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第五章 果てなき旅路より戻りし者
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「俺がルースさんを守ります!今なら前みたいに守られてばかりじゃない!だからお願い、俺から離れて行かないで…お願い…」
「あの…ちょっと…」
ルースが焦って太陽を引き離そうとするが、必死に抱きついて離さなかった。先に根負けしたのはルースだった。
「…まいったな。わかった。僕も一緒に行くから」
「本当に?」
抱きついたままルースの顔を見上げると、その顔は赤くなっていた。まるで照れる様に。
それを見て、ルースさんだ、と不意に思った。目の前の人は太陽の記憶は無くても、太陽が迫れば照れて赤くなる、その反応は同じだった。
忘れたなら、また始めればいい。生きてさえいれば、またイチからやり直せる。
唐突にそう思った。そしたら少し気持ちが軽くなった。
ルースから身体を離して、代わりに手を繋いだ。
「ルースさん、目を離すとすぐ何かに巻き込まれるから」
「え?何それ」
「何でも無いです。行きましょう」
ルースを引っ張って、玄関に向かった。
ルースは名残惜しそうに魔王の方を見ていたが、やがて諦めた様に大人しく太陽について来た。
援軍メンバーが2人が手を繋いでるのを不思議そうに見ている。でも太陽はルースとの関係を隠すつもりは1mmも無かった。
「ルースさんは危なっかしいから、俺の隣です」
「僕そんなに危なっかしい?」
ルースが呆れた様に笑う。その笑顔に胸がぎゅうとなる。
外に出ると悪男が大きな鳥に変化した。幸い太陽、ルース、空も余裕で乗れるサイズだ。
玄関の中から、魔王、ラリエス、キャスがみんなを見送ってくれた。
「聖女。奴は結界のある場所はちょっかいを出せない。西に入る迄は気をつけろ」
「わかりました」
悪男が羽ばたき、空を舞う。周囲も同様に続いた。
ルースは見えなくなるまで城の入口の方を見ていた。切なそうに見えるのは気のせいか。
もしかして、さっき足手纏いだから残りたいと言ったのは、魔王の側にいたかったから?
疑念や嫉妬が胸に湧き上がって来て、太陽は鉛を飲んだ様に胸が苦しくなった。
「敵襲!来たぞ!」
眼下の雪原に毛むくじゃら達と黒い妖精達が集まっていた。
「毎回同じ化け物ばかりだね」
「どの大陸でも闇堕ちするのは一定の強い種族だけだよ。弱い生き物はその前に死に絶えるからね」
そう言ったルースの表情は先程とうって変わって真剣だった。色んな土地を周り実際に見て来たからこそ分かる残酷な現実だった。
ルースが手から黄緑の弓を出現させた。美しい細工が施された神樹の実で出来た弓だ。
「先程と攻撃パターンが変わるかも知れん。気をつけろ」
空の言う通り、これまでとは全く違うパターンで攻撃をして来た。何と黒い妖精達は毛むくじゃらを担ぎ飛んで、投げつけて来たのだ。
投げつけられた毛むくじゃらが、ガチガチと歯を慣らして鳥に噛みつこうとする。
「うわぁ」
何とかかろうじて、鳥達もかわすが、すぐに妖精が毛むくじゃらを受け止め、再び投げつけてくる。先程より、はるかに危険だった。
エルフ達が毛むくじゃらに矢をいるが、毛がモコモコしてるせいか、たいしてダメージを与えられなかった。
ルースが弓を構えた。毛むくじゃらを避け、あえてその下にいる妖精を数体射抜いた。妖精が倒れた事で、毛むくじゃらが数匹そのまま地に落ちた。
それを見て他のエルフ達も妖精を狙い出した。次々と撃ち落とされ、毛むくじゃらが落ちていく。
「あれも倒す?」
風に髪をはためかせながら、ルースが空に尋ねた。いや、と空が首をふる。
「恐らくアレを倒すとまた魔王の影が出てくる筈だ。それは避けたい」
