あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV

文字の大きさ
16 / 93
第2章 再会編

第16話 お互いの気持ち/亮二・加奈子

しおりを挟む
「あ、あのね……りょう君って……キ……キスしたことある……?」

「え……えーっ!?」

 カナちゃんは突然何て事を聞いてくるんだ!?
 小学生の質問にあたふたしている俺も情けないけども……

 キスしたことあるだって?
 無いに決まっているじゃないか!!
 全然、自慢にならないけどさ。

 でも、カナちゃんは俺にそんな答えを求めているのだろうか?

 18歳にもなって未だに彼女もできたことが無くて当然キスもしたことがない俺をカナちゃんはどう思うのだろう? 

 ダサい男って思うのかな?
 それとも、その方が安心してくれるのかな?

 イヤイヤイヤッ、それはカナちゃんが俺の事を好きだったらという前提の話だよな。まぁ、俺の顔を見て涙を流してくれたくらいだから嫌いではないとは思うけど……でもさすがに小学生が高校生の俺を多少の憧れみたいなものはあっても恋愛対象としては見ていないだろう。

 だって俺とカナちゃんとでは歳が離れすぎているしな。

 っていうか何で俺は小学生相手からの質問の答えをこんなにも悩まないといけないんだ? なんか情けなくなってきたぞ。

「りょう君、どうしたの? なんで何も言ってくれないの?」

「えっ!? ああ……ゴメン……」

 ヤバい、俺かなり長い時間黙っていたよな?
 何も言わないのは余計に変だよな?

 どうする?
 見栄を張るべきか、正直に言うべきか……

 うーん……あ……

「あ、あるよ……す、凄く昔にね……あれはいつだったかなぁ……その時のことを思い出そうとしていたら返事ができなかったんだよ……ハハハ……」

 俺の答えはこれが正解なのか?

「そ、そうなんだ……だよね? そりゃぁ、りょう君みたいにカッコいい人だったらキスくらいしているよね……うん、そうだよね……」

「ハハハ、俺は全然、カッコ良くはないよ。今まで同級生の女子達からは一度もそんなこと言われたこと無いし……幼馴染の広美ですらお世辞でもカッコいいなんて言ってくれたことは無かったしさ……」

 何故か後輩や先輩数人からは言われたことはあったけど……
 最近では千夏ねぇから……いや、今は千夏ねぇの事は思い出さないようにしよう。

「りょう君は凄くカッコいいよ。それに優しいし……」

「カナちゃん、ありがとね。まぁ、小学生のカナちゃんからすれば高校生は大人に見えるだろうし、目の錯覚でカッコ良く見えてしまうのかもしれないけどね……でもカナちゃんにそう言ってもらえて俺、とても嬉しいよ」

 カナちゃんにカッコいいって言ってもらえて正直、嬉しい。5年前の方が良かったなんて言われたら俺、絶対に凹んでいるし……
 
 でも小学生の女の子に言われたくらいで何で俺はこんなにも嬉しいんだろう?
 俺が想像していたよりも凄く可愛くなっているカナちゃんだからかな?     

 で、でもこれだけは言っておくが俺は『ロリコン』の趣味は無いからな。

 ただ……俺は結局、カナちゃんに見栄を張ってしまい嘘をついてしまった……本当にこれで良かったのかな? 
 
 ……正直に言った方が良かったのかも……でも、今更、訂正するのはなぁ……

「りょ、りょう君……?」

「ん、何?」

「りょう君がキスをした相手って……もしかして幼馴染の広美さんなのかな……?」

「えーっ、ひ、広美だって!? イッ、イヤイヤイヤッ、違うよ。広美とは何もしていないから……」

「そ、そうなんだぁ……」

 ああ、ビックリした。キスの相手が広美なのかって聞かれるとは思わなかったぞ。
 ただ俺の中では初めてのキスの相手は広美の予定だったんだけど……

 しかし何でカナちゃんは俺にキスをしたことがあるのか聞いてきたのだろう?
 出会ってからずっと元気が無いのと関係があるのだろうか?

 一度も笑顔を見ていないし……

「カナちゃん、もしかして悩み事でもあるのかい? 会ってからずっと元気が無いみたいだし……俺でよければ話を聞くよ……」

「ご、ゴメンね……」

「え? 別に謝らなくてもいいよ。ただ俺は会えると思っていなかったカナちゃんとこうして再会することができてめちゃくちゃ嬉しいし、今日だけは色々と悩んでいた事が吹っ飛んだというか……だから、もしカナちゃんも何か悩み事があるんだったら俺と同様に吹っ飛ばしてあげたいなぁと思ってさ……」

「りょう君も悩み事があるの?」

「そりゃそうだよ。俺は自慢じゃ無いけど悩み事の塊さ。だからカナちゃんも俺で良ければ悩みをぶちまけてくれよ。スッとするかもしれないよ。せっかく、こうやって奇跡の再会ができたんだし、これはチャンスだと思うよ」

 カナちゃんは俺が熱く語ってしまったから少し引いてしまったのかもしれないな。下を向いたまま何も言ってくれない。どうしようか悩んでいるのかな?

