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9 不穏な休暇明け
しおりを挟む一週間の休暇という名の静養を主にアルヴァとでろ甘に過ごして完全回復した休暇明け。
久しぶりだなとアディスと共に馬車で出仕すると、馬車の昇降場に何故かアルヴァが待ち受けていた。
「おはようございます、ダスク師団長殿、副師団長殿」
「ああ、おはよう」
「・・・・・・おはようございます、ドーン副団長殿。あの、どうしてここに?」
職場なので一応他人行儀な言葉遣いで挨拶を交わし、何か用事でもあったのかと思って俺が尋ねると、ニコニコしながらアルヴァが言った。
「ただの出迎えです。副師団長殿に会いたかったので」
「・・・・・・お前ね、昨日もセラにギリギリまでくっ付いてたろうが。全く、この一週間で変わりすぎ。───そうだ。今日さぁ、午後イチで合同訓練やろうってソリュ-ン団長に言っといて」
「・・・・・・はい。予定を調整しておきます」
そんなアルヴァに対し冷たい半目で睨みながら今日の予定にはなかった午後の合同訓練をむりくりツッコむアディス。
なんなん?
アルヴァが若干顔色悪くなったけど大丈夫?
アルヴァの後ろをアディスとついて歩いて職場となる魔導師団の本部に行く。
何時もはいやらしい視線や下世話な噂話をコソコソするのが聞こえるんだけど、今日は全くない。
パタリと消えている。
・・・・・・ホントになんなん?
まあ、うっとうしいのがなくなって俺は気分がいいから気にしなーい。
チラッと後ろを振り向き、俺を見て目を細めるアルヴァに俺もにっこり笑い返した。ついでにアディスにもにっこり。アディスもニコニコ。
うん、今日はいい一日になりそうだな!
そうして魔導師団の副師団長室に篭もり、休暇中にそこそこ溜まっていた俺がサインしないといけない書類などを捌いているとお昼の休憩時間になった。
「セラ! 御飯行こー!」
ノックと共にアディスとカーティス補佐官が副師団長室に入ってくる。
おーい、俺の返事待ってから入ってよ。
「・・・・・・むかーし、アルヴァがやったようなことしていいの? マナー違反でしょ」
「いーのいーの、父親が息子に会うのに許可なんて取らなくていいのー」
「・・・・・・いや、ここ職場だからね? 家ん中なら、まあ・・・・・・いいのか?」
「師団長はこういう方ですからねぇ」
「・・・・・・大変ですね、カーティスさん」
ケロッとしてるアディスに全くです、とわざとらしく溜息を吐くカーティス補佐官に思わず笑う。
苦労が滲み出てるよ。頑張れ。
ちなみに俺には補佐官はいない。まあ必要ないってのもあるけど、一番はアディスが許可しないからだった。
その理由を聞いたところ『セラータにヘンなヤツを近づけさせたくない!』だった。
はぁ? ってなったね。
実際募集をしたところ、例の噂が広まった頃には下心アリアリのバカが集まってきて全て却下となり、生真面目なヤツは逆に離れていった。
さすがに有事の際には魔力補給が必要になる魔導師達でも誰彼構わずのビッチはそうそういない。せめて恋人とか割り切った関係の人が一人とか二人・・・・・・。
だから噂通りなら俺はかなりヤバいヤツってことで遠巻きにされてた。
そんな訳で『おいゴラァ、誰のおかげで討伐任務遂行出来てると思っとるんじゃー!』って、わりかしガチめに憤ってたけど早々に諦めたよね。
まさに『触らぬ神に祟りなし』状態で孤立してたから。副師団長なのにこれでいいんかいってな。鼻で笑っちまうぜ! はっ!
そんな訳で俺に補佐官はいない。もう別に要らない。一人でやる流れが出来ちゃってるからかえって邪魔。
だからアディス父様、今更釣書っぽく履歴書を持ってこないでくれますか?
これ、知らん人が見たらぱっと見お見合いの釣書にしか見えないんですけど───!!
ちなみに今いるここは王城内にある魔導師・騎士達専用の大食堂ですよ。俺達のような役職付きは特別室があるんだけど今日は何故かココだった。
アディス、何か企んでる?
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