【完結】壊された女神の箱庭ー姫と呼ばれていきなり異世界に連れ去られましたー

秋空花林

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第二章 闇に囚われし緑よ、いずれ

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ーーー



 ルースからもたらされた『初めての刺激』は太陽を快楽の波に溺れさせた。

 ルースの動きに合わせ身体を揺さぶられる。
 ルースのソレが太陽の感じるポイントをつくたび声が漏れた。

 顔をベトベトに汚すのは、汗か涙か涎なのか。もはや区別もつかなかった。

 顔も惚けて、だらしなく口が緩んでるのが自分でもわかった。

 でも恥ずかしくなんかない。自分がここまで曝け出せるのは、きっとこの人だから。

「あぁっ…ルースさん…俺また…」
「はぁ、はぁ…僕も限界だ…一緒にいこう」

 目の前のルースも汗だくで余裕が無い表情を浮かべている。それが嬉しかった。

 腰の動きを早めようとしたルースに、太陽が待って、とお願いした。

「どうしたの?痛い?」
「…違います。太陽て呼んでほしくて」
「タイヨー?」
「タイヨウ。俺の名前です」

 タイヨー、タイヨウ…。少しの間、腰の動きを止めてルースが呟いて練習した。

「タイヨウ」

 ルースに呼ばれ嬉しくてソコがキュッとなる。

 それに気づいたのか、ルースは優しくタイヨウと囁きながら腰の動きを再開した。

 再び太陽の感じるポイントを狙って 腰の動きを早めていく。

 一気に快感を高められ、もう互いに限界だった。太陽は離れたくないとでも言う様に、両足をルースの腰に絡みつけた。

「はっ、はっ、お願い、中に…」
「タイヨウ…好きだよ」
「あぁ…ルースさん。俺も、俺も好きです…」

 そして2人は同時に果てた。



◇◇◇



 ベッドの中。
 微睡まどろみながらも、今まですれ違っていた時間を埋める様に2人は色々な事を話した。

 太陽の世界の話や、普段どんな生活をしていたのか。ルースは旅をして経験した面白い話など、互いの興味は尽きない。

 喉が乾いて太陽がコホッと咳をした。

 お水を持って来るから待ってて、とルースがズボンを履いてベッドから下りる。
 隣の部屋からコップに入ったお水を持って来て太陽に渡してくれた。

「ルースさん…」

 太陽の声が思わず震えた。

 どうしたの?とルースが尋ねる。

 背中が…と太陽の呟きを聞いて、すぐ側にあった大きな鏡にルースは自分の背中を映し出した。

 そこには傷一つない綺麗な背中が映っていた。

「…そんな…傷が…」

 呆然とルースが呟いた。

 確かにそこには魔王につけられた傷があった筈だ。瘴気で蝕まれ変色し、ルースを苦しめる傷があった筈だった。

 ルースが呆然としたまま立ち尽くす。太陽は全裸のままベッドから飛び出してルースに抱きついた。

「ルースさん傷が消えてる!良かった!良かった、本当に…!」

 ルースを蝕んでいた瘴気。それが綺麗に消えていた。これできっともうルースが闇堕ちする事はない…!

「本当に…?」
「無いです!もうルースさんを蝕む傷は消えたんです!」
「傷が消えた…」

 呆然と呟いた瞬間、ルースの目から涙が溢れた。

 そのままその場で膝をついて咽び泣く。声を上げて泣き続けるルースの側に跪いて、太陽は無言でそっと抱きしめた。
 
 暫くしてルースは泣き止んだが、抜け殻の様にぐったりしている為、太陽はルースをベッドまで歩かせ寝かせた。

「ルースさん…大丈夫?」
「大丈夫…。タイヨウ、呪いを解いてくれて、ありがとう」

 ルースが太陽に抱きついてきた。

 こんな風に甘えてくるルースは初めてだった。太陽の胸に子供の様に甘えてくるルースを安心させる様に、ゆっくり背中を撫でた。

「ルースさん、良かった。もうこれで悪夢を見なくてすみますね」
「うん…やっと、あの日から解放される…」

 呟いて、そのままルースは気を失う様に眠ってしまった。涙の粒がいくつか零れたが安らかな寝顔だった。

「おやすみなさい」

 きっと今日は悪夢から解放されて安心して寝れる事だろう。
 
 太陽も疲労からウトウトして、そのままルースの横になる。

 あぁ、そういえば、空は何処に行ったんだろう?ふと置いて来た空を思う。ただ空の性格からして、2人の邪魔をしない様にあえて離れた所にいる気がした。

 恥ずかしい思いもしたけど。あの時、空が切り出さなければ今もルースと思いを交わせなかったかもしれない。

 そう考えると空への感謝が湧いてくる。

 空…ありがとう。
 
 心の中で空へ感謝を伝えて、太陽は幸せな気持ちのまま眠りに落ちた。
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