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第五章 果てなき旅路より戻りし者
30 the others
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ルースは太陽を抱きしめたまま、再び口付けた。
角度を変え、何度も口付けながら深めていく。
「は…ん、ルースさん…」
太陽の悩まし気な声に、ハッとルースが我に返り慌てて太陽の上から飛び起きた。
「ルースさん?」
乱れた息遣いに、紅潮した頬。潤んだ瞳でベッドに横たわった太陽が、ルースの名を呼んだ。
駄目だ。このままだと流されて彼を抱いてしまう。自分の欲望を抑える為、ルースは深呼吸を繰り返した。
「ごめんセーヤ」
「どうして謝るんですか?俺はルースさんに抱いて欲しいです」
「まだ自分の気持ちが分からないんだ。だから抱けない」
自分はこの少年に惹かれている。それは間違い無かった。
でも時折、自分の中に浮かぶ人影がある。
顔も覚えてないけど、とても大事な人だった。それが誰か分かるまでは、これ以上は踏み込めない。
「僕は暖炉の側で休むよ」
ルースの言葉に、太陽が今にも泣きそうな表情を浮かべた。
それを見るのが辛くてルースは逃げる様にベッドから離れた。
◇◇◇
温かい…。
温もりと人の気配に、ルースはぼんやりと目を開けた。
暖炉の前で厚めの布で包まって考え事をしていたら、いつの間にかうたた寝をしてしまった。
横を見ると、同じ様に布に包まった太陽がルースに寄りかかって寝ていた。
全くこの子は。つい先程、危うく自分に襲われかけたのに、また無防備に。
少しの呆れと、自分へのひたむきな好意がくすぐったい。
ベッドに寝かせた方がいいのにー。
太陽の温もりを感じさせる優しい香りが心地よくて、また微睡む。
そういえば、今夜は何故、悪夢を見ないんだろう。東の結界のせい?それとも金の者が側にいるから?
答えを出す前に、ルースは再び夢の中と旅立った。
◇◇◇
カチャ カチャ コト
食事の用意をしている音がした。
部屋の中が明るい事で、夜が明けたのだと分かった。暖炉の火も消えていた。
音につられて視線を向けると、金の髪の少年がテーブルに食事を並べているのが見えた。
誰かと一緒に生活して過ごすのは、どの位ぶりだろう。ぼんやり思った。
ルースが起きた事に気づいた太陽が、こちらを振り返った。
朝の柔らかい空間の中で、綺麗な金の髪がきらめく。
「ルースさん、おはようございます」
「…おはよう」
ルースの挨拶一つで太陽は嬉しそうに笑う。
「簡単ですけど、朝ご飯作ったんです」
「…ありがとう」
ルースのお礼一つで太陽は幸せそうにはにかむ。
こんなに真っ直ぐな好意。他の奴に渡したくない。彼が家族だと親しくしているソラやワルオにもー。
だから早く、自分の中で答えを出さなければ。
少しずつ自分の中に芽生えて来た想いを、ルースは自覚していた。
角度を変え、何度も口付けながら深めていく。
「は…ん、ルースさん…」
太陽の悩まし気な声に、ハッとルースが我に返り慌てて太陽の上から飛び起きた。
「ルースさん?」
乱れた息遣いに、紅潮した頬。潤んだ瞳でベッドに横たわった太陽が、ルースの名を呼んだ。
駄目だ。このままだと流されて彼を抱いてしまう。自分の欲望を抑える為、ルースは深呼吸を繰り返した。
「ごめんセーヤ」
「どうして謝るんですか?俺はルースさんに抱いて欲しいです」
「まだ自分の気持ちが分からないんだ。だから抱けない」
自分はこの少年に惹かれている。それは間違い無かった。
でも時折、自分の中に浮かぶ人影がある。
顔も覚えてないけど、とても大事な人だった。それが誰か分かるまでは、これ以上は踏み込めない。
「僕は暖炉の側で休むよ」
ルースの言葉に、太陽が今にも泣きそうな表情を浮かべた。
それを見るのが辛くてルースは逃げる様にベッドから離れた。
◇◇◇
温かい…。
温もりと人の気配に、ルースはぼんやりと目を開けた。
暖炉の前で厚めの布で包まって考え事をしていたら、いつの間にかうたた寝をしてしまった。
横を見ると、同じ様に布に包まった太陽がルースに寄りかかって寝ていた。
全くこの子は。つい先程、危うく自分に襲われかけたのに、また無防備に。
少しの呆れと、自分へのひたむきな好意がくすぐったい。
ベッドに寝かせた方がいいのにー。
太陽の温もりを感じさせる優しい香りが心地よくて、また微睡む。
そういえば、今夜は何故、悪夢を見ないんだろう。東の結界のせい?それとも金の者が側にいるから?
答えを出す前に、ルースは再び夢の中と旅立った。
◇◇◇
カチャ カチャ コト
食事の用意をしている音がした。
部屋の中が明るい事で、夜が明けたのだと分かった。暖炉の火も消えていた。
音につられて視線を向けると、金の髪の少年がテーブルに食事を並べているのが見えた。
誰かと一緒に生活して過ごすのは、どの位ぶりだろう。ぼんやり思った。
ルースが起きた事に気づいた太陽が、こちらを振り返った。
朝の柔らかい空間の中で、綺麗な金の髪がきらめく。
「ルースさん、おはようございます」
「…おはよう」
ルースの挨拶一つで太陽は嬉しそうに笑う。
「簡単ですけど、朝ご飯作ったんです」
「…ありがとう」
ルースのお礼一つで太陽は幸せそうにはにかむ。
こんなに真っ直ぐな好意。他の奴に渡したくない。彼が家族だと親しくしているソラやワルオにもー。
だから早く、自分の中で答えを出さなければ。
少しずつ自分の中に芽生えて来た想いを、ルースは自覚していた。
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