 俺はカナちゃんに一つだけ質問してみることにした。

「ところでさ、何でカナちゃんは俺にキスをした事があるのか聞いたんだい?」

「えっ、そ、それは……」

 反応があるぞ。これはカナちゃんの悩みに『キス』が関係あるって事では?

「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」

「えっ!?」


――――――――――――――――――――――――

 そっかぁ……りょう君はキスをしたことがあるんだぁ……

 そりゃぁ、こんなに格好いい人がキスくらいしたことはあるよね?
 あの広美さんでは無いって言っていたので少しホッとはしたけど……
 でも、何だか寂しい気持ちになってしまう。

 はぁ……もし、りょう君がキスをしたことが無ければ、私がりょう君の初めてになれるかと思っていたけど、そんな上手い話は無いよね。

 私は翔太にあんな条件を出した酷い子だし、バチが当たってもおかしくない。それなのにこうしてりょう君に再会できただけでも幸せだと思わないといけないんだろうなぁ……

 さっきからこんな私に対して優しい言葉を投げかけてくれているりょう君、5年前に私が迷子になった時も手を繋ぎながら案内所まで歩いている間に今みたいに私の不安を少しでも取り除こうと必死に話かけてくれていた優しいりょう君と同じだ。

 そしてりょう君と会うのは今日で2回目なのにりょう君は私に悩み事がある事に気付いてくれた。

 どうしよう……正直に話そうかな?
 翔太に無理矢理キスをされてしまった事をりょう君に打ち明けてみようかな……

「それじゃぁ質問を変えるね。小学生のカナちゃんにこんな事を聞いたらダメなんだと思うけど……でも思い切って聞くけど、カナちゃんは『キス』の事で何か悩んでいるんじゃないのかい?」

「えっ!?」

 まぁ、そうだよね。私の様な小学生が急に『キスをした事があるか』って質問をしたら、高校生のりょう君ならピンとくるよね?

 もしかしたら私が好きでもない人とキスをして悩んでいるくらいのことも勘づいているかもしれないよね?

 どうする私?

 りょう君に全てを打ち明けて……

「あ、あのね……私ね、少し前にね……」

「うんうん」  

 りょう君は笑顔で私の話を聞こうとしてくれている。
 私はそんなりょう君の笑顔に引き込まれる様な感じで全てを話す決意をした。

「好きでもない人に……む、無理矢理……キ、キ……ウグッ……」

 決意をしたのに私は涙が溢れ出てしまい最後までちゃんと話せない。

「ウグッ……ウウッ」

 どうしよう。ちゃんと話さないといけないのに……

 ガバッ

 え?

 りょう君が涙を流しながら私を抱きしめている。そして……

「カナちゃん、もう話さなくてもいいから……無理に言わせてゴメンね? もう大丈夫だから……カナちゃんがずっと苦しい思いをしていたのはよく分かったから……」

「りょ、りょう君……」

 しばらくの間、私はりょう君の胸の中で泣き続けていた。





――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました。
いよいよ二人の再会もクライマックスです。
どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ
恋愛
 俺は知ってしまった。 まさか今更こんな真実を知ってしまうとは。 その日は何故かリビングのテーブルの上に戸籍謄本が置いてあり、何気なく目を通して見ると⋯⋯。  養子縁組の文字が目に入った。  そして養子氏名の欄を見てみると【天城リウト】俺の名前がある。  う、嘘だろ。俺が養子⋯⋯だと⋯⋯。  そうなると姉の琴音ことコト姉と妹の柚葉ことユズとは血が繋がっていないことになる。  今までは俺と姉弟、兄妹の関係だったからベタベタしてきても一線を越えることはなかったが、もしこのことがコト姉とユズに知られてしまったら2人の俺に対する愛情が暴走するかもしれない。もしコト姉やユズみたいな美少女に迫られたら⋯⋯俺の理性が崩壊する。  親父から日頃姉妹に手を出したらわかっているよな? と殺意を持って言われていたがまさかこういうことだったのか!  この物語は主人公のリウトが姉妹に血が繋がっていないことがバレると身が持たないと悟り、何とか秘密にしようと奔走するラブコメ物語です。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

クラスで3番目に可愛い無口なあの子が実は手話で話しているのを俺だけが知っている

夏見ナイ
恋愛
俺のクラスにいる月宮雫は、誰も寄せ付けないクールな美少女。そのミステリアスな雰囲気から『クラスで3番目に可愛い子』と呼ばれているが、いつも一人で、誰とも話さない。 ある放課後、俺は彼女が指先で言葉を紡ぐ――手話で話している姿を目撃してしまう。好奇心から手話を覚えた俺が、勇気を出して話しかけた瞬間、二人だけの秘密の世界が始まった。 無口でクール? とんでもない。本当の彼女は、よく笑い、よく拗ねる、最高に可愛いおしゃべりな女の子だったのだ。 クールな君の本当の姿と甘える仕草は、俺だけが知っている。これは、世界一甘くて尊い、静かな恋の物語。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

処理中です...