?
私とりょう君は驚きながらお互いの顔を見合わせ、そして広美さんの方を見た。すると広美さんは泣きながら久子おばさんに抱き着いている。
「え?」
そうだ、りょう君は知らないんだ。
久子おばさんと広美さんが知り合いだっていうことを……
っていうか今、広美さん、久子おばさんのことを『久子』って呼び捨てにしていたような? だから久子おばさんも凄く驚いた顔をしているんだと思うのだけど。
それに気づいたのか広美さんは「ひ、久子おばさん!!」と言い直していたのが少し面白かったけど、今の私は面白がっている場合じゃなかった。
今からりょう君と二人でお話をしなくちゃいけないのに……
どんな話をすればいいのだろう?
今日、りょう君に会えることを知っていればもっと違う未来があったかもしれないのに……もしかしたら翔太の家に行く日だって伸ばしていたかもしれない……そうすれば翔太にキスをされることも無かったかもしれないのに……
あの時の光景が頭の中に蘇り、私は気が重くなってしまった。悔やんでも悔やみきれない。そんな私の気持ちを知らないりょう君は広美さんと久子おばさんが知り合いだったのを凄く驚いているみたいでいっこうに私とハリケーン・エキスプレスの外に出ようとせず、そまま茫然と立っている。
思わず私は「りょう君、行かないの?」と催促をしてしまった。するとりょう君もようやく私を待たせていたことに気付いたのか「そ、そうだね」と言って再び歩き出した。
そんな中、久子おばさんも「広美ちゃん、久しぶりだね……まさか泣いてまで私との再会を喜んでくれるとは思わなかったわ。私が広美ちゃんと会ったのはとても小さい頃だったし、数える程しか会ってなかったし……よくおばさんのことを覚えてくれていたわねぇ……」と少し涙ぐみながら広美さんに話しかけている。
「わ、忘れるはずない……ずっと会いたかった……」
久子おばさんって凄く優しいもんなぁ……きっと広美さんも小さい頃にとても可愛がってもらったんだろうなぁ……
「ひ、広美ちゃん……おじさんの事も覚えてくれているのかな?」
あっ、そっか。おじさんも広美さんとは会っているんだよね?
でも広美さんの返しは……
「覚えてない……」
「えーっ!? 嘘ーっ!! 久子の事はめちゃくちゃ覚えているのにぃ?」
おじさんがあんなに落ち込んでいる姿を見るのは久子おばさんや翔太に何かで責められていた時以来だなぁ……でもそんな落ち込んでいるおじさんに広美さんは涙を拭いながら笑顔で「ハハハ、冗談ですよ。ちゃんとおじさんの事も覚えていますから……」言っている。
「ああ、良かったぁ!! おじさんなんて一度、広美ちゃんのオムツを取り替えたこともあったくらいだからねぇ……」
おじさんの言葉に何故か反応している様なりょう君……それを見て何か嫌な気持ちになった私……そして少し顔を赤くしながら「そんなことを此処で言わないで」と笑顔で言っている広美さんがいるのだった。
するとおばさんが広美さんに不思議な言葉を投げかけた。
「それにしても広美ちゃんとの再会って『何年も会えなかった親友と再会した』みたいな感覚だわぁ。なんだか不思議な気持ちだねぇ……まぁ名前も『ひろみ』だから余計にそう感じたのかもしれないわねぇ……」
「わ、私も……です」
どういうことかな?
私は二人の会話の意味があまり理解できなかった。
っていうか、今はそんな事を気にしている場合じゃ無かったわ。
結局、広美さんもりょう君と同じ時間に休憩させてもらうことになり、私達はそれぞれ1時間程、別行動をとる事ととし、昼前にハリケーン・エキスプレスの前に集合となった。
広美さんは私のお父さん、お母さん、静香、そして山田さん夫婦の6人で屋根のある大きなテーブル席へと歩いて行く。
桜ちゃんのお母さんは根津さんに会いに行くと言って事務所の中に入っていった。
そして翔太と桜ちゃんはそのまま残り二人でハリケーン・エキスプレスに乗る事に。頑張って桜ちゃん!!
