140 / 181
第五章 果てなき旅路より戻りし者
31
「悪男!ごめんな!南に着いたら肉やるから!」
「本当だな!嘘ついたら、もう家族やめてやる!」
「わー!悪男もショーキも空も本当にごめん!」
「ウソ、カゾクやめない」
「ゔぅショーキ!」
「…………(拗)」
太陽は今、鳥になった悪男の背中で南へ移動しながら全力で謝っていた。
ルースと幸せな朝ご飯を摂って外に出たら、いつも通りの空と、プンプン怒っている悪男が待っていた。
2人の食事を忘れてた!
昨日、乗り物酔い(?)で小屋で休んだ後、すっかり2人の事を忘れていた!主人失格だー!
落ち込む太陽に、空は適当に食事はしたと言った。ただ、空は肉を。悪男には木の実をやったので、不貞腐れたという事だった。
それで、そのまま悪男は機嫌が悪いにも関わらず、こうやってまた太陽達を南に運んでくれてるのだ。
ちなみに、ガソルやその側近達は自分の脚でむかっている。
「なら、僕の家で美味しい肉料理を作るよ」
「ぐす、ルースさん」
半泣きの太陽を見兼ねたのか、ルースが申し出てくれた。
「焼いたやつ!?」
「ニク!」
「もちろん。良ければ味もつけるよ」
「やったー!」
「ジュル(よだれ)」
ルースの提案に悪男の機嫌も直った様だ。
「ルースさん、ありがとうございます」
「いいよ。ワルオには北からずっと頑張ってもらってるし。それに、君の大切な家族なんだろう?」
風に煽られる髪を押さえながら、ルースが微笑んだ。その言葉が、仕草が、以前のルースの様で、何だか胸がギュッと締め付けられるみたいだった。
「互いの溝は埋まった様だな」
空の声がした。先程から人型のまま静かに座って、ずっと景色を見ているが、機嫌良さそうに尻尾が左右に揺れている。
昨日までのルースとのギクシャクを解消させる為、小屋に2人きりにしてくれたのか、と気づいた。
「空も…いつも、ありがとう」
「ふん」
素直じゃない銀狼は、代わりに尻尾を左右に振って答えた。
◇◇◇
南の街の手前で降りた後は、空は子犬に、悪男は小鳥に変化した。ルースと太陽は以前の様に髪と目の色を茶色に変化させた。空と悪男も見た目は茶系のよくいる種類に変化させた。
街に入ると、早速声をかけてきた人物がいた。その人物が走り寄ってルースの腕にしがみつく。
「ルースさん!やっと見つけた!」
懐かしのマノスだった。色んな事にバタバタして忘れていたが、南には太陽の恋敵がいっぱいだ!
「最近、全然見なくて心配してたんだよ!」
「マノス。旅に出て何かと忙しかったんだ」
「まだセーヤなんかと旅してるの!?」
ルースの腕に掴まったまま、太陽をキッと睨んでくる。可愛い顔が台無しだ。
「マノスはセーヤを知ってるの?」
「はぁ?前に東の村から馬車で一緒に運んだじゃん」
マノスが不思議そうにルースを見る。当のルースは何故か太陽に関わる記憶がゴッソリ抜けているので、その事も覚えて無い様だ。
「聖女様が現れたり、瘴気の正体が分かったり、大騒ぎだったのに!ラドも消えちゃうし、ルースさんも見つからないし、寂しかったんだから…」
しゅんと元気無さそうに項垂れたマノスを見て、太陽の危険察知アンテナがピンと反応した!
パッと太陽がマノスの両手を胸の前で掴んだ。
「それは大変だったね!マノス!何かあったら話を聞くよ!俺が!」
「はぁ~!?何であんたが?」
「俺達、同じ位の歳だろ?だから年齢の離れたルースさんより俺の方が相談に乗れると思うんだ!」
邪魔すんなよ!
水臭いなー!
お互い笑顔でやり合う2人を見て、ルースは1人納得した。
「2人そんなに仲良かったんだね。マノスに友達が出来て良かったよ」
「ちがっ…」
「という事でマノス。今日は俺たち行くとこあるから、またな!行こうルースさん」
一方的にマノスに別れを告げて、太陽はルースの手を繋いで街中の雑踏に紛れ込んだ。
危なかった。ルースは優しすぎて、困ったり弱ったりした人をほっとけ無い。あのままマノスのペースに巻き込まれたら、あざといマノスにルースを連れ去られる所だった!
そんな2人の攻防に気づく事なく、ルースは太陽にされるがまま手を引かれてる。久しぶりの南の街並みに目を奪われてる様だ。
そこにまた、声をかけて来た人物がいた。
「よお!ルース!久しぶり、今夜どうだ?」
恋敵第2弾、鞄屋の店主だ!
「本当だな!嘘ついたら、もう家族やめてやる!」
「わー!悪男もショーキも空も本当にごめん!」
「ウソ、カゾクやめない」
「ゔぅショーキ!」
「…………(拗)」
太陽は今、鳥になった悪男の背中で南へ移動しながら全力で謝っていた。
ルースと幸せな朝ご飯を摂って外に出たら、いつも通りの空と、プンプン怒っている悪男が待っていた。
2人の食事を忘れてた!
昨日、乗り物酔い(?)で小屋で休んだ後、すっかり2人の事を忘れていた!主人失格だー!
落ち込む太陽に、空は適当に食事はしたと言った。ただ、空は肉を。悪男には木の実をやったので、不貞腐れたという事だった。
それで、そのまま悪男は機嫌が悪いにも関わらず、こうやってまた太陽達を南に運んでくれてるのだ。
ちなみに、ガソルやその側近達は自分の脚でむかっている。
「なら、僕の家で美味しい肉料理を作るよ」
「ぐす、ルースさん」
半泣きの太陽を見兼ねたのか、ルースが申し出てくれた。
「焼いたやつ!?」
「ニク!」
「もちろん。良ければ味もつけるよ」
「やったー!」
「ジュル(よだれ)」
ルースの提案に悪男の機嫌も直った様だ。
「ルースさん、ありがとうございます」
「いいよ。ワルオには北からずっと頑張ってもらってるし。それに、君の大切な家族なんだろう?」
風に煽られる髪を押さえながら、ルースが微笑んだ。その言葉が、仕草が、以前のルースの様で、何だか胸がギュッと締め付けられるみたいだった。
「互いの溝は埋まった様だな」
空の声がした。先程から人型のまま静かに座って、ずっと景色を見ているが、機嫌良さそうに尻尾が左右に揺れている。
昨日までのルースとのギクシャクを解消させる為、小屋に2人きりにしてくれたのか、と気づいた。
「空も…いつも、ありがとう」
「ふん」
素直じゃない銀狼は、代わりに尻尾を左右に振って答えた。
◇◇◇
南の街の手前で降りた後は、空は子犬に、悪男は小鳥に変化した。ルースと太陽は以前の様に髪と目の色を茶色に変化させた。空と悪男も見た目は茶系のよくいる種類に変化させた。
街に入ると、早速声をかけてきた人物がいた。その人物が走り寄ってルースの腕にしがみつく。
「ルースさん!やっと見つけた!」
懐かしのマノスだった。色んな事にバタバタして忘れていたが、南には太陽の恋敵がいっぱいだ!
「最近、全然見なくて心配してたんだよ!」
「マノス。旅に出て何かと忙しかったんだ」
「まだセーヤなんかと旅してるの!?」
ルースの腕に掴まったまま、太陽をキッと睨んでくる。可愛い顔が台無しだ。
「マノスはセーヤを知ってるの?」
「はぁ?前に東の村から馬車で一緒に運んだじゃん」
マノスが不思議そうにルースを見る。当のルースは何故か太陽に関わる記憶がゴッソリ抜けているので、その事も覚えて無い様だ。
「聖女様が現れたり、瘴気の正体が分かったり、大騒ぎだったのに!ラドも消えちゃうし、ルースさんも見つからないし、寂しかったんだから…」
しゅんと元気無さそうに項垂れたマノスを見て、太陽の危険察知アンテナがピンと反応した!
パッと太陽がマノスの両手を胸の前で掴んだ。
「それは大変だったね!マノス!何かあったら話を聞くよ!俺が!」
「はぁ~!?何であんたが?」
「俺達、同じ位の歳だろ?だから年齢の離れたルースさんより俺の方が相談に乗れると思うんだ!」
邪魔すんなよ!
水臭いなー!
お互い笑顔でやり合う2人を見て、ルースは1人納得した。
「2人そんなに仲良かったんだね。マノスに友達が出来て良かったよ」
「ちがっ…」
「という事でマノス。今日は俺たち行くとこあるから、またな!行こうルースさん」
一方的にマノスに別れを告げて、太陽はルースの手を繋いで街中の雑踏に紛れ込んだ。
危なかった。ルースは優しすぎて、困ったり弱ったりした人をほっとけ無い。あのままマノスのペースに巻き込まれたら、あざといマノスにルースを連れ去られる所だった!
そんな2人の攻防に気づく事なく、ルースは太陽にされるがまま手を引かれてる。久しぶりの南の街並みに目を奪われてる様だ。
そこにまた、声をかけて来た人物がいた。
「よお!ルース!久しぶり、今夜どうだ?」
恋敵第2弾、鞄屋の店主だ!
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
転生先は猫でした。
秋山龍央
BL
吾輩は猫である。
名前はまだないので、かっこよくてキュートで、痺れるような名前を絶賛募集中である。
……いや、本当になんでこんなことになったんだか!
転生した異世界で猫になった男が、冒険者に拾われて飼い猫になるほのぼのファンタジーコメディ。
人間化あり、主人公攻め。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】第三王子、ただいま輸送中。理由は多分、大臣です
ナポ
BL
ラクス王子、目覚めたら馬車の中。
理由は不明、手紙一通とパン一個。
どうやら「王宮の空気を乱したため、左遷」だそうです。
そんな理由でいいのか!?
でもなぜか辺境での暮らしが思いのほか快適!
自由だし、食事は美味しいし、うるさい兄たちもいない!
……と思いきや、襲撃事件に巻き込まれたり、何かの教祖にされたり、ドタバタと騒がしい!!
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。