空は後方に攻撃を止める様に指示を出した。
「このまま西に向かう事を優先する!無闇に攻撃はするな!」
「おう!」
そのまま一向は北から西へ脱出した。
「あの…ちょっと…」
ルースが焦って太陽を引き離そうとするが、必死に抱きついて離さなかった。先に根負けしたのはルースだった。
「…まいったな。わかった。僕も一緒に行くから」
「本当に?」
抱きついたままルースの顔を見上げると、その顔は赤くなっていた。まるで照れる様に。
それを見て、ルースさんだ、と不意に思った。目の前の人は太陽の記憶は無くても、太陽が迫れば照れて赤くなる、その反応は同じだった。
忘れたなら、また始めればいい。生きてさえいれば、またイチからやり直せる。
唐突にそう思った。そしたら少し気持ちが軽くなった。
ルースから身体を離して、代わりに手を繋いだ。
「ルースさん、目を離すとすぐ何かに巻き込まれるから」
「え?何それ」
「何でも無いです。行きましょう」
ルースを引っ張って、玄関に向かった。
ルースは名残惜しそうに魔王の方を見ていたが、やがて諦めた様に大人しく太陽について来た。
援軍メンバーが2人が手を繋いでるのを不思議そうに見ている。でも太陽はルースとの関係を隠すつもりは1mmも無かった。
「ルースさんは危なっかしいから、俺の隣です」
「僕そんなに危なっかしい?」
ルースが呆れた様に笑う。その笑顔に胸がぎゅうとなる。
外に出ると悪男が大きな鳥に変化した。幸い太陽、ルース、空も余裕で乗れるサイズだ。
玄関の中から、魔王、ラリエス、キャスがみんなを見送ってくれた。
「聖女。奴は結界のある場所はちょっかいを出せない。西に入る迄は気をつけろ」
「わかりました」
悪男が羽ばたき、空を舞う。周囲も同様に続いた。
ルースは見えなくなるまで城の入口の方を見ていた。切なそうに見えるのは気のせいか。
もしかして、さっき足手纏いだから残りたいと言ったのは、魔王の側にいたかったから?
疑念や嫉妬が胸に湧き上がって来て、太陽は鉛を飲んだ様に胸が苦しくなった。
「敵襲!来たぞ!」
眼下の雪原に毛むくじゃら達と黒い妖精達が集まっていた。
「毎回同じ化け物ばかりだね」
「どの大陸でも闇堕ちするのは一定の強い種族だけだよ。弱い生き物はその前に死に絶えるからね」
そう言ったルースの表情は先程とうって変わって真剣だった。色んな土地を周り実際に見て来たからこそ分かる残酷な現実だった。
ルースが手から黄緑の弓を出現させた。美しい細工が施された神樹の実で出来た弓だ。
「先程と攻撃パターンが変わるかも知れん。気をつけろ」
空の言う通り、これまでとは全く違うパターンで攻撃をして来た。何と黒い妖精達は毛むくじゃらを担ぎ飛んで、投げつけて来たのだ。
投げつけられた毛むくじゃらが、ガチガチと歯を慣らして鳥に噛みつこうとする。
「うわぁ」
何とかかろうじて、鳥達もかわすが、すぐに妖精が毛むくじゃらを受け止め、再び投げつけてくる。先程より、はるかに危険だった。
エルフ達が毛むくじゃらに矢をいるが、毛がモコモコしてるせいか、たいしてダメージを与えられなかった。
ルースが弓を構えた。毛むくじゃらを避け、あえてその下にいる妖精を数体射抜いた。妖精が倒れた事で、毛むくじゃらが数匹そのまま地に落ちた。
それを見て他のエルフ達も妖精を狙い出した。次々と撃ち落とされ、毛むくじゃらが落ちていく。
「あれも倒す?」
風に髪をはためかせながら、ルースが空に尋ねた。いや、と空が首をふる。
「恐らくアレを倒すとまた魔王の影が出てくる筈だ。それは避けたい」
空は後方に攻撃を止める様に指示を出した。
「このまま西に向かう事を優先する!無闇に攻撃はするな!」
「おう!」
そのまま一向は北から西へ脱出した。
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