そして私はりょう君に手を引かれて事務所裏のベンチへと向かう。
りょう君の手、とても温かいなぁ……このままずっと手を繋いでいたいなぁ。
私達二人はベンチに座っている。
私は緊張してしまい、ずっと下を向いていた。そんな私の緊張をほぐそうとりょう君は必死に話かけてくれている。
「まさかもう一度カナちゃんに会えるとは思っていなかったよ。本当に驚いたなぁ……それに山田さん達とも知り合いだったなんてこれは奇跡としか思えないよねぇ? それに広美が幼稚園の時の先生がカナちゃんのお母さんだってこともメチャクチャ驚いたよ。あっ、広美っていうのはさっき久子さんに泣きながら抱き着いていた子で俺達は幼馴染なんだよ」
そうなんだ。広美さんとりょう君は幼馴染だったんだ……そう言えば私が迷子になった日に会った綺麗なお姉さんって……そっか広美さんだったんだね。
それと……りょう君は私とは二度と会えないと思っていたんだ……
まぁ、そうだよね? それが普通だよね……でも……
「私は思っていたよ……」
「え?」
「私はいつかまたりょう君に会えるとずっと思っていたよ」
「そ、そうなんだ……カナちゃんって凄いね? 思いって通じるんだって事を教えてもらったよ。カナちゃんの強い思いのお陰でまたこうやってあえて嬉しいよ。ありがとね」
「私、凄くなんかないよ……」
私は全然、凄くなんかない……それどころか最近の私は最低だと思っている。
翔太を脅して無理矢理、桜ちゃんと付き合わせているのだから……
桜ちゃんは嬉しそうにしているし、応援したい気持ちはとてもあるけど、もし桜ちゃんに本当の事がバレてしまったら……繊細な性格の桜ちゃんは絶対に落ち込んでしまう。それを考えただけで不安でたまらない。
時間が経つにつれて私は翔太に『私のことが好きな証拠を見せなさい』『私と絶交しない為の条件』を言った事を悔やんでいるし、恥じていた。だから……
「ハハハ、そんな事はないさ。高校生の俺よりもしっかりしているように見えるしさ。ところでカナちゃんって今は何年生なんだい?」
「5年生……」
「へぇ、そうなんだぁ。もう5年生なんだぁ。って事は前に会ったのがちょうど5年前だから、あの時はまだ幼稚園生だったんだね?」
「うん……」
沈黙が流れる。きっとりょう君は私を和ませる話を考えてくれているんだろうなぁ……何か申し訳無い気持ちになってしまう。私も頑張って何か言わなくちゃ……
私はりょう君の横顔を見ようと顔を上げた時、視界にりょう君の唇が入ってきた。
りょう君の唇、綺麗な形をしているなぁ……きっと、りょう君なら今までに誰かとキスくらいしているんだろうなぁ……
でも、もし誰ともキスをしていないのなら、私がりょう君の初めてになりたい。
もし、りょう君が誰ともキスをしていないのなら……
私が突然、キスをしたらりょう君は怒るかな?
あっ、あの時の翔太も私にこんな気持ちになっていたのかな?
「りょう君、一つ質問してもいい?」
「え? ああ、いいよ。何でも聞いてちょうだい」
「あ、あのね……りょう君って……キ……キスしたことある……?」
私の思いがけない質問に驚いたりょう君の顔はみるみる赤くなっていく。
そして……
「え……えーっ!?」
私達以外に誰もいないベンチの周りをりょう君の驚いた声が響いている。
――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
1
あなたにおすすめの小説
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
俺の心を掴んだ姫は笑わない~見ていいのは俺だけだから!~
あとさん♪
恋愛
侯爵令息のオリヴァーは代わり映えのしない毎日に飽きていた。
飽和した毎日の中、鮮烈な印象を残したのはブリュンヒルデ・フォン・クルーガー伯爵令嬢。
妹の親友だと紹介された伯爵令嬢の生態を観察するうちに、自分の心がどこを向いているのかに気が付く。
彼女はいつの間にか、自分の心を掴んでいた。
彼女が欲しい! けれど今の自分では彼女に釣り合わない。
どうしよう、どうしたらいい? 今自分が為すべきことはなんだ? オリヴァーは生まれて初めて全力を尽くす決心をした。
これは、ひとりの少女に愛を乞うために、本気を出して自分の人生に向き合い始めた少年がちょっとだけマシな人間になるまでのお話。
※シャティエル王国シリーズ、5作目。
※シリーズ4『お姉さまは酷いずるいと言い続け、王子様に引き取られた自称・妹なんて知らない』でちょい役だったオリヴァー視点のお話です。
※このお話は小説家になろうにも掲載しております。
幸せのありか
神室さち
恋愛
兄の解雇に伴って、本社に呼び戻された氷川哉(ひかわさい)は兄の仕事の後始末とも言える関係企業の整理合理化を進めていた。
決定を下した日、彼のもとに行野樹理(ゆきのじゅり)と名乗る高校生の少女がやってくる。父親の会社との取引を継続してくれるようにと。
哉は、人生というゲームの余興に、一年以内に哉の提示する再建計画をやり遂げれば、以降も取引を続行することを決める。
担保として、樹理を差し出すのならと。止める両親を振りきり、樹理は彼のもとへ行くことを決意した。
とかなんとか書きつつ、幸せのありかを探すお話。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自サイトに掲載していた作品を、閉鎖により移行。
視点がちょいちょい変わるので、タイトルに記載。
キリのいいところで切るので各話の文字数は一定ではありません。
ものすごく短いページもあります。サクサク更新する予定。
本日何話目、とかの注意は特に入りません。しおりで対応していただけるとありがたいです。
別小説「やさしいキスの見つけ方」のスピンオフとして生まれた作品ですが、メインは単独でも読めます。
直接的な表現はないので全年齢で公開します。
【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません
恩田璃星
恋愛
蓮見千歳(はすみちとせ)は、血の繋がりのない叔父、遼平に少しでも女性として見てもらいと、幼い頃から努力を続けてきた。
そして、大学卒業を果たし千歳は、念願叶って遼平の会社で働き始めるが、そこには幼馴染の晴臣(はるおみ)も居た。
千歳が遼平に近づくにつれ、『一途な想い』が複雑に交錯していく。
第14回恋愛小説対象にエントリーしています。
※別タイトルで他サイト様掲載作品になります。
番外編は現時点でアルファポリス様限定で